どどん。

 

 瀬戸内寂聴さんが日経新聞で書いていらしたエッセイでございます。

 

 言わば各界を代表するような文豪や芸術家の方々との交友録と言えば良いのでしょうか。今私の中で大流行中なわけですよ。

 

 そもそもこの本にはまったきっかけと言うのは、幼なじみ家族との合同クリスマスパーティーで行われた「本のロシアンルーレット」。

 

これまではくじ引きで相手を決めて、プレゼント交換をしていたのだけれど、今回はギリギリに会の開催が決まったので、交換会はお預け。でも何かあった方が楽しいと考えた母が、当日、幼なじみのお父さんYukkyに頼んで、人数分本を選んで買ってきてもらいまして。それをじゃんけんで勝った順に選んで、受け取った本代はそれぞれが出すと言う、まぁ変わったプレゼント会になったわけです。

 

 ちなみに、私が第二の父と呼んでいるYukky、お酒を飲みながら数学の話をするのが一番楽しい、という大変ユニークな方でして。例年のプレゼント交換の時に、彼は決まって(彼の個性的なフィルターを通して)相手にあった本を選んでプレゼント。それが素数のなんちゃらだの、オイラーの定理のどうのこうのだの、3行読むともう前の内容がわかりません、というような、とてもとても「高尚」なものばかりで。みんなYukkyのプレゼントにあたると、ロシアンルーレットばりに、きちゃったー的な顔をして大騒ぎ。ご本人は至って真剣に選んでいるのだけれど、皆彼の脳についていけないわけですよ。

 

 まぁ母が本の選び手にYukkyを指名したのは、確実にそう言った「意図」が見え見えなのだけれど、全員でブックカバーを外したら、これまたユニークな並び。

 






 

 予想通り、相対性理論がどうのという、ロシアンルーレットで言う唐辛子要素もしっかり含みつつ、私は運良く美味しいものをゲット。それが奇縁まんだら。らっきーだったぜ。

 

 これね、本当に面白かった。出てくる方は皆さん天に召された方ばかりというか召された方を選んで書いていらっしゃるのだと思うのだけれど、まぁそれはそれは豪快で、それぞれウィットに富んでいらして最高。そして挿絵は横尾忠則さん。まぁなんて豪華なんでしょ。

 

 あーっという間に読んでしまい、あぁもっと読みたいなぁと思っていた矢先に続編があることを知り、即図書館で予約。ありました、ありました。でも文庫になってないから、持ち歩くのがちょっと大変。重いんだもの。

 

 とはいえ、個人的に敬愛して止まない江國滋さんや遠藤周作さんのエピソードには、ファンとしてはうほうほ。そして所謂文壇を代表するような皆さんのちょっとした日常を覗いているような気にもなるもので、ふと「こうして実在された方なのだよなぁ。」と妙に不思議な気持ちになってみたり。まぁ当たり前なんだけど、どこか本の中でお会いする方々は、雲の上のお人のように感じるものなんですよね。

 

 でも何より、こういった方々とすっと仲良くなった寂聴さんがすごいなぁと。きっとご本人のストレートさ故に、皆さん普段はお見せにならないチャーミングな面をお見せになったのだろうなぁと。人との出会いは財産、と言う言葉を身をもって証明されているお人柄に本当に感服。

 

 それにひきかえ、まぁ比べるのもおこがましい話ですが、超びびりで、5人以上人が集まった場が苦手で苦手で仕方が無い私。今日もジムでこれを読みながらバイクを漕いでいたら、知らない人に突然声をかけられて、ビビって挙動不審に陥りました。悲しきかな現実。

 

リハビリのためにも、少しは人に会って出会いを増やさねばと大変触発された次第でございます。しみじみ。