気になる韓国語文法【한번】と【한 번】はどう違う? | 小さな町から韓国語

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韓国語の生徒さんの中で、視点の鋭い方はすぐに気づくのですが、韓国語の文章で【한번】と書かれていたり、【한 번】と書かれていたりすることがあります。

 

分けて書くことを「分かち書き」と言いますが、

 

【한번】と分かち書きをしない場合と

【한 번】と分かち書きをしている場合と、

 

2パターンがあるのです。

 

この「分かち書き」は、韓国語ネイティブでもちょこちょこ曖昧に通り過ぎる問題です。

 

話す際には、分かち書きは全く無視していいわけですが、書くとなるとどうしても、分けて書くのか、くっつけて書くのか気になります。

 

今日は、この【한번】【한 번】の謎を見ていきます。

 

そもそも、 【한번】【한 번】 は違うものです。分けて書いてあるか、くっついて書いてあるかどうかで働きも意味も変わります。

 

①【한 번】は、数字+助数詞

②【한번】は、名詞であり副詞

 

分かち書きのある【한 번】は、ただ回数を表す

 

分かち書きをする【한 번】は、2つの単語からできています。

【한】は「1つ」という意味の限定詞、【번】は回数を表す「回」という意味の助数詞です。

 

なので、2回、3回と言いたい時には、【한】の代わりに【두】(2つ)、【세】(3つ)をつけて【두 번】(2回)、【세 번】(3回)と言うことができます。

 

한 번만 용서해 주세요.

(一回だけ、許してください)

 

기회는 한 번뿐이에요.

(チャンスは1回だけです)

 

分かち書きのない【한번】には、いろんな意味がある

 

分かち書きのない【한번】は、それ自体で1単語です。

名詞であり、副詞でもあります。

形を変えて【두번】【세번】と言う形にできません。

①「ある時」という意味で使う

まず、名詞として使う【한번】ですが、これは「ある時」という意味で使われます。

主に【한번은】という形で使われ「ある時は~だ」と言う文で多く使われます。

 

한번은 이런 일도 있었다.

(ある時はこんなこともあった)

 

한번은 이런 경험이 있었다.

(ある時はこんな経験をした)

②試しにやってみることを表す

副詞的に使う【한번】の中で、もっとも代表的なのが「試しにやってみる」というニュアンスを表わす【한번】です。

 

多くの場合【-아/어보다】と共に使われます。

 

日本語でも「まあ、ひとつやってみるとするか」なんて表現がありますよね。その時の「ひとつ」って「1回」という意味ではないですが「試しにやってみる」という感じを出すときに使いますよね。それと同じです。

 

あえて訳すなら「いっぺん~してみる」「一度ためしに~してみる」です。

 

한번 잘 생각해 봐.

(まあひとつ考えてみて)

 

한번 먹어 봤다.

(ためしに食べてみた)

③「機会があったら」と言うニュアンス

【한번】には「機会があったら」と言うニュアンスのある副詞としても使われます。

 

「機会があれば遊びに来てください」「機会があれば行きます」と言うような時によく使われます。

 

집에 한번 놀러 오세요.

(家に機会があれば遊びに来てください)

 

언제 한번 찾아 가겠습니다.

(いつか機会があれば訪問します)

④ 行動や状態の強調

次は、名詞の直後に使われ、行動や状態を強調する働きをするパターンです。

こちらも副詞としての働きです。

これはただの強調なので日本語に訳すとしたら「本当に」ぐらいになります。

 

次の文は定番中の定番での文で、「本当に口がうまいなあ」という意味で使われます。

 

말 한번 잘한다.

(本当に口がうまい)

 

他にも、「性格が本当に〇〇だなあ」と言ったときに使います。

 

성격 한번 시원하네요.

(性格が本当にさっぱりしているね)

⑤「いったん」と言うニュアンス

最後は「いったん」という意味での使い方です。同じく、副詞としての働きです。

主に【-면】(~たら)とセットで使われることが多いです。

 

한번 먹으면 멈출 수 없다.

(いったん食べたらやめられない)

 

이거 한번 쓰면 다른 것 못 써요.

(これをいったん使ったら他のものが使えません)

応用編:【한 번】と【한번】の使い分け

【다시 한 번】それとも【다시 한번】?

では、さらに突っ込んで。

 

例えば、「もう一度」と言いたい時・・・【다시 한 번】なのか【다시 한번】なのか?

 

正解は 【다시 한번】です。

 

上で紹介したように【한 번】【한번】は、意味によって使い分けます。 

「1回、2回、3回」と言う回数を表すなら【한 번】です。 そうでなければ、【한번】です。

 

でも、【다시 】と共に使う場合、そもそも【다시】自体に「再び」という回数のニュアンスがあります。

 

それだけに、【한 번】の持つ回数を表す性格が弱くなり、【한 번】【한번】 の線引きが難しいという意見が多く出たようです。

 

そこで、2015年国立国語院が便宜上【다시 한번】と書くというルールを決めたようです。

【한 번 더】それとも【한번 더】?

では、次に「さらにもう1回」と言う時、【한 번 더】なのか 【한번 더】 を見ていきます。

 

この場合は、【한 번 더】が正解です。

 

「さらにもう1回」という場合には、 「さらに追加でもう1回」という意味で、回数の意味が明確なので、分かち書きをするというのが理由です。

 

まとめると、こうなります。

 

再び=다시 한번

追加でもう1回=한 번 더

 

なんとも厄介ですし、奥が深い分かち書きです。