お待たせしました。
区民生活委員会の行政視察のご報告をさせていただきます。改めて、今回の視察先は、岡山県岡山市、香川県高松市、丸亀市、愛媛県松山市。
本日は、岡山市の農業振興施策についてです。
岡山市の農家数は、8730戸で経営耕地面積が10,177ヘクタール、1,2ha/戸であり、それに対し世田谷区では、106ヘクタール、28,6a/戸であります。
主な農産物は、水稲・麦類・ブドウ・なす・白菜、これに対し、世田谷区はダイコン・ジャガイモ・小松菜・キャベツ・トマトであり、少量多品目であります。
規模は違いますが、地産地消の取り組みとしての部分は、世田谷区でも参考になると思いました。それでは、岡山市の地産地消の取り組みについて、書かせていただきます。
岡山市では平成21年に農業振興ビジョンを策定し、重点施策として、
① 安全安心な食の推進 ②ブランド化の推進 ③担い手の確保・育成 ④農業用施設の維持管理
を掲げております。
その中の「安全安心な食の推進」の重要項目で、地産地消推進事業の一環として、生産者と消費者を結ぶ「農地でショッピング」というHPの開設、「トラック産直市」の開催といった農業への理解促進の手法や農産物の総合的なブランド化の手法を展開しております.
私が注目したのは、「農地でショッピング」というHPの開設。
これは、生産者と消費者をつなげる事業で、農産物を直接、消費者に販売している農家を市のHPで紹介し、農産物を直接購入したい市民に対し、直接販売している農業者に関する情報(事業者名、農産物名、販売時期、連絡先など)を紹介しております。
このメリットとしては、
・生産者としては、形が曲がっていて出荷できないが、味は美味しいので、食べてもらいたい農産物を販売できる。
・間に販売店が入っていないので、安価である。
・消費者としても、新鮮な農産物を買うことができる。そして新鮮なので、何より美味しい。
実際、世田谷区でも、区内で採れた農産物を2か所のファーマーズマーケットで販売しておりますが、このインターネットバージョンが、岡山市の「農地でショッピング」であります。
この他にも、地産地消事業として、お正月前にトラックで直接農産物を持ち込んで販売する「農林フェスタ・トラック産直市」や、幼稚園・保育園・小中学校での農業体験学習、老人クラブでの農地体験、を行っております。
また、重点施策の2つ目、「ブランド化の推進」では、農商工の連携を図り、6次産業化を進めており、今後農業全体の流れとして、注目される部分であります。
重点施策の3つ目、「担い手の確保・育成」ですが、これは、世田谷区の担い手不足の課題にも通じる施策でありますので、詳しく書かせていただきます。
まず、新規就農総合支援事業、農業サポーター育成事業、家族経営協定締結の啓発などの事業が展開されております。
具体的に、新規就農総合支援事業は、新規就農者に対し、体験・研修から新規就農、経営の安定化に至るまでの、各種相談から行政手続きまでを総合的にサポートする事業です。農業体験・実務研修・農地や農業機械のマッチング、就業奨励金の交付などを、市がサポートします。
岡山市では、平成23年度の実績として、相談件数113人、新規就農者23人であった、とのことであります。
次に、農業サポーター育成事業とは、消費者と生産者の交流や食産業の大切さを知る農業体験の機会を設け、ボランテイアで農作業に従事する農業サポーターを育成する事業です。
平成23年度の実績としては、受入農家の登録は19軒、新規登録農業サポーター21人、6コース18名のサポーターが、14軒の農家から依頼を受け、延べ348日間の農作業サポートを実施した、とのことであります。
最後に、家族経営協定締結の啓発は、農業経営における女性の果たす役割が明確になるなど、家族皆が意識的に働くことのメリットを説明し、研修を通じて、女性農業者の社会的地位の向上や地域リーダーの育成を図るものであります。
新規就農事業、農業サポーター事業は、後継者不足に悩む世田谷区にとっても、参考になりますので、今後の施策に生かしていきたいと思います。