悲惨。書き上げた原稿が今全部消えました。

ほんとちゃぶ台ひっくり返したいくらいの気分なんだけど、執念でもう一度書きます。言いたかったことを書かないと、新年迎えられないので。

1枚買ったら1枚捨てるだの、苦しい服は嫌いだの、あっちゃこっちゃ飛びながら服について書き続けたけれど、そもそもタイトルにしたのは全然違う話で。

ここ最近、今まで書いたことを全部破りに破って、コレクション全種類網羅すると言う大人買いをしたものがあり。


+J(プラスジェイ)


ジルサンダーとUNIQLOのコラボレーションライン。

数年前の冬にコレクションが終わってしまって、あーーーもっと買っときゃよかったと、歯ぎしりして悔しがってたのが、今年復刻版としての販売が決定したわけです。

わーい、わーい。
もう買うしかないでしょ。

そう言う時は今までのルールは全部吹っ飛ばし。ネット、店舗販売含め、若干自分でも引くくらいに買い占めました。多分全く盛らずにほぼ全コレクション。だって次またいつ復刻するかわからないんだもの。

ここからは完全に私の独断と偏見による超贔屓目線かつ素人の見解だと言うことをお忘れなく。

+Jのコレクションは、本当にほんとーーーに美しくて。基本はとてもシンプルなんだけど、一つ一つのカッティングが素晴らしく、しかも着心地抜群。セーター一つとっても、ここの襟ぐりをこんな風にしちゃうなんて!と目からウロコ。ダウンコートなんて(私には)ここのを上回るものがなく、何年も違うブランドのものを探し続けて、結局とあるブランドのダウンで妥協したにも関わらず、復刻盤で一目惚れしてまた買っちゃったし。しかも他ブランドの5分の1の値段で買える+J…なんだろう、この煮え切らない感じ。

そして何と言っても、シャツ!シャツ!シャツ!!!!

ちゃんと絞られてるのにぴたっとし過ぎず、しかもそこはUNIQLOさんで、ストレッチがきいてて着やすいのなんのって。カジュアルにもフォーマルにも使えて、言うことなし。一通り買ったのに、まだスペアで買おうかと思うくらい。あー今でも買えばよかった。まだこってるかな、在庫。そういえば、この間のトークショーも上から下まで+Jでそろえたくらい。

そしてこの美しさでこの値段はあり得ないでしょう、という考えられないほどのリーズナブルさ。完全無欠。嗚呼、素晴らしきかな、+J。

とまぁ、色々と好きな理由はあるんだけど、そろそろ本題に。

どうして私がここまで愛を注いでいるかと言うと、質のよさはさることながら、この+Jが実現するまでに、私のお知り合いがお二方関わっておりまして。

ご本人にご迷惑がかかると嫌なので、AさんBさんとしておきますが、お二方とも私が学生の頃にお会いして以来、もうお世話になりっぱなしの大先輩。同じファッション業界とはいえ、全く別のルートでお知り合いになったので、お二人それぞれから+Jについて聞いた時はびっくりしたもので。

そもそも、お二人ともすごーくおしゃれで、お会いするたび質の良いシンプルで美しいものをさらっと着こなされているので、ひそかに合わせ方だけ真似したりもしたもんだなぁ、と(物自体は高すぎて真似出来ない)。

そんなお二人それぞれから+Jのお話を聞いた時には、一緒にお仕事されてるんだー!という驚きと共に、えーー、そんな夢のようなコラボレーションができたの?と目が飛び出るほど驚いたわけで。お2人が勧めるのだからもう是が非でも買わねばと、銀座のUNIQLOに観に行ったら、コレクションのクオリティの高さに度肝を抜かれた次第。え、いいの?こんなにきれいなのにこんな値段で買っていいの?と超わくわくして、何も考えず買いだめ。懐かしい。

実はAさん、数年前に天に召されて、もうお会いすることができず。

 思い起こせば5年前。初めてNYに短期留学を決めたとき、予約したアパートメントが詐欺サイトだったということがわかり、予約金すべてぼったくられた挙句、もちろん泊まる場所もなく。しかも運の悪いことに、丁度NYのファッションナイトと重なり、ホテルを予約しようとしてもどこも満室。その時に助けてくれたのがNYに精通してらしたAさん。チェルシーの素敵なホテルを押さえてくださって、もう電話先で大泣きしながら、ありがとうございますを連発。

 今考えると不思議なのだけれど、その時の便が丁度仕事でNYに行くBさんと一緒で、しかもAさんが予約してくれたホテルがBさんが仕事で行くお店に近いということで、私もご一緒できることになり。おかげでとっても素敵なデザイナーさんとお会いできるというビッグプレゼントつき。まさに厄落としの後の幸運。AさんとBさんが結んでくださったご縁。

 その次のNYステイの時も、急遽参加することになったショートムービーの衣装でシャツが必要になって、マンハッタン中を探しても好みのものが見つからず、ユニクロに入ったら、+Jのシャツがあって大喜び。その話を帰国してBさんにお話したら、にまーっと笑ってくれて嬉しかった。

 Aさんが亡くなったことを知らされたときは、あまりに急で呆然としてしまい。なんだかまだどこか信じられず、都内の某場所に行くと、まだ階段からAさんが下りてきそうな気がしてしまう。でも、こうして+Jが復刻して、大人気だという話を聞くと、やっぱりAさんとBさんの顔が浮かぶわけで。そして、実際に+Jのシャツをまじまじ眺めていたら、人の想いって形に残るものなんだなぁ、とちょっと胸が熱くなるものがあり。

こういう大きなことを成し遂げるときこそ、一人一人の情熱や、小さな心遣い、ちょっとした思いやり、こだわりが一つ一つを作り上げていくのだろうなぁ、と。どのブランドもそうなのかもしれないけれど、人の想いがつむぐ服とはこういうことを言うんだなぁ、と。そう、これを書きたかった。

大事に大事に着たいものですよね。

ということで、よーやくよーやく私も全部消えた原稿を復刻できました。
あーーーー投げ出さないでよかった。これで年が越せる・・・。

みなさん、よいお年をお迎えください。






+Jのダウンコート。
襟のラインが本当に美しい。大晦日の今日もこれを着て出かけたのでした。ノーメイクなので加工しました。ビバテクノロジー。