ご縁があって東大寺ライブに行くことができました。
初めての神社仏閣ライブ。
ライブに参加して、終わってから1日経った今も何とも不思議な感覚で、余韻に浸っています。
ライブって総じて終わった後、「楽しかったー!漫喫したー!」という高揚感でいっぱいになるでしょ。
だけど、大仏殿をバックに行われたライブは、決して大音量ではないのに壮大で荘厳で、自分の目で見て、耳で聴き、五感で感じて、興奮、祈りや願い、切なさ、悲しみ、人を愛する気持ち、望郷の想い、自分の中にいろんな感情が沸き起こってうまく言葉に表せません。
とにかく凄かった、凄いものを見ちゃった。
堂本剛の生き様を見た。
剛くんの魂の声がストレートに伝わってきた。
9月15日、奈良東大寺という同じ空間で、大仏様と奈良の空へと天高く響く途切れることのない演奏、雨上がりの湿った空気、風や虫の声も全部ひっくるめてこの瞬間に立ち会うことができて良かった、それが1番の感想。
合掌で終わるライブも初めてでした。
以降、セットリストを追いながら、思い出せる範囲で。
開演開始時間の19時を2・3分回ったところで、バンメンさんたちが登場、その後剛くんもステージに現れ、照明が点くと同時に演奏が始まった。
バンドの皆さんはお揃いの銀色の袈裟風衣装。
剛くんは脇が大きく空いたゆるっとした黒タンクトップに片側だけストラップがあるシルバーの袈裟風衣装(腹部から裾の合わせにかけて縦に白銀の刺繍かスパンコールでキラキラしていた)にケリーの紫ヘッドホン、うっすらお髭、両手中指にシルバーの指輪、首元にもアクセサリーがあったような…
お化粧をしていないのか、素顔のように見えた。
ありのままの自分でステージに立ったのかな、と。
1 ラカチノトヒ
前奏からは何が始まるのか全く想像つかなくて、かなり意表を付かれた選曲。
大仏殿に映し出された極彩色のプロジェクションマッピングが荘厳できれいだった。
2 Hybrid Funk
だいぶアレンジされてスローに落とした前奏の後に、
”ひとがひとであることを悔やむような”の歌詞パートから始まって、そこでHybrid Funkだと気づく。
スローに落としているから、ファンクというよりもメローで紫の照明も相まって気だるげだった。
3 宋流Power(新曲)
めちゃくちゃカッコイイ曲だった。
CD音源で欲しい
4 Believe in intuition
ここ、記憶からすっぽり抜け落ちている。
5 inst
ステージ上から剛くんの姿が見えなくなり、大仏殿の中に剛くんが一人入って大仏様に対峙する姿が会場のモニターに映し出される。
バンドがステージに残って演奏する中、大仏様の前で対話するかのようにギターソロをメロディアスに掻き鳴らす、その音がまるで剛くんの核となる魂が歌っているかのように聴こえて、すごく心を揺さぶられて自然と涙が溢れた。
インストで感動して泣いたのは初めてだよ。
後から思い出しても、あれはギターが本当に歌っていた。
剛くんて、こんなにギターが上手かったんだね( °_° )!!
上手い下手という次元ではなくて、一人の人としての魂の叫び。
伝えること、表現するということに関しては、それが自分の体を使って歌としてアウトプットするか、楽器を使って出すか、方法論の違いで剛くんにとってはどっちも一緒なんだなぁ、とすとんと腑に落ちた。
ギターを弾きながら大仏様を見上げる剛くんの表情は澄んでいてとても綺麗で見惚れた。
後半で僧侶の方が法螺貝を吹いて演奏に加わって、バンド、法螺貝、剛くんのギター…とにかく圧倒された。
曲もかっこよかったし、この部分だけでも映像化して欲しいなぁ。
大仏とセッションして、こんなに絵になる人が他にいるんだろうかって、ファン目線ではあるけれど本気で思った。
と同時に、絵的に大晦日の「行く年来る年」みたいだな、とちらっと思ってしまったのは内緒。
6 去な宇宙
レーザー光線とたくさんのシャボン玉が飛んで、レーザービームに照らされたシャボン玉が細かなスパンコールのようにキラキラ反射してきれい。
去な宇宙もスローに落としてメローな雰囲気。
7 奉納session
1曲ではなく、途中リフとコードを変えながら何曲か続けて、それぞれのソロを長く取りながら1時間近くセッション。
スティーブさんのパーカッションソロお寺にマッチして良かったし、コーラス二人(恵子さん、オリビア)のセッションが素敵で、十川さんが弾くピアノのメロディが切なくて綺麗で、セッション後半、竹内くんのギターソロにたいじくんが重なって、2人のギターセッションがめちゃめちゃかっこよくて、その上がったムードを引き継いだ最後の剛くんギターソロでステージセンターからリフターで上がっていって、大仏様の顔の下あたりまで上ってびっくり。
リフターがいわゆる光剛山で、一瞬KinKiのドームかと錯覚したよ(^_^;)
一気にアイドルカラーが出ちゃって、東大寺奉納ライブの趣旨には合わないと感じたよ。私はね
8 街
リフターが下がって、ステージに戻ると、十川さんによるピアノ演奏、Gakushiくんのシンセサイザーが重なって、剛くんの”僕が~”という第一声を聴いて、驚きと喜びで一緒に入ったブロ友さんと顔を見合わせたよ。
だって、耳を患ってからリズムで歌える曲は良いけれど、メロディーに音を当てていくような曲は難しいと聞いていたから。
まさか、街を聴けるとは思わなくて。
確かに、ここが奈良で、街が剛くんの楽曲の中で1番奈良を表していることは承知の上で、それでも今の剛くんを思えば想定外だった。
情感を込めて歌い上げるというよりも、ぽつりぽつりと歌うのは耳のためなのかと思って聴いていたら、最後の大サビ“この体まだ行けるさ“で、しゃくり上げるたように喉をつまらせ、その後を歌えなくなってしまった。
マイクを手放さないから喉を詰まらせた呼吸音をマイクが拾って、その瞬間、あぁ、気持ちが溢れ出して歌えなくなっちゃったんだ…ってわかった。
その続きを会場にいるファンが代わりに歌い、バンドの音、コーラスがフォローするように大きくなって、励ますように拍手が起こり…
そして、最後のフレーズ“痛みだけは 忘れたくないんだ“を声を震えながら歌い、ギターを弾いている手元が会場のモニターに映し出された。
歌詞で言うと、この部分
このカラダまだいけるさ
ゲームはまだ終わっちゃいないさ
愛を見失ってしまう時代だ
自分を守り生きていく時代だ
何かを守るために
愛を伏せるなんて不細工だ
愛を見失ってしまう時代だ
街も求めているんだ
自分を守り生きていく時代だ
だからこそタマシイが
愛を刻もう 傷ついたりもするんだけど
痛みだけは 忘れたくないんだ
昔の辛かった頃の自分、今現在耳を患って闘病中に降り掛かる苦難、いろんなものが駆け巡って、ぶわっと溢れ出したんだろうな。
その時その時で、自分の体の状況や想いを伝えてくれる剛くんだけれど、去年の夏から弱音を見せずに傷つきながらも不器用に前に進もうとずっと気を張って強い姿勢を見せていたから、何かね、大仏様の前で、剛くんを思うみんなの前で泣くことができて良かったね、って思った。
きっと泣けたことで何かが浄化できたんじゃないかな。
9 メンバー紹介、バンドメンバー退場、MC(40分ぐらい)
声を震わせながらもバンドメンバーを紹介し、今回何をやるかすごく悩んで「街」を歌うつもりはなかったけれど、スタッフの勧めもあって、でも街は自分にとって思い入れが強い曲だからわがままになってしまわないか、自分の色が濃くなってしまわないかと最後まで悩んで、それでも自分が生まれ育った奈良への想いを聴いてもらいたい、大仏様にも人々が生きてきた歴史を思い出してもらいたいと思って歌うことにした。
この場に立てることを仏様に感謝したり、自分を愛すること、その難しさ、自分を育んでくれた奈良の地を思ったら、そんなはずではなかったのに感情が溢れてしまった、と。
ライブを終えて、全てやり切った出し切った剛くんは思考が飛んでホワホワしている中、東大寺さんからお話を頂いて夢のように嬉しくて、たくさんの方のお力添えでライブができた感謝や奈良を愛する想いを「繰り返しになりますが」と、思考がまとまらないながら何度もピュアな表情で一生懸命言葉にして話してくれて、剛くん、良かったね、と思ったし、自分が同じ時間を共有させてもらえることが嬉しかった。
歌えなくなった剛くんを励ます拍手だったり、剛くんが何も言わずとも最後ステージから捌けて、大仏様に静かに合掌するとそれに呼応して会場にいる人たちも合掌する姿とか、温かくて優しくて、剛くんの真心や想い、姿勢は伝わっているんだな、って思いました。
体感した今回のライブ、とっても不思議な感覚で、例えて言うなら、大きな寺院の本殿の御本尊の前にたくさんの僧侶が会して朗々と読経を上げる、あれを聴いている感覚に近いような気がします。
観客を盛り上げるためではなく、大仏様への奉納演奏を目的としたライブ。
欲を言えば、あと1曲でも2曲でも良いから、剛くんの歌を聴きたかった。
「縁を結いて」とか「空が泣くから」とか「春涙」とか「I’ve found my voice」とか…
これも、行ってみないとわからないこと。
ライブ翌日は、一夜明けた東大寺大仏殿に足を運び、
西大寺をお参りし、
剛くんが自分が苦しかった時、奈良に帰ってきて、大仏様に話を聴いてもらったり、平城宮跡に行って、抱えきれない気持ちを空に解放して預けて、自分が成長したらまたもらいにくる、そう思ってやってきた、そんな話をしていたことに想いを馳せ、平城宮跡も歩いてきました。
2日間では行きたい所を周りきれなかったから、
(飛鳥方面や天河神社の方にも行きたかった)
いつの日か、時間を忘れて物思いにふけったりするような、そんなふうにゆっくりと奈良を訪れたいです。