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自分の働く業界にも世間一般の独立開業と似たような制度がある。詳細は記せないが、資格試験に合格した者が営業できる仕組みだ。

バブル華やかなりし頃と異なり、最近では経営に行き詰まる者が増えてきている現状もあり、受験者は減少し続けている。

そんな業界の先行きを危惧する声も年々高まっている。

ただ、受験者がゼロになるかと言えばそのようなことはなく、いつの時代も荒海に向かって漕ぎ出そうという意欲ある若者達は確実に存在する。


自分の場合、父が自営業だったこともあり、好不況に一喜一憂するより安定を求めてサラリーマンとなったわけだが、この年になると独立開業するということが、いかに至難の技なのか、また両親がどれだけ努力していたのか、折に触れて考えたりする。


資格試験の前になると、自分より年の若い受験予定者達がうちの部署に訪れ、資料やルールの内容説明などについて相談を受けたりする。みんな必死だ。


業界の現状を憂う気持ちは皆同じで、そこに何とか風穴を開けたいと挑戦する若者達。こちらとしては受験生の親になったような気分。出来れば全員合格して欲しいと思う。


合格後は独立開業に向けて、資金・資材の調達など、顔つきが皆一変する。

開業するまで、どこかのどかな雰囲気を残す者たちも、厳しい現状の中で揉まれ、やがて一年もすれば立派な経営者の顔になっている。

荒波を掻い潜って、初めてつかんだ小さな成功。
そこで見せる束の間の安堵と喜びの入り混じった表情を見るのは、その人たちの人生の転機に少しでも関わった者として嬉しいものだ。


昨年末、そんな開業してから1年未満の若い経営者と酒を酌み交わす機会があった。

まだまだ経営が軌道に乗らず暗中模索、全部の責任を自分で背負い込み、痛々しくて見ていられなかった。

「自分がどうにかなってしまえば、業界も本腰を入れて改革を考えてくれるんじゃないですか?」と詰め寄られた時は、正直自信を持って彼に返す言葉はなかった。


その経営者が今年夏前にうちの部署を訪ねてくれた。

硬さは残るが、幾分穏やかさを取り戻した表情。決して経営が軌道に乗ったわけではないが、近況を語る口ぶりに昨年末の苦悩者のようなトーンは少なくともなかった。


ここまでは自らの責任、あとはどうあがいても仕方ないというように、ある意味割り切ることが必要なんだろう。


自分は手に職があるわけではない。今後も自分の仕事を精一杯頑張るつもり。


彼らは彼らの夢に向かって邁進して欲しい。


立場は異なるが、見据える方向は同じだ!