妻を殺され酒浸りの生活を送るコペンハーゲン警察の、休職中の捜査官トマス・ラウンスホルト。通称ラウン。
ある日、自宅に帰ると、愛する妻が強盗事件に遭遇し殺されており、捜査されたものの、犯人はいまだ捕まらぬまま。
酒浸りの生活を送る彼は、妻が殺された部屋に帰るのも苦しく、
二人で、老後にあちこち旅しようと楽しみにしていたヨットの中で寝泊まりする日々。
そんな彼に、友達で、パブのバーテンダーのジョンソンが、掃除に来ているナジャというリトアニア出身の女性の娘が二年前から行方不明になっているので、探してくれないか、と頼んできます。
毎日生きることさえ苦しいラウン。
頑なに断るのですが、断り切れず、その娘、マーシャを探していくうちに、
売春婦の移民女性を取り巻く、ロシア人マフィア集団の残忍さ、凶悪さに巻き込まれていくことに・・・
そして同じ時期、若い女性が巻き込まれる、猟奇的連続殺人事件が起きていたのでした。
国際的な人身売買がテーマではあるのですが、北欧ミステリによくある、じめじめとした感じがたまらないといいますか・・・
物語が秋から冬へと繰り広げられることだけが理由でもない、物語全般に寒さが、じめじめとした重たさが漂うのが私が北欧ミステリが好きな理由なのですが、今回は特に、北欧ミステリの王道といった感じの設定で。
暴力の連鎖、とにかく移民女性がこれでもかこれでもかと痛めつけられて・・・
先日読んだエーヴェルト・グレーンス警部シリーズ第二弾、『BOX21』 も今作と全く同じ、リトアニア出身の売春婦の物語でした。
エーヴェルト・グレーンス警部はストックホルム市警だったけれど、今作は隣国、デンマークのコペンハーゲン警察の捜査官が主人公。
しかし、隣国なのになんでこうディスりまくるんだか(笑)
デンマークというとどうしても特捜部Qシリーズと比べてしまい、
特捜部Qシリーズに比べると斬新さはないし、どっかで読んだ北欧ミステリのいろんな要素が寄せ集められた感が否めず・・・
とはいえ、
まだ日本では続きは出ていないようですが、シリーズ化されているようだし、
主人公の周りの友人たちのキャラがなかなかいいので、今後に期待したいところ。
頼まれて仕方なく引き受けた女性の捜索だったけれど、
そのおかげでラウンは、妻を失った悲しみを乗りこえていくきっかけをつかむことにもなったわけだし。
シリーズ、次に少し期待、ですかねぇ・・・
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