
今日は夕張市の財政再建と地域再生への取り組みをふくなが市議、かばさわ市議、吉田市議、私の4名で調査しました。私たちを含め他の議会など6団体22名、視察時間は質疑応答を合わせて1時間です。視察費用は5名一団体で1万5千円となっています。夕張市は東京都23区より広い市域で人口約9千人、約5,200世帯の市です。石炭産業で有名でしたが昭和35年の人口11万6千人をピークに減少しました。65歳以上の比率は48.9%、14歳以下の比率は5.6%となっており、まさに超少子高齢化です。夕張はメロンが有名で25億円の生産額となっています。
夕張市の財政破綻・財政悪化の要因として炭鉱閉山後の社会基盤整備の実施(炭鉱から観光へ、破産した炭鉱会社のライフラインの維持など)への多額の経費投入。観光施設への投資。人口減による税収減や普通交付税の大幅減少、産炭地域振興臨時措置法の失効に伴う交付金の廃止。財務処理手法の問題の5つとなっています。
財政再建のために行われたのは市民に関係する歳入では、個人市民税均等割引き上げ、同所得割税率引き上げ。固定資産税・軽自動車税の税率引き上げ、入湯税創設、施設使用料引き上げ、下水道使用料や各種交付手数料引き上げ、ごみ処理手数料新設、市営住宅使用料徴収強化です。歳出では、公共施設の廃止・統合による維持補修費の削減、各種団体や会議への補助の廃止・縮減です。職員については部長・次長・課長職員を中心に退職手当削減や、職員給与基本給平均30%削減など2006年度の269人から2010年度の103人への削減を行っています。退職手当は2006年から2年後には5割削減と当時の管理職の職員の方は相当のプレッシャーがあったと思われます。
市長や議員など特別職についても給与・報酬は市長25万9千円、議員18万円、議員については全国の市議会の中で最も少ない9名です。2006年度から2010年度までに累積赤字額353億円のうち31億円を返済し、2011年度から再生振替特例債を17年償還で起債して3年間の据え置き期間の後、2013年度から毎年度25億6千万円を借入先である北海道財務局に償還(返済)しています。
財政健全化法による夕張市財政への国や北海道の関与のもと、財政再建計画は議会の議決だけでなく、外部監査の要求の義務付け、総務大臣に協議し同意を求めることになっています。北海道からの派遣職員が主に係長職で行政の執行体制を担われています。
今年は夕張市の財政破綻から10年ですが、昨年10月に設置された第三者委員会(夕張市の再生方策に関する検討委員会)から市民生活の安定と地域の再生が提言され、北海道の支援による子どもの医療費助成の拡充、バス路線の確保、地域づくり総合交付金による市営住宅再編事業などが実施されています。財政再生最優先だけになってしまい、市民のみなさんや職員の方々が希望を持って生活し、行政事務にあたることができなければ真の再生にはなりません。第三者委員会が提言した地域再生の部分に注目していきたいと思います。