君の瞳でつかまえて 43 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。








Side N







日が沈み、遠くの山の端に薄い赤が消え入りそうになっている以外は、深い青が辺りを包む。

櫓(やぐら)の上は、風が通り抜けるせいで涼しく感じた。


大野さんは、他の踊り手の中にいても、一人だけ際立っていた。

薄いように見える大野さんの体は、曲に合わせて豪快なリズムを刻んだり、力強くステップを踏んだり、またある時は繊細な流線を描いた。

流れるように軽やかな動きの中で、時折ぴたっと止まる。静けさを体にまとうようなその瞬間の姿に、俺はまた惹きつけられた。


やがて、他の踊り手達は後ろに下がる形になり、大野さんはひとり、前に出た。


広いと思われていた庭は、大野さんが舞うと、小さく感じられた。大胆な動と、繊細な静が繰り返される。


ため息がこぼれそうなくらい美しいその身体の動きを見ていると、抱きしめられた感触が浮かんできて、俺はたまらず櫓の手すりをぎゅっと掴んだ。



あの軽やかな、重力から解き放たれたように自由な腕に求められて、


薄いけれど、何にも揺るがない、決意を秘めたような胸に、抱かれたんだ…






俺は知らず、自分の腕で身体を抱いた。






「…なんで、あっち行ってまうの?」


西国の城を出る前夜、マルに悲痛な声で尋ねられて、胸が痛かった。




胸が痛くなるのは、



こっちで暮らすことを選んだのは、ほんとうに、単純な理由だったから。







王子になりたかったわけじゃない。


西国がイヤだったからでもない。









単に俺が、




この人の、こんな姿を、








あますところなく、全部見たかったから。









この人の人生を、





ひとつも、見逃したくない。







一緒に生きて、




一緒に笑って、




この人が舞うのを見て、



俺はそれに見惚れる。




バカみたいに、そんなのを繰り返していきたいんだって…



思っただけなんだ…


























いつのまにか月が高く上がっていた。


曲が終わって、月を見上げるかのように、視線を上にあげた大野さんと、目があう。


月が、その瞳の情熱を照らし出したように思えた。





初めてあなたが舞うのに気づいた日から、




ずっと、ずっと





俺はその瞳に捕らわれてるんだ…