では、本日は2つ目の質問の詳細を書かせていただきます。
●プライバシーの問題に対する行政の対応について
従来のマスメデイアに加えて、インターネットなどの情報化社会の進展に伴い、個人のプライバシーに関する問題も数多く引き起こされるようになり、また人々の意識も以前にも増して高まってきている。
個人のプライバシーの問題は地域を越えるものであり、国の法整備が必要であると考えるが、しかし区民に影響することでもある以上、地方自治体も何らかの対応を迫られているのも事実。
① ストリートビューに関して、世界中で賛否両論の議論が巻き起こっている。今後どのように対応していくのか?まず伺う。
ストリートビューとは?
・「ストリートビュー」はネット検索大手の地図検索サービス「グーグルマップ」の付加機能で、公道から撮影した道路周辺の画像を編集し、インターネット上で閲覧可能となるよう、無料で公開するサービス。
・平成19年5月に米国でサービスを開始し、日本では平成20年8月5日から東京や大阪、千葉、さいたま、横浜、京都、神戸など、12都市を対象に開始した。海外ではアメリカをはじめオーストラリア、イギリス、イタリア、フランス、オランダなどで提供されており、今後も公開範囲を拡大していく予定。
・ストリートビューは、地図上の道路をクリックすると高さ2,1mからの沿道の風景写真をパノラマで見ることができ、パソコンの画面上であたかも実際の街角を散策しているような感覚を味わえることができる。よって障害者のバリアフリー整備状況を確認したり、外出先の外観を見たり、また市場調査も簡単にできることから、不動産産業、教育現場、観光地の紹介などで活用され、大変便利で画期的な地図検索システムである。
・しかしその反面、個人住宅の外観、所有する自動車の車種や物干し竿にぶら下がっている洗濯物など、生活状況がうかがえる画像が視認でき、また顔にぼかしが入っているが当然人間も映っており、ぼかし切れていない画像もある。また、中には男女のキスシーンや立ち小便をしている男性なども見られ、このような公序良俗に反した画像を集めて公開している専門サイトが立ち上がっており、プライバシー保護の観点から、問題になっているのが現状。
② プライバシーを守ることは必要だが、命に関わることとは別のベクトルで考えなければならない。これらの整合性に関して、世田谷区としては長期的にどのように対応していくのか、考えを伺う。
・今後高齢化が進んでいく中、一人暮らしの高齢者も増え、孤独死なども社会的な問題となり、個人のプライバシーを超えても人の命に対して行政が責任を負うべき、と意見もある。
・また地域の方からは、町会に入っている方だけでなく、それ以外の1人暮らしの高齢者等、支援を必要とされている方がどこにいるのか把握しておきたい、という声もある。
・このような問題の解決については、人の意思にもかかわることで、制度として一律に規定することは難しいが、1つの課題として行政が取り組んでいかななければならない、避けては通れない大きな課題である。
例:現在、世田谷区では災害時要援護者事業を実施。この事業は、災害時の対応として、個人の意向を確認したうえで個人情報の名簿を町会自治会に提供している。
では、質問と答弁を書かせていただきますね!
① ストリートビューに関して、世界中で賛否両論の議論が巻き起こっている。今後どのように対応していくのか?まず伺う。
答弁
・ストリートビューは、外出先の確認などに便利な反面、他人に知られたくない画像が公開されることに対し、プライバシー侵害等の問題があると指摘されている。
・このことは、2008年8月のサービス開始と同時に、新聞やテレビ等で大きく報道され、区や東京都でも、「ストリートビュー」の問題点について、様々な視点が議論されたが、現時点では法令において直ちに規制することは、難しい状況のようである。
・一方、グーグル社では、多くの批判や指摘を受け、昨年5月には、カメラの高さを40㎝に下げたうえで再撮影することや、人の顔やナンバープレートにぼかし処理をすること、不適切な画像は希望者からの申し出により速やかに削除の対応をすることなど、プライバシー保護にも一定の配慮をする、と発表している。
・区ではこのような状況を踏まえ、昨年9月に、「区のお知らせ」に画像の削除以来の方法等を掲載し、この問題について改めて区民の皆様に注意を喚起したところである。今後とも、国・都・他自治体の動向やグーグル社の対応を注視し、庁内で十分に連携しながら対応に努めてまいる。
② プライバシーを守ることは必要だが、命に関わることとは別のベクトルで考えなければならない。これらの整合性に関して、世田谷区としては長期的にどのように対応していくのか、考えを伺う。
答弁
・区では高齢者が住み慣れた地域で、いつまでも安心して暮らせる地域社会を目指し、区民同士の知りあい・ふれあい・支えあいの推進に取り組んでいる。
・近年、一人暮らしや認知症の高齢者など、見守りが必要な高齢者が増加しており、行政だけで対応できるものではなく、区民の支えあいによる取り組みがますます重要、と認識している。
・一方、個人情報に関する過剰反応ともいうべき現象があり、必要な情報が関係者の間で共有することが難しいとの問題も指摘されている。
・区は、地域関係団体・機関の連携を図り、高齢者見守りネットワークを構築する。そして広報や声かけなどで、支援が必要な高齢者の理解を得るように努める。そしてプライバシーを尊重しながら、高齢者を地域で孤立させない活動を展開していく。