先日、何人かの方から、子宮頚がんワクチンについての問い合わせをいただきました。

今回、世田谷区議会で、子宮頚がんワクチンを含めてヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンへの公費助成、定期予防接種化を求める意見書を国に提出いたしましたので、皆様にもそのご報告をさせていただきます。

まず、子宮頚がんワクチンの簡単な説明と世田谷区の対応を書かせていただきます。

子宮頚がんは近年、20代から30代の女性の間で増加しており、子宮頚がんの原因は、性交渉を通じたHPV(ヒトパピローマウイルス)による感染であることが判明しています。このHPVには、約100種類あり、このうち7割の子宮頚がんの原因となる型(16型・18型)による感染を予防できるワクチンが、昨年12月から販売開始され、摂取できるようになっているのです。

このワクチンは、初めての性交渉前の年代に、3回(初回⇒1ヶ月後⇒5ヶ月後)接種する必要があり、費用は1回につき15,000円~2万円程度かかり、3回受けるとなると45,000円~6万円かかり、かなりの高額になります。そこで杉並区や渋谷区では、費用の1部を負担しています。

世田谷区の対応ですが、世田谷区では現在、子宮がん検診を20歳から39歳までの全ての女性区民が、800円の自己負担でいつでも区内の53医療機関で受診できるように、費用の1部を負担しています。これは最低でも2年に1度は検診を受けてもらいたいというねらいがあります。

HPVワクチンについては、性交渉前の11歳から12歳くらいまで(小学校高学年)が推奨年齢とみており、家庭や学校での性教育を行ったうえで、本人の正しい理解のもとに、接種することが望ましい、と世田谷区では考えており、そこで世田谷区議会として、今回子宮頚がんワクチンへの公費助成を国に求める意見書を提出したのです。

ここで簡単に、子宮頚がん以外の、ヒブ(Hib)ワクチン・肺炎球菌ワクチンについて、説明させていただきます。

ヒブ(Hib)ワクチン

・細菌性髄膜炎発症前の予防を効果的に行うことができるワクチン。

・細菌性髄膜炎は、乳幼児に重い後遺症を引き起こしたり、死亡することもある重篤な感染症で、その原因の7割~8割がインフルエンザ菌b型(Hib)や肺炎球菌によるもの。

・また細菌性髄膜炎は、早期診断・治療が難しく、発症前の予防が非常に重要。ここで、ヒブ(Hib)ワクチン・肺炎球菌ワクチンによって効果的に予防することが可能。

・ヒブ(Hib)ワクチンは、WTOの推奨により、世界100カ国以上で使用され、90カ国以上で定期予防接種とされており、導入している国では髄膜炎患者が激減している。

 肺炎球菌ワクチン

・細菌性髄膜炎の効果的な予防ができるだけではなく、高齢者の肺炎による死亡や入院などの重症化を予防する。

では、意見書の内容を簡単に書かせていただきますね!

「ヒブ(Hib)ワクチン・肺炎球菌ワクチン・子宮頚がんワクチンへの公費助成、定期予防接種化を求める意見書」

ヒブ(Hib)ワクチン・肺炎球菌ワクチン・子宮頚がんワクチンについては、任意接種であるため、個人の費用負担が大きく、接種率が低い状況にある。現在、政府も公費助成や定期予防接種化などを含め検討中であるが、国民の命を守るための早急な対策が必要。

よって世田谷区議会は、国会及び政府に対し、細菌性髄膜炎、肺炎、子宮頚がんの予防策をはかるため、以下の事項が1日でも早く実現されることを強く要望する。

●国として、ヒブ(Hib)ワクチン・肺炎球菌ワクチン・子宮頚がんワクチンの有効性・安全性を評価したうえで、公費による定期予防接種化を実施すること。

●ワクチンの安定供給のための手立てを講じること。