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使うひとの幸せになれる、携帯電話でありたい。
携帯電話づくりをしている、わたしたちの願いです。
この本のタイトル、“Heart Craft”には、
わたしたちのモノづくりにこめた、
そんな願いがつまっています。
お手本は、この街の職人がつくるような
ハンドクラフトの道具たち。
残念ながら携帯電話は、手づくりで完成できるものでは
ありません。
だけど、その“こだわりのハート”なら、
たくさん受け継ぐことができます。
めだたない小さな部分でも、
ていねいに、
大切に
つくりあげました。
携帯電話がそれ自身の存在を、声高にうたうことよりも
手にする人の
ここちよさ・きもちよさを、
いちばん大事にしたいから。
持ちやすさ、開きやすさ、使いやすさ‥‥、
試行錯誤を繰り返しながら、
つくる過程にかかわる全員が、
ハートクラフト職人になりました。
毎日使いこむうちに、そんな想いが、
じんわり伝わるとうれしいです。
「1点モノ」にはなれなくとも、
「あなただけの1台」として、
小さな愛着を
感じてもらえたら、
道具として
これ以上のよろこびはありません。
そしてそのとき、
どうか
ささやかな幸せが、
あなたの手のなかにひろがりますように。
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(Heart Craft tiny little grace in your handより

この本を手に取られた方は、
どのくらいいるのでしょう。
2006年に出版された、
カシオケータイのものづくりへの想いが、詰まった書籍です。
あのころ、私は、まだ、20歳。
ハートクラフトはおろか、
その2年後に、この会社で、
ものづくりをしているなんて、
夢にも思ってなかったです。
お世辞にも、博学ではないし、
ケータイやパソコンに特化して詳しいわけでもありません。
でも、
中学1年生から、ケータイと過ごしてきて、
ケータイだけは、他の機械とは何かがちがうんです。
それは、なぜなんだろう?
なぜ?どうして?を繰り返して、
創りたいケータイ
そして
ケータイで届けたい想い
があって、ケータイメーカーで、
仕事をしようと決めました。
数々のメーカーへお話をしにいきましたが、
文系の新卒学生をケータイ事業へ採用するのは、
なかなかハードルの高いことだったようです。
「営業をするにも、キャリアが必要だからね‥‥、まずは違う品目を、
機会を待ってケータイ事業へになるね。」
何社からも、こう言われました。
『ケータイ世代だから感じることを
いま、伝えたいんです!
会社のひと、になってしまったら、
せっかくの感性がなくなってしまう。。』
そう言い返したとき、
たった1社だけ、
『そうか、わかった。
やってみなさい!』
と言って、内定をくださったのが、
いまの会社でした。
内定をもらったあとに、
手に取った本が、
コレです。
私が届けたい想い、そのもの。
創りたいケータイ、そのもの。
飛び上がるのとはちがう、
グッと胸があつくなる喜びを感じたのを
いまも強くおぼえています。
世の中の動きはせわしなく、
渦にまきこまれたりもするけれど、
初心をわすれず、
何年経っても、
私は私らしく。
カシオケータイは、カシオらしく。
何かを強く主張するのではなく、
あるとほっとする
ぬくもりを感じる
ずっとそばにおいておきたい。
そういうモノを創りたい。
気づいてもらえなくてもいい、
想いをこめて創りたい。
職人でありたい。
そうあるために、
がんばります。
久々に、本をよんで、
ちょっと胸があつくなって、
あつく語りました笑

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