一般質問で取り上げた中でお伝えしたいのは、公契約条例です。公契約条例は、公共工事や委託分野での低入札、人件費の削減、指定管理者制度による有期雇用置き換えによる「官製ワーキングプア」などの問題を解消するために、公契約のもとで働く労働者の賃金、労働条件の最低規制を行うものとされています。
 これは、最低賃金法とは異なり、受託業者は法の強制はなく、自ら結んだ契約を守る立場で労働条件を確保し、自治体は発注者として現場の労働者の状態・状況をチェックできるようになります。
 公契約条例は、現場の労働者の賃金、労働条件の確保の責任を受託業者に負わせることになるので、中間での搾取は減り、その分が賃金に転嫁する流れをつくらせることになります。公共工事をはじめとする契約や指定管理者制度などの民間委託において、その雇用形態が低賃金・不安定であれば熟練労働者が育ちません。それは、長期的にみれば公共サービスの質の低下をもたらします。一方で、デフレ対策としても自治体が賃金下落に歯止めをかけることが必要です。そうしたことから公契約条例の制定が必要なのです。

 川崎市は、3月2日に、「公契約条例」についての制定に向けて、2010年中に市議会に提案する方針を明らかにしました。また、昨年12月に市内の建設業関係15団体に対して、入札契約制度改革に関するアンケートを実施しました。「早急に条例を制定してほしい」「品質確保のためにも進めてほしい」との意見が寄せられたと言います。

 私が、ある業者の方から伺うと、元請け企業が、下請労働者を人材派遣会社に依頼し、1万数千円でおろしておきながら、実際に労働者には5千円から7千円しかいかない状況があると聞きました。本当に、これで熟練労働者が育つでしょうか。公共工事の品質は確保されるでしょうか。
 私は質問の中で、「条例を制定することにより、公共工事等の品質が確保されるとともに、現場の労働者の労働条件や賃金、労働環境の確保をすることにより、地域の活性化や税収の確保にもつながるのではと、当局に質しました。
 財政局は、「現在の厳しい社会経済情勢の中で、条例制定については重要であると認識しているが、国の動向を見守る」との答弁でした。

 今日17日に行なわれた一般質問でも、自民党議員が「公契約条例の制定の検討が必要では」と要望していました。代表質疑でも市民ネットワークの議員が公契約条例について質問しています。公契約条例の制定で、国に公契約法の制定を求めていくことが、自治体に求められています。