1月1日 元旦


この日は思いつきで


父方の祖父母の家に遊びに行くことにした。


おばあちゃんの驚いた顔が見たかった。



一人で新幹線に乗ることなんて


別に珍しいことでもないのに


なぜか少し心細かった。




でも


もっと心細くしていたのは


私なんかより


おばあちゃんの方だった。


おじいちゃんが入院生活を始めてからは


大きな家に一人ぼっち。


5年ぶりの再会。


すっかり真っ白と化してしまった髪に


ショックを隠せなかった。


「由布子ちゃん」


おばあちゃんの優しさは昔と何一つ変わってなかった。


「ごめんね、突然だったから大したものは用意できなかったよ」


そう言って手作りのお雑煮とお節料理を並べてくれた。


「由布子ちゃんの生まれた時はねぇ


初孫だって言って親戚中が大喜びだったんだよ」




驚いたことに、


私が生まれて初めて雑誌に載った時から


これまでの約8年間の


切り抜きを全て大事にとっておいてくれていたのだ。


「あぁ、それはね


お母さんが毎月送ってくれてたからつい捨てられなくてね」



ぐっとこみあげてくるものを


必死でおさえた。


その時


24歳にもなって初めて


“家族愛”っていうものを痛感した気がした。


ドラマでも、映画の世界でもなく、


現実に。


遅いよ、今更。