ケーキは芸術作品。
美しく楽しく繊細。
いつだって目を楽しませてくれる。
ケーキが並んだショーウィンドウは美術館。
やっぱり芸術作品だから、きちんとガラスケースに入っている。
様々な芸術作品、ケーキが並ぶガラスケースはミニ美術展。
「ケーキを好きなだけ思いっきり食べたーい」
ケーキ屋さんに走ったことがある。
どのケーキにしようか。
どれもこれも素晴らしい芸術作品。
1個だけ選ぶわけではないのに、好きなだけ食べるのに迷う迷う。
上からだけでなく、切り口の様子もじっくりと鑑賞。
スポンジケーキとクリームがおりなす層。たまにフルーツが顔を見せたり、フルーツソースやチョコレートが層に加わったりしている。
パティシエの手によっておりなされた見事な断層。
フルーツの王冠フルーツタルト。フルーツがのせられたパイ生地は、端の湾曲までもが美しい。
宝石の王冠とはまた違った美しさがある。
いくら芸術作品だからといっても、じっくりと見ているだけではいけない。選ばなければ。
切り口の断層もしっかりと鑑賞した上で8個選ぶ。
芸術作品を自分で選んで購入する。なんて贅沢なんでしょう。
私が選んだ芸術作品、ケーキが箱に詰められていく。
持ち帰る時にも慎重に。平らを保つように気をつけて。
なにせ芸術作品なんだから。
繊細なんだから。
つぶれやすいしくずれやすい。
帰宅して箱を開ける。
「わー!」
今、芸術作品が私の家に、私の手中にある。
なんだか私のためだけにオリジナルでつくりあげられた芸術作品であるような錯覚さえ起こしてしまう。
どの芸術作品から手にしよう。
様々なフルーツがのったフルーツタルト。
フルーツの王冠から口へと運ぶ。フルーツをコーティングしているゼラチンが、磨きあげられたダイヤモンドのように輝く。
フルーツ1つ1つが粒の大きな宝石のよう。
「陳は満足である」
次は、次はとどんどん芸術作品、ケーキが私の口に入っていく。
5個食べたらかなりお腹がいっぱいというよりも、口の中から食道、胃までクリームで塗りたくられたような、もうクリームは通りませんと体が拒否してしまうような感覚を覚えた。
後の3つはまた明日以降。
しかし、次の日は食べる気がしなくなったケーキ。
やっぱりケーキは芸術作品。
私は美術商でもないし、我が家は美術館ではない。
よって、芸術作品は気に入ったものが1つか2つあればいいということに気づく。
1つか2つ、じっくりと鑑賞しながら味わいながら食べるのが王道。
自宅にて、センスよく粋に芸術作品を味わうには、いろんな作品をとにかく置けばいいというものではない。
きちんと考えなければいけない。
だってケーキは芸術作品。
きちんと味合わなければ、つくった方に対しても失礼だものね。

