極大射程 下巻  [スティーブン・ハンター] | 花火屑

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本当に良いものはいつになっても色褪せない

極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)/
スティーヴン ハンター

¥700 Amazon.co.jp
★★★★★

一気に読んでしまいました!
読書体力がこれまでになく落ちていたのにこんなにすぐに読めちゃうとはね!


下巻は追い詰められ大事な愛犬を殺されたボブの華麗な反撃がメインに描かれています。


ボブが貶められた計画というのが、アメリが大統領がエルサルバドルの大司教に、何かの勲章を授与する式典での狙撃です。
狙いはもちろん大統領……と誰もが思っていたのですが、狙撃され殺されたのは大司教の方だった…!
しかし1,000ヤードを超える距離からの狙撃。
狙いがはずれたに違いない。

FBIは現場から怪我をして現れたボブを第一容疑者として追います。
それが"ランサー委員会"の仕掛けた恐るべき計画だった、と言うわけです。



狙撃現場からボブと接触したにもかかわらず取り逃がしたFBI捜査官・メンフィスは、組織内からも叩かれ、ボブとの接触によって情報が漏れたと危惧する"ランサー委員会"からも狙われてしまいます。
彼はもとSWATの狙撃手でもありましたが、5年ほど前の事件で容疑者の近くにいた人質を撃ってしまい、ライフルからは距離を置いています。

ボブは命を狙われていたメンフィスを助け、自分の復讐の計画に引き込みます。
メンフィスの方も見えない敵に狙われ、後戻りできないところまで来てしまったことを知り、ボブに協力します。

そしてここからは戦争の始まり。
相手の思考を読み、綿密に計画を練り、丹念に準備を進めます。

その計画が凄いんだー。
読み手はまず"ランサー委員会"側の計画を先に読むのですが、それに対して自分なりの対策なんて立てられない!八方塞がりのように思えるんです。
でもボブは戦争経験者としての勘と仲間の力でそいつらをギャフンと言わせちゃうんです!


先にこの作品の映画を見ているんですが、たしか『ボーン・アイデンティティ』で始まるシリーズと同じ時期だったと思うんです。
向こうは殆ど人が死なないので、こっちは『力による強引な解決』っという印象だったんですが、きちんと順を追っていくと、敵方のやり方にこっちが合わせている、といった感じ。

相手の命を取りに行くやりとりでも、ねちねちと追い込まれる裁判でも。
ボブは持ち前の集中力としたたかさで乗り越えてしまいます。

序盤に戦争や銃についての描写が長々続いていたのが、ここで生きているように感じました。
彼らは"そういった世界で生きているのだ"ってことが、読者にも理解できる段階で戦いが始まっていて、そしてその世界のルールで彼らは勝利するんです!


"あれ"とか"それ"とかが多くて分かりにくい文章になってしまいました。
でも時間を忘れて没頭できる小説であることは間違いないので、機会がおありの方は是非手に取っていただきたいと思います。

個人的には下巻のボブの反撃の方が面白いです。
あぁ、こういう話をもっと読みたいんだ。



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