
娘を出産した時、私は無職でした。
知らない土地に嫁いできて、唯一の話し相手の夫は話し相手にならず、四六時中子どもの泣き叫ぶ声と、グズグズ泣く声と、唸る声と、奇声を聞きながら、1人家で家事と育児をする生活にうんざりしていて。
早く仕事をしたいと思っていました。
とはいえ、保育園も決まっていないうちは職探しもままならず、求人情報を眺めるだけの毎日でした。
娘が生後10ヶ月になる頃、たまたま、ある求人広告を見つけました。
やりたいと思いました。
アラフォーの、職歴も資格もない、乳児を抱えた専業主婦。
無理かと思いつつでも諦め切れず、ダメ元でその求人を出している会社に、応募したい旨のメールを送りました。
すると、
その会社からすぐにメールがきました。
『履歴書と職務経歴書を郵送してください』
なるべく早く送らなきゃ! と思うと同時に、私はそこで、ハッとしました。
履歴書に貼る証明写真がない…!
(今思えば、求人に応募する前に履歴書を用意しとけよ、って話なんですが…)
捨てられずに残していた数年前の証明写真じゃダメかな? バレないんじゃない?
一瞬迷いました…が、真剣に応募したい求人だったので、やっぱりマズイな…と。
でも、夫には言いたくなかった。
「へえ。まあ受けるだけなら誰でもできるし。応募してみたら」
過去に夫に言われた言葉を思い出して。
またどうせ、鼻で笑われる。
なので、
生後10ヶ月の娘を連れて、証明写真を撮りに行きました。
近所のショッピングモールにある、証明写真の機械の中に娘と入って。
その場でスーツのジャケットだけ着て、写真に写らないギリギリ下の所に娘を抱っこし、写真を撮りました。
娘は暗くて狭い場所に急に来たのに、泣かず騒がず静かにしていてくれました。
出来上がった写真は、履歴書に貼るには問題ない程度に、すまし顔の仕上がりだけれど。
まさか、写真に写っていない下半身はヨレヨレのズボンで、しかも、子どもがずり落ちそうな体勢で抱っこされているとは思わないでしょう。
その日の夜に履歴書と職務経歴書を仕上げ、翌日には投函しました。
そしてその後、
面接へ進み、私は採用されました。
まあ、パートなんだけれど。
それでも、頑張ったの、私。
いやー、
子どもがいると証明写真1つ撮るのでさえ、こんなに大変なんだってわかった。
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