『砂の女』安部公房 | おはなし大好き♪

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読書会に向けて読了。

世界40ヶ国以上で翻訳された作品。


時代だなぁと思う場面がある反面、

普遍的な感覚もあった。

読む年齢によって受け取り方、

感じ方が随分変わってくる気もする。

生々しい描写や

砂穴での生活が

丁寧すぎるほどに描かれていて

生きるということをリアルに

突きつけられる。



罰がなければ、逃げるたのしみもない

(『砂の女』序文より)



鳥のように、飛び立ちたいと願う自由もあれば、

巢ごもって、誰からも邪魔されまいと願う自由もある。

(『砂の女』「著者の言葉」より)



主人公目線で話が紡がれていくが、

終盤、彼がはたと気づいたように、

俯瞰的に状況を見た場合、

描かれた状況の中に見える景色が

全く違ってくるように思う。

同じ話を女目線で書くとどうなるか。

読んでみたい気がする。


漫画のあたりから声との対話の場面では

込み上げてくるものがあった。

思わず口に出た「植木」が

なんだか彼の本当の姿に思えて和んだ。


「彼は、砂の中から、水といっしょに、

もう一人の自分を

ひろい出してきたのかもしれなかった。」


この一言に尽きる。

知らなかったことを知る。

見ようとしていなかったものを見る。

気づいていなかったものに気づく。

視点を変える。


安部公房について全く知識がなかったが

読み終えてから調べると

満州で育ち

大学生の頃に第二次世界大戦があり

満州で終戦を迎えたとのこと


そのことをふまえて作品を思い返すと

思いが垣間見れるような気がした


前回の読書会では

カミュの『ペスト』を読みあって

カミュが描く不条理の世界を語り合ったが

安部公房もカミュも

生きた時代がほぼ同じと知って

何か納得するところがあった


たくさん作品を残していて

SFもあるようなので

他の作品も読んでみたい




読了後

こちらも読んでいるところ






満州からの引き揚げは

以前この作品を読了