長女が1歳の頃、私達は初めて長女を連れて日本へ一時帰国しました。
アメリカで生まれた長女を、日本の家族に会わせるための帰国です。
帰国中、長女はすでに離乳食が始まっていましたが、
もともと食が細く、あまり食べないまま日本滞在を過ごしていました。
そして帰国最終日。
アメリカへ戻るその日、空港まで義父と義母が見送りに来てくれました。
その日はたまたま、私の母も一緒に来てくれていました。
搭乗まで少し時間があったので、
空港のカフェでお茶をすることに。。。
ショーケースには、ケーキが並んでいました。
長女はぶどうが大好きでした。
すると義母が嬉しそうに言いました。
「あ!長女ちゃんの好きなぶどうのってるケーキあるやん!」
見てみると、グラスの中にムースが入っていて、
上にぶどうが一粒とミントの葉がのっているケーキでした。
上にぶどうが一粒とミントの葉がのっているケーキでした。
ショーケースの中には、それが縦にいくつか並んでいました。
義母は店員さんに言いました。
「これ、1つちょうだい」
店員さんがショーケースの中のケーキを取ろうとした、その時。
義母は、すっと人差し指を自分の口元に持っていき、左右に振り
そして
カウボーイよろしく舌を
チッチッチッ
「ちゃうちゃう」
そう言いながら、ショーケースを指さしながら
「この一番手前の、これ。この私に近いやつちょうだい」
「これが一番ぶどう大きいから」
さらに追い打ち。
「私お金払うんやから、選ぶ権利あるよね〜」
……空気が止まりました。
私は心の中で、ひたすら店員さんに謝っていました。
(ほんますみません。)
隣にいた私の母も、
かなり驚いた顔をしていました。
そしてケーキが運ばれてきました。
長女はぶどうをひとつ食べて、
それで満足。
ケーキ本体には、ほとんど手をつけません。
すると義母が言いました。
「はい、これはお母さんのせきにーん♪」
そう言って、ケーキを私の前に置きました。
そして長女に聞きます。
「どうする?もう一つぶどう食べる?」
「えぇっ⁉️」
私と母は思わず声をあげました。
同時に、私は心の中で祈りました。
(お願いやから、食べへんって言うて…)
もし「食べる」と言ったら――
義母はまたショーケースの前に仁王立ちし
ぶどうの大きさを吟味し
そしてぶどうだけを長女に渡し
ぶどうのないケーキが私の前に置かれるからです。
幸い、長女は言いました。
「食べない」
その瞬間、
心の底からホッとしました。
でも、今でも思い出します。
あの時の光景と、
ぶどうの大きさを選びながら、店員さんに言い放ったあの一言。
「私お金払うんやから、選ぶ権利あるよね〜」
……なんでやねん。