Sakura 15-2 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。










長の顔に覚えがあった。その「覚え」が三年前の、家族を失ったときの記憶だとわかるのに時間はかからなかった。伍代七右衛門、という今度の仕事相手の名前が、家族の仇であることを智は悟った。


(やっと見つけた…)


しかし今は……。智はちらりと背後の子供達を見た。皆、体を寄せ合って震えている。ここで五人とやりあって勝てるとは思えなかった。この場を収めて、翔様に報告しよう。智は気取られぬよう、またすぐに無表情を装った。

長である七右衛門はというと、


(この男の身のこなし…鍛錬のされ方…)


只者ではない、と感じた。何者なのか…七右衛門の本能として、探っておきたいと感じていたが、ちょうど通りの向こうから人が何人か歩いてくる。


「ふん、気をつけろよ…行くぞ」


七右衛門は捨て台詞を残して、智の脇を通り抜け、四人の男がそれに続いた。智はすぐさま子供達の方を振り向いて、「大丈夫か?」と声をかけ、それぞれ家に帰るよう促した。そしてすぐに身を隠すと、再び尾行を開始した。

ほどなく、五人組は町外れの屋敷に到着した。智は注意深く屋敷や蔵の様子を窺い、後を尾けられていないことを確認しながら翔の店へ戻ったのだった。













智が屋敷の周りを探っている頃…


「どうも…おかしいな」


屋敷の中の大広間で、七右衛門は皆を集めて呟いた。


「さっきの奴ですか?」


「そうだ…子供を預かっていると言ってたが…あいつらが奴に懐いてるようには見えなかった」


「そうですね…ちょいと探りを入れますか…子らに聞いてみりゃいいですよ」


「そうだな…子供を預かっていた、というのが嘘なら…」


七右衛門は眉を寄せる。


「どこの誰だかわからぬが…尾けてきやがったんだな…おそらく相葉屋からだ」


「相葉屋での話を聞かれていたのかもしれないですね」


「そうだな…」


最近の奉行の動きと何か関係がありそうだ……。七右衛門は先ほどの男、智のことをもう一度思い出した。


(俺の顔を見て、一瞬何かに気取られたような…)


だとすると、俺のことを知っているのか。しかし、すぐにそれを引っ込めたことから、俺のことを知っていると気づかれるとまずい、と瞬時に判断したわけか……。七右衛門は、過去の悪事の数々の記憶から智に似た男がいなかったかを思い返そうとしたが、すぐに、


「心当たりがありすぎるな…」


にやりと笑うと、断念した。