Wハチでのライダー復帰から半年弱が経過しまして、月1,000キロというハイペースで、ODOメーターの積算距離を伸ばしています。

最近「オートバイのツーリングには、こゆ楽しみ方があるんやなぁ」と感じているのは、近距離の一泊ツーで、時間に余裕を持って道中や宿泊を楽しむことです。

先日の伊豆ツーでは、日曜日の午後早めに宿へ到着し、Bike Packのオーナーご夫妻と大相撲をTV観戦しながら、取組についてあれこれコメントを交わし、大いに盛り上がりました。ツーリング先の宿でありながら、オートバイと離れたコミュニケーションがとても心地よかったです。

そんな背景から、今回はFSWと共に、丹沢湖へ訪れるプランを考えました。湖自体は一時間あまりで出かけられる場所にあります。しかし神奈川県に住むようになって、もはや四半世紀を過ぎていますけれど、まだ一度も行ったことがなかったのです。

FSWの後に丹沢湖へ立ち寄ったとしても、日暮れまでには帰着できる距離なのですが、そこを敢えて一泊する計画を立てました。


W650が登場する片岡義男さんの小説「彼のオートバイ彼女の島」で、(記憶が正しければ)主人公のコオの故郷は「ダムの建設によって湖の底に沈んだ村落」というエピソードが紹介されるのですが、それはおそらく丹沢湖の世附がモデルだと思われます。


ダムそのものとしては「三保」と呼ばれているダムの堤の遊歩道を、午後のまだ早い時間に散歩しました。

ダム化の調査開始が昭和36年、着工が49年で完成が53年、落差95メートル、水没移転は223世帯とのことです。


もともとは水力発電による地域への電力供給に重きが置かれていたのでしょうが、最近では下流の水害防止の意味合いがむしろ重要かも知れません。

[写真の右側がダムの水門、左下が河内川で、やがて酒匂川へ流れ込みます] 

近年「環境へ配慮しつつ持続的成長を目指す」ということが国際社会で謳われて、政府や企業はそちらへ舵を大きく切りました。

水力発電はクリーンエネルギーのひとつに数えられると思いますが、風力にしろ太陽光にせよ、自然由来のエネルギーは「安定的供給」に難があります。

真夏の熱帯夜、各家庭の冷房使用量がピークに達する一方で、煌々とカクテル光線を輝かせ、娯楽の競技を興行する ー 化石燃料を燃やして供給される電気が支えているのですよね (自然由来のエネルギーには対応不可能) 

新型コロナ禍のもとで、オートバイは「3密」を避ける趣味として注目されましたが、化石燃料を浪費する訳で、自転車で走るサイクリストこそ時代に適っているというべきでしょう。


欧州社会は、目標達成の期限を切って突き進んでいます。火力はダメ、ガスもダメという時、原子力もダメとする私たちの社会は、どう対処するのでしょうか。壁のようなダムに問われている気がします。

我が国の政府も意欲的な目標を掲げました。高効率の太陽光パネルと小型大容量の蓄電池の開発に成功し各戸に設置、家庭で使用する電力の多くをそれで賄える、そんな技術的イノベーションの達成が必須ですね。

航空機エンジンでは、植物由来の燃料による飛行試験が始まりました。人の長距離・高速輸送を考えた時、これもまた重要な二酸化炭素抑制の要素です。日本の新興企業が果敢に挑んでいますね。成功を祈ります。


ダム広場の駐車場に佇む相棒、いずれレシプロ・エンジンの乗り物は、いやでも走れなくなる日が来るんだってさ。「飛び恥」ならぬ「乗り恥」か? (号泣) 

宿とお料理のお話は、また次回に。



[カバー写真] 

茅葺き屋根の建屋は、築後120年の世附の水没家屋を移築して、当時の生活を紹介しています。