行政視察について
本日は、2つ目、富山市の内容を書かせていただきます。
●富山市:公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりについて
主に次の3つを視察してまいりました。
○日本初の本格的なLRT(富山ライトレール)
○CENTRAM(市内電車環状線)
○レンタサイクルシステム「アヴィレ」(パリのヴェリブと同じタイプ)
実は、この公共交通を軸としたコンパクトな街づくりを進めている理由が富山市にはあり、そのために上の3つの事業を進めているのです。そういう意味で、世田谷区とは背景が違い、この事業がそのままあてはまる、というわけではないと思いました。
では、この事業を進めているまず背景について、書かせていただきます!
① この、コンパクトな街づくりを進めている理由とは、富山市では、市街地の外延化により、県庁所在都市としては、全国で最も低密度(40.3人/ha)な市街地となっている。この市街地の外延化により、都心の空洞化が進み、この傾向が続けば市民1人当たりの行政コストが低下、また都市全体の活力の低下を招くことになる。よって都市に機能を集中させ、人々を都心に誘導するため、コンパクトな街づくりを進めている。
その要因としては、次のような富山市の特徴が挙げられます。
・富山平野の平坦な地形により可住地面積が全国第1位、
・道路整備率全国第1位
・持ち家比率全国第1位という、強い戸健志向
・郊外の地価が安い
② また、自動車の依存度も高く、1世帯あたりの自家用車保有台数は1.74台/世帯となっており、公共交通が衰退している現状がありました。(1989年→2009年の利用者は、私鉄44%減、路面電車42%減、路線バス70%減)
特に車を自由に使えない方にとっては生活がしづらいことから(約3割いる)、公共交通を軸とした、コンパクトな街づくりを進めているのです。
少し長くなりましたが、この事業を進めるにあたっての経緯を書かせていただきました。
では、まず
○富山ライトレール(日本初の本格的なLRT)
○CENTRAM(市内電車環状線)
を写真を交えながら紹介していきます。
富山市は、鉄道軸を中心として沿線に居住・商業・文化などの都市機能を集積させることで、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトな街づくりを目指しています。よってイメージとしては、串団子のような感じです。
そのための1つとして、LRTがあります。(富山ライトレールとCENTRAM)
富山ライトレールは、富山港と富山市を結んだ路面電車、CENTRAMは富山市内の環状の路面電車
富山ライトレール
もともと、平成18年に廃止となったJR富山港線のあとに、路線移設を行い、LRT化されたもので、公設民営を導入。
○特徴
・運営主体として、富山ライトレール(株)を設立。(資本金4億9,800万円:市・県・民間企業15社)
・公設民営の考え方を導入し、開業後の経営採算性を確保している。
⇒整備の費用を行政が負担。開業後も施設や車両の維持管理は行政が負担。富山ライトレールは、運賃収入により、運行経費のみ負担。
・整備費用について、様々な補助金制度を活用している。
⇒富山駅付近の鉄道高架化事業の負担金、JR西日本からの協力金、国土交通省の国庫補助金
・市民と地元企業からの支援
⇒富山ライトレール(株)の設立にたいし、地元企業が出資、多くの寄付金、停車場の壁面整備に地元企業からの協賛金、新停留場の命名権を企業へ販売。
○利用者数
・総利用者:約846万人(平成18年4月~平成23年6月)
・平日:4,821人/日(開業前は2,266人/日)
休日:3.786人/日(開業前は1.045人/日)
○路線区間
7.6㎞、13駅
CENTRAM(市内電車環状線)
○特徴
・上下分離方式の整備
車両の運行(運輸収入、運転・運輸経費)は㈱富山地方鉄道
施設の建設、車両の購入(線路、電気設備、信号設備等)は富山市
・道路空間と一体的な整備(街並みとマッチした車両、駅等)
○利用者数
平成21年12月から開始。
・2,236人/日
では、最後に、CENTRAMを紹介します。
特徴は何といっても、おしゃれで、街並みに合った車両です!!