前回の記事から続きますが、
昔住んでいたマンションで同じフロアに住まわれていた70代男性のお話です。
その方は、そのマンションが建つ前からその場所にお住まいで
マンションの理事長も長年されていました。
生まれも育ちもいかにも下町のおじさんという感じの威勢の良い方
父は、
「ああいう人は口は悪くても人情味ある良い人なんだ。」
と言っていました。(父はそのマンションに住んでいませんでしたが・・・)
エレベーターで会うと何かしら話しかけてくれて
私も親しみやすいおじさんと思っていました
また、奥さんも昔スナックを経営していたとかで
気さくに話しかけてくれて良い方だなと
基本的にはたまにフロアですれ違うだけの関係ですから、
その程度の認識しかありませんでした。
ですが、そのマンションに住んで10年以上経ったある日、
奥さんとロビーですれ違い
めずらしく立ち話をした時に
ビックリするようなお話を伺ったのです
私が30歳を過ぎてまだ独身だという話から奥さんが私に放った言葉。
「お姉ちゃん、女性は結婚なんてするもんじゃないよ。しない方が幸せだよ。私を見てごらん。私、がんになっちゃったんだよ。今は抗がん剤治療のために近くの病院に通っているの。親も親戚も誰もがんになった人がいないのに私だけなっちゃったのは、毎日あの人と一緒に暮らしているストレスからだよ。家にあの人がいるんだもん、酒を飲んでは暴れるし相当大変だった。時代が違えば離婚したかった。」
そのお話を聞いて、晴天の霹靂というくらいのショックを受けました
奥さんはいつも明るいキャラで元気に話しかけてくれる方。
その奥さんが初めて深刻に打ち明けてくれたのがこの話です
しかも、病気のことまで・・・
結構ご夫婦で一緒にいる姿を拝見したことがあったので
仲が良いものとばかり思っていたのですが、
実際は違ったなんて
そして、それからしばらくして、
奥さんが亡くなられたということを知ったので、
私は奥さんにお線香をあげるためにご自宅に伺いました。
ご主人が迎え入れてくださり、お線香をあげた後に、ご主人と30分くらいお話ししました
その内容は、
・奥さんの闘病について。
・奥さんに手を挙げたことがあり後悔していると。
・俺は世界一素晴らしい母ちゃんを死なせてしまった世界一最低な男だと弔辞で読んだと。
・今までさんざん色んな人と喧嘩をしてきた。フライパンで殴ったこともある。
・俺は小学校の時からこの地域の番長で、この辺では○○(名前)といえば有名だと。
ご主人のお話を聞いて、唖然としてしまいました
ご主人は、長年一緒に暮らしてきた奥さんに先立たれて、
相当参っているようでした。
そこは純粋にお気の毒に思いました。
でも、奥さんに暴力を振るったことは、
懺悔しても許されることではないでしょう。
暴力については奥さんから具体的に聞いていませんが、
たぶんかなり言いずらかったんだと思います
それでも、ご主人に対しての思いを、大した間柄でもない私に打ち明けてくれたのは
相当なストレスがあったから。
奥さんはこれまでどれだけ辛い思いをされたのだろうか・・・
ご主人は、まさか私が奥さんから事実を聞いて奥さんの気持ちを知っているなんて知りもしないので、
弔辞での言葉など、やや酔いしれて話していました
そして、途中から話が脱線して
喧嘩やこの辺り一帯の番長だったという話。
それ、何のためにおっしゃったのでしょう?
70歳を越えてもなお、番長だったことが自慢てこと
ご主人、一応付け加えますが意地悪な人ではないんです。
我が家のお風呂の蛇口が壊れた時に手を貸してくださったこともあり・・・
感謝していることもあります。
ただ、とても短気で、高齢になってもしょっちゅう色々な方と喧嘩をされてしまうような方。
そして奥さんとの気持ちの乖離は大きかった
同じフロアのご近所さんくらいの関係であれば良いおじさんで済みますが、
ご家族や職場の方、関係の近い方は大変だっただろうなと
モラルやマナーについて理解を求めるのは不可能なので
今日の肩叩きおじさんみたいな方に遭遇した時には
このご主人みたいな人なのかなと思うようにしています。
具体的に想像する人がいると、
関らないのが一番
と納得しやすい気がします