「決定的瞬間、撮りましたよー♪」
「うわ、お前ら…」
そこには、酔っ払った知念と涼介と有岡が立っていた。知念は酔っ払った人特有のスローモーな動きをしながら、スマホを満足そうに眺めた。
「ふふっ、一大スキャンダル撮っちゃいました」
「困るんだよなあ…拡散されたら」
俺が冗談めいた調子で呟いて、眉をひそめて片目をつぶり、知念を軽く睨むと、知念はけらけらと笑った。
「あ、こいつ、LINEに添付してます」
有岡が自分のスマホ画面を見て笑った。
「え、LINEって?」
マルが焦ったようにソファから立ち上がると、涼介が、「安心してください」って言いながら、マルをソファにまた座らせようとする。
「おまっ…とにかく明るい涼介さんかっ」
「あははっ…大丈夫です、うちのグループで作ってるLINEグループです」
「もう…あんまり拡散させやんといてや…ニノとこっそりラブラブしてたんやから」
「マルさん…それリアルガチなやつっすー」
けらけらと笑いながらも、3人は最後にきっちりとお辞儀して、店員さんに席へと案内してもらいに入口へ戻って行った。
「あー、ほんまやかましい奴らやねんから…」
「ふふっ…マルんとこより人数多いから、大変そうだよね」
2人でソファに座りなおして、マルははたと何かに気づいたように俺を見つめた。
「ぎゅっとしてたのに、途中になってしもた」
「ふふっ…お兄さん、結構長い間抱きしめられてたような気がしますよ、私は」
俺が笑いながら言うと、マルは少し考えた後、ニヤリと笑って言った。
「一回っていうたけど…今のは一回ちゃうな。半分くらいやったから…残り半分は、また今度にしとく」
「さっき『何回もしたらあかん』って自分で言ってたじゃん」
俺が苦笑しながら呟くと、マルも苦笑いを浮かべて鼻の頭をかいた。
「そう言うたかいな?」
「言った」
マルは俺から目を逸らして、ふふっと笑った後、なぜか照れたような顔になって俺の方を向いた。
「俺も…長期戦で行くわ」
『も』ですか…
恋煩いこじらせ集団だな…うちの事務所の人間は…