
野本信正市議は、千葉市が障害者総合福祉法7条「介護保険の優先」を理由に、65歳を目前に障害者福祉サービスを継続利用できるように市に申請をした脳性まひ身体障害のある天海正克さんの申請を却下し、障害者福祉サービスを打ち切りました。いわゆる「障害者65歳の壁」問題です。そのため介護保険では利用料負担が生じて、月額14万円もの使用料の支払いが重くのしかかっています。
申請を却下した千葉市の処分取り消しを求めた訴訟で東京高裁は、3月24日、天海さんの敗訴となった第一審判決を変更して、天海さんの逆転勝訴を言い渡しました。千葉市は不服として4月7日に最高裁に上告しました。
天海訴訟を支援する会は市長に対して、「千葉市長は東京高裁の、社会福祉を担う自治体として真摯に受け止め、高裁判決をただちに実行すべき。9年にわたる天海さんの苦しみを、さらにこれ以上長引かせることなく裁判を集結すべき」と求めています。
野本市議は、「障害者総合支援法の申請却下を取り消すこと、同法の規定による身体介護や家事援助の支給、国家賠償法に基づきホームヘルプサービス利用料自己負担分と慰謝料の支払いについて速やかな実行を」と求めました。
市は「東京高裁判決では、介護保険優先の原則の解釈について、介護保険が受けられる場合には介護保険を優先し、任意に障害福祉サービスを選択できないという市の主張が認められ、控訴人についての調査や把握が不十分とは認められないとされた。その上で、国制度の仕組みによってもたらされた不均衡が論点とされ、制度を変更する権限も責任も持たない市が不均衡の解消を行わないことを違法とされた。これは自治体の裁量権の行使を課題に求めるものであることから、行政への影響を慎重に勘案し、最高裁の判断を仰ぐこととし、判断の結果を待って対応することとした」と答えました。
野本市議が資料で示した社会保障推進千葉県協議会が行なった県内54市町村へのアンケートでは、「介護保険を優先とせず障害者福祉サービスを継続して利用できるようにしている」自治体は24、そのような「検討をする」回答をした自治体は4です。野本市議は「各自治体が障害者の尊厳と人権を尊重して独自に実施しているもとで、千葉市でも実施すべきではないのか」とただしました。
市は「介護保険優先の原則は対象者が支援を受けることが可能かなど個別のケースに応じて判断することとなっており、介護給付と障害者総合支援法の自立支援給付とを選択して行うことができることを示したものではない旨、判示している」と答えるなど、言い訳の答弁を繰り返しました。
行政側を大事にする市の姿勢は認められず、野本市議は障害者の尊厳と人権を守る責務を果たすよう厳しく指摘しました。