ドラマでも映画でも、
テーマ曲込みで印象に残るものって素敵ですよね。
直近では社会現象になった恋恥なんかも、
最後まで楽しませてくれるお楽しみ盛りだくさんな作品でした。
主題歌で忘れられないのが、
古いドラマですが「ハゲタカ」です。
本も読んでいたし、
ドラマもとても心に響く作品で、
観終わってジーンと琴線が揺さぶられている状態で、
静かにピアノが流れてきて。
優しいピアノの音色の後から
うねりだすような女性低音が英語の歌詞を歌いだします。
奄美大島のグィン
(元ちとせさんなんかのあのコブシが独特な手法のことです)
にちょっと近い歌い方でかなりインパクトがあります。
長崎出身の歌手Tomo the Tomo さんという方だそうです。
英語なので何いってるかわからないけど、
壮大な曲調と、
インパクトがある歌声で、
なんかすごいこと唄ってるのかなっていう雰囲気と、
熱いドラマの余韻で涙ぐみそうになるエンディングでした。
確か土曜の夜に放映していたと思うのですが、
なんというかズシリとお腹の底に余熱が残って、
しばし魂が抜かれたような気分になっていたのをよく憶えているのです。
実は歌詞はイギリスの女流作家エミリー・ブロンテさんの
「Riches I hold in light esteem
(富は問題にならぬ)」
という詩に佐藤直紀さんという音楽家が曲をつけたものなのだそうです。
『Riches I hold in light esteem
(富は問題にならぬ)』
” Riches I hold in light esteem,
And Love I laugh to scorn
And lust of Fame was but a dream
That vanished with the morn
And if I pray,the only prayer
That moves my lips for me
Is -‘Leave the heart that now I bear,
And give me liberty
Yes,as my swift days near their goal,
Tis all that I implore
Through life and death,a chainless soul,
With courage to endure!
富なんてものは問題にもならない、
恋だって、考えただけで吹き出したくなる。
なるほど、名誉欲か? そういえば、昔夢見たこともあったが、
日が射すと忽ち消える朝露みたいなものだった。
もし私が祈るとすれば、自然に
口をついて出る祈りはたった一つの祈りだ。
「今の私の心をこのままそっとしておいてくれ、
そして、ただ自由を私に与えてくれ」という祈りだ。
-光陰矢の如しで、どうやら私の
終わりも近い、そこで私が求めるものは、ただ、
何ものにも囚われない一人の人間として、勇気をもって、
生に堪え、死に堪えてゆく、ということだけだ!
岩波文庫「イギリス名詩選」平井正穂編より ”
エミリー・ブロンテといえば嵐が丘で有名な女流作家です。
私も何度か読んでいます。
1800年台とはいえ30歳で亡くなっています。
早熟にも思いますが、
嵐が丘も上の詩もかなり熱い内容ですね。
若さ故の情念みたいなものを感じます。
嵐が丘という作品も、
人間の愛だけでなく嫉妬や執着、地位や名誉への固執、復讐、憎悪、
そういった人間であるが故の汚い感情に翻弄される愚かさがギュっとつまって、
狂気を感じるような物語でした。
子供の頃読んだときはかなり怖かったですね。
人間の弱さや宿命、
儚さはハゲタカにも通じる世界観でもあります。