http://toyokeizai.net/articles/-/85848
賃金が上がらない中で、デフレは低所得者の味方です。
結局、実質賃金が下がる中で財布の紐がドンドン締まる、コストプッシュがキツクなってもディマンドが落ちれば値段を下げざるを得なくなる、そしてマージンが落ちる、悪循環ですね。
スタグフレーション、というより、最近では、中間所得層の貧困化を意味するスクリューイング(screwing)とインフレを組み合わせたスクリューフレーションと言われるそうです。
人口が減って需要が減る事は不可避なので仕方が無いです。所与として受け止めるしかない。でもそこで『中間所得層の貧困化』を加速させるような人為的な政策ミスによって事態を悪化させることが腹立たしい。日本のエコノミストが変なのと同列で、アメリカにいる浜田某などという無責任な学者が適当な事を言って日本を貶めるのが頭来ますね
これも以前当ブログにも書きましたし、講演などで、過去から日本がどういう状況になってきたのかを皆さんに理解して頂く為に御話していますが・・
1997年以降の『景気と所得の分離』、つまり、第1次オイルショック以降、4回あった不況時でさえ賃金が常に上昇していた日本で、不況も好況も関係無く趨勢的に所得が下がる、リーマンショック前の6年間、いざなぎ景気を越える長期景気拡大期でさえも所得は増えない、という状態になったのは、
新興国の台頭によって先進国が資源を安く買い叩く事が出来なくなり、交易条件の構図が崩れて悪化し、儲けがドンドン減る中、固定費である人件費が削られていった、という先進国全体に共通する流れです。
そこでアメリカが一気にウルトラC、実物経済で稼げないから金融経済で儲けよう、という方向に行き、行き過ぎてリーマンショックに突入し、そこからオバマさんがギアを戻した訳です。
日本は同時期、そちらには行かず(行けず)、ひたすらに省エネ技術とか合理化、改善、高機能化とか、必死の努力で乗り越えてきた。酷い交易条件でも円高でも利益を出せる体制を作り出してきた訳です。
日本は元々産業の裾野が広く、中間財などで圧倒的に強い中小企業も揃っています。付加価値の高い製品を作り出す技術力があり、国内市場で苛烈な競争を繰り広げる中で切磋琢磨し、徹底した企業努力によってコスト競争力の強化に繋げる底堅さが、大企業のみならず、中小企業に至るまであまねく浸透していて、長年に渡って積み重ねられてきた、それこそが経済全体の利潤率の高さに結び付いてきたはずです。
しかし交易条件がさらに厳しくなる中で、『真の』構造改革が行われず既得権益団体などに競争力を阻害される構図が変わらないままできたせいで、多元的な価値観や進化に柔軟に変化して付いていける体力がドンドン落ちてきたのです。
その体力を奪うような日本の強みを削ぐような政策ばかりを押し付け、肝心の必要な規制緩和や環境整備をして来なかったからこその停滞が今の状態だと思います。
勿論それに少子高齢化=総需要の縮小という条件の悪さも加わり、変化せずとも騙し騙しやっていけるマーケットに甘んじて変化を嫌い、今までの積み上げてきた貯金(強み)を取り崩し、ジリ貧になっている悪い意味での日本人気質も傾向を加速させてきたという事ですね。
やるべきことは、我々一人一人が多元的なレイヤーに果敢に対峙し、『稼ぐ』=価値を創造すること、真の構造改革を積極的に行うべく、働きかけ、自らも動く事、変化を恐れない事です。