たま木亭玉木潤さんの、パン・ド・ロデヴ講習会in京都 | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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まだまだ暑い9月30日、京都において玉木潤さん(たま木亭)の技術講習会と食べての楽しむ会を行いました。

(京都麻袋様において)

玉木さんは通常あまり講習会をされない方なので、申し込み殺到。受付はなかなか熾烈でした。

 

 

 

 

玉木さんのロデヴは独特の濡れたような感じがあり、この上なく心地よい噛みごこちと旨味。

多加水で灰分が高めの粉を使うということは、よい表現なら「風味が強い」。でも、悪い表現なら「穀物臭い」という人もいることになり、「10人のうち3人がおいしいと言ってくれたらそれでよい」と玉木さん。
「1×1を2にも3にもしたい」。
 
あぁ、久し振り! (最近お店は週4日営業で、なかなか行けなくなってしまいましたので)
生地は1週間分を一気に仕込んで、4日間の営業で毎日焼いていくそうです。
 
このようなタイプのパンは売りにくく、翌日売るのはよくない。「余るなら捨てる。あるいは作りかえる」覚悟で作るべき。その覚悟がないなら、作らないほうがよい。
覚悟を持って臨んでいる玉木さんの言葉はとても力強いものでした。
 
 

 

ドライフルーツ入りのが、なんともいえない風味があり(レーズンとクルミといちじくをラムに浸けているそう)、とてつもなくおいしいのです。この手のパンはどこで食べてもそれなりにおいしいものですが、これは格別。次にお店に行ったら、ぜったいに買いたいものです。

特別においしいパンを作る方というのは、味覚がとてもすぐれていらっしゃるのだと思うのです。

 

店のお若い職人さん達が、気持ちよく準備を進めてくださいます。

 

 

 

 

食べて楽しむ会は、京都リンデンバーム吉田シェフが来てくださり、いつものごとくおいしいものをいっぱいご用意くださいました。

 

こんなココット鍋いっぱいのテリーヌって、お肉はきっと何キロも使われたに違いないのです。

 

写真がないのですが、アルザスのベッコフ(お肉3種と白ワインの煮込み)が大人気。パン生地をココット鍋の周りにぐるっと貼って密閉してオーヴンで焼かれたものです(本当はパン屋さんの捨て釜に入れます)。パンの講習会にこれ以上ないぴったりの料理だといつも思います。
 

 

食事のあとは、ミニセミナーです。

豊中「ア・ビアント」松尾清史シェフにお越しいただき、玉木さんとトークショーをしていただきました。

私が考えたトークショーのテーマは「自分らしいパン屋の貫き方」。時短や働き方改革が進められ、店の経営という意味ではなかなかしんどい時代、どうやって繁盛店を作られているのか聞きたかったのです。

年月を経て、無理をしすぎずに自分のパンを焼けるようになってきた昨今の様子を、本音でお話くださいました。

 

自分はとにかくおいしいパンを一生懸命に焼いている。

ホスピタリティ? それは自分の役目ではないと思う。

 

お二人ともなかなかの主張があり、本音が飛び交い、私では十分にこの場を回せません・・・!! どうやって落としたらよいものかと内心ひやひやしながら、若い職人さんに振り、ベテランさんにも振りで、なんとか終えました。

 

ロデヴの会期は残すところあと3年。うまくいけば玉木さんの講習会はあと1回あるかもしれません。

受付の大変さを覚悟しながら、次の回も楽しみにしています。

 

おせわになった皆様方、どうもありがとうございました。