3月18日の文教委員会での私の愛知県のICTを生かした教育についての質問をまとめましたので、掲載いたします。


少し長いですが、お時間のある方は目を通していただければ嬉しいです。






【東ゆうこの質問要旨】


愛知県のICTを生かした教育について


国が2011年4月に策定した「教育の情報化ビジョン」においては、「子どもたちの情報活用能力」「教科指導におけるデジタル教科書・教材や電子黒板などを効果的に活用したわかりやすく、深まる授業の実現」「教員の校務の情報化」の大きく3点を通して、教育の質の向上を目指すとしている。


こうしたICTを活用して、わかりやすく理解が深まる授業を展開するには、まずは授業中にICTを活用して指導できる能力を持つ教員の育成が必要不可欠と考える。



愛知県のICTを生かした教育においては、教員のICT活用指導力の一層の向上を図る必要があると感じるが、県教育委員会では、教員のICT活用指導力向上のために具体的にどのような取組をされているのか。



また文部科学省が2006年度から2009年度までに全国規模で実施した高校教員のICT活用指導能力調査では、愛知県の教員は全国平均の61%よりも7.6%低い53.4%となっている。この理由をどう考えるか伺う。


【高等学校教育課長】


平成16年3月に県立学校情報化推進計画を策定し、「コンピュータ利活用のための教員の指導力向上研修」を実施しており、平成18年度までに、おおむね全ての教員がコンピュータを使用できるようにするため、県総合教育センターの研修指導主事が学校へ訪問し、操作方法を指導する「県立学校情報教育推進巡回講座」を実施してきた。また、その後、コンピュータを使って教科指導等ができる教員を増やすために、県総合教育センターで、授業の活用方法や実践事例を研修する「コンピュータ活用研修」や「ICT能力向上研修」を実施した。


これらの研修は、県立学校だけでなく小中学校の教員も対象としている。現在は、県総合教育センターにおいて、情報教育推進のためのリーダーを養成する「情報教育指導者講座」やコンピュータを活用した教材作成等を研修する「コンピュータ活用講座」を実施し、教員のICT活用指導力の向上に努めている。


委員指摘の文部科学省調査の件については、平成23年度の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の結果では、授業中にICTを活用して指導する能力について、全国平均が66.1%のところ、愛知県は57.0%となっているが、その理由についての調査は実施していない。愛知県の場合、コンピュータ1台あたりの児童生徒数の割合が8.3人と全国的にみて高いため、情報以外の教科で生徒がコンピュータを使用しにくい状況が影響しているのではと考えている。今後は調査結果を分析するとともに、環境整備も含めて研修等の充実を図っていきたい。



【東ゆうこ】


愛知県でICTを活用したモデル事業で、知立東高校と岡崎東高校において11台のタブレットを活用して数学と家庭科の授業を実践されているということを聞いたが、このモデル事業のこれまでの取組状況とその成果、今後の課題を伺う。


【高等学校教育課長】


県総合教育センターが委員ご指摘の高等学校2校と、特別支援学校2校を研究協力校とし、平成24、25年度の2年間でタブレットを活用した授業実践の研究を行っている。


その研究の成果として、普段スマートフォンを操作している生徒たちにとって、特別な説明は必要なく抵抗感なく操作ができること、設置準備が容易で、普通教室でも活用できるなどがあげられる。


特に特別支援学校においては、力を入れずに指先だけで直感的に操作ができ、筆記具を使用することが苦手な生徒でも使いこなすことができるなどの成果につながっている。


課題としては、新たにタブレットを配備するために機器本体の費用に加え、無線LANの整備も必要となることなど、費用が多大になることがあげられる。


現在、県内の高等学校では、本年2月、商業科4校にタブレットを21台ずつ配備し、アプリを開発したり、グループ学習の発表等で活用したりする予定である。整備したばかりであることから、これらを活用した実践研究はこれからとなるが、今後、教育現場における活用は不可欠なものとなると考えられるため、費用対効果の面も考えながら整備について検討してまいりたい。



【東ゆうこ】


教員の校務の情報化について、ICTにより効率的にペーパーワークを処理することができれば、工夫を凝らした授業の準備や子どもたちの指導にも目を向ける時間の余裕ができると思うが、これまでの取組み状況や具体的な目標を伺う。


【教育企画室長】


校務の情報化は学校運営の効率化につながることから、「県立学校情報化推進計画」に基づき、平成23年度に校務支援システムの開発を行い、昨年の夏に全県立学校に導入したところである。


このシステムを活用することにより、教員が一堂に会さなくても随時、連絡事項の伝達や情報交換を行うことができ会議時間の短縮につながるとともに、スケジュールの共有も行うことができる。


成績処理にあたっても、テストの得点等を入力することなどにより自動的に成績一覧表や調査書、指導要録などの各種帳票等を作成することなどが可能となり、校務の軽減につながるものと考えている。さらに、全校統一のシステムであるため、教員がどの学校に異動しても同じ操作で利用することができるものとなっている。


このシステムが全校において活用されることが非常に大切であるので、今年度には教員を対象とした操作研修会を行うとともに、サポート体制も整備した。来年度においても、一層の活用を促すとともに、より使いやすいシステムとなるよう必要な改善を行ってまいりたい。


【東ゆうこ】ーー ★要望★



愛知県では校務の情報化が進んでいるということで今後とも推進していただきたい。学校現場でのICT教育もモデル事業の取組を研究していただき、より推進していただくようお願いしたい。スーパーイングリッシュハブスクールにおける12校のモデル校についてもICTを取り入れた英語教育を研究していただきたい。