昔、作った詩集。

手製本。

『熱帯詩集』

 2013年作品 和綴じ本 A5変形本 42頁

印刷も装幀も造本も全部、塩澤の一人作業。

まことにひとり出版社の面目躍如だった。

発行部数は4部。

この本の後書きにこう書いた。

一九九〇年ごろから二〇〇〇年ごろにかけて、休暇を取り何度か、ひとりでタイやマレーシアを訪れ、チェンライ、メーホンソン、ゲンティンハイランド、フレイザース・ヒルなどのリゾートホテルや泊めてくれる寺院などに滞在して蝶を採集して過ごした。

熱帯のジャングルに踏みいって、美麗な蝶を捕ることはわたしの少年時代からの夢だった。

この七つの詩篇はその旅のさなかにつれづれに書きしるしたものだ。

写真の撮影者は塩沢槙。わたしは、二〇〇一年に勤めていた出版社を辞めたあと、大学を卒業し、イギリスに留学して、日本にもどったばかりの彼女と一緒に、東南アジアのリゾートホテルのフォト・ガイドブックを五冊作った。膨大な写真を撮ったが、ここに掲載したのは、その一部である。

これが扉。製本に使用した紙は総て和紙。

『熱帯詩集〜緑色に輝く幻の蝶を求めて〜』

この写真だけは昆虫写真家の海野和男さんの写真集からの引用転載。

オビクジャクアゲハ。熱帯アジアのジャングル地帯に棲息している。美麗な蝶だ。

 

目次部分。

                バンコックの雑踏にて……

                チェンライ最果てホテル……

                アジアの記憶……

                密林の奥へ……

                黄金の獅子のアジア……

                雨……

                旅の夜……

という構成。

ビジュアルでは女も登場する。

リゾートホテルの美しい月夜の光景。女房といっしょにいきたい。

女房が忙しかったら、他の女でもいいけど。

そんなこと書くと、外国旅行の家庭内ヴィザが下りない。

詩集の中の作品をいくつか紹介しよう。

 

これがキシタアゲハ。アジアの熱帯でもっとも大型の蝶だ。

 

 

カンボジアの古代遺跡を探検した。観光地ではない、純粋の廃墟。

そのときに作った詩がこれ。

 

この詩集は、これらの写真の撮影者である娘の塩沢槙に一冊。

千駄ヶ谷の岸惠子(このころはまだ、彼女と絶交していなかった)に一冊。

千葉の浅丘ルリ子(K.T.のこと。このころ一寸付き合った)に一冊、

後書きには五冊つくったとあるが、

実際のちゃんとした体裁の本は四冊しかつくっていないと思う。

美麗な函入りの手製和綴じ本なので、作業が大変なのである。

欲しい人には一冊、五万円でつくってあげます。

(前に一万円で作ると書いたけど、それでは手間が合わない)

アマゾンには出しません。

 

Fin.