前回は、「物」に対する「想像力」のお話をしました。
今回は、「人」に対する「想像力」=「思いやりの心」のお話です。
「ごっこ遊び」では、皆、自分以外の誰かにならなければなりません。
その時、子どもの「人に対する想像力」がフル回転するのです。
お母さん役になった時、
「ごはん、残さないで食べるんですよ。」と言います。
普段、自分が言われているセリフですが、
自分がお母さんになって、お料理を作って、子どもたちに食べさせる時は、
自然とお母さんの心になって
「一生懸命作ったごはん、ちゃんと食べて欲しいな」と思って言うのです。
また、ヒーロー役・悪者役になって戦っている男の子たちだって、
遊ぶたび、両方の役をやってみるからこそ、
「やられっぱなしは、悔しいな」とか
「本気でやったら、痛すぎるな」など、
相手役の気持ちや立場を想像し、
力の加減もできるようになっていきます。
「ごっこ遊び」の中で、いろいろな役になりきって、体験することで、
子どもは少しずつ、相手の立場に立って
「自分だったら、こう思うだろうな」と相手の気持ちを考えられるようになっていきます。
自分以外の人になる。
その為の「想像力」とは、すなわち、「自分以外の人の心に近づく」=「思いやりの心」なのです。
大人でも、立場の違う相手に真の「思いやり」を示すのは、簡単なことではありません。
でも、素直な子どもの心のうちに、いろいろな役になりきれる「ごっこ遊び」をたくさん経験し、
広い思いやりの心が育まれるといいなと思うのです。
(HP「ゆっこせんせいのおもちゃ箱>コラム」より)