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2、再会:オシャレの理由
関島もこちらにすぐに気がついた。
あっ、という表情をして、手を振ってくれた。
まさか昨日の今日で再会することなんてある?この展開は、すごい。
由紀は今すぐにでも鏡を見たかった。今朝はメイクなんてほとんどしてない。下地と眉毛だけ、しかも服装なんて、思いつく中でも最悪の組み合わせで来てる。
関島は注文を済ませて、こちらに近づいてきた。
「由紀さん、昨日はありがとうございました。」
パソコンを開いている私をみて
「休みの日も仕事?」
と聞いてきた。
学会の準備があると答えると、
「そっか、じゃあ邪魔できないね。向こうで本読んでるけど、休憩のとき話しかけにきてね」
と言って見えないところへ行ってしまった。
由紀はカフェラテをすすりながら、これからの展開について考えていた。
まず、仕事はひと段落したと言って、話しかけに行く。それで、今日は連絡先を聞こう。32歳は待っているだけでは何も得られないのだ。
由紀はそう決心し、パソコンを閉じて荷物をまとめて、携帯のカメラで顔だけチェックする。
はあ、顔はむくんでるし全然ダメだけど、もう仕方がない。
新しいカフェラテを注文して関島を探した。
関島は低いソファ椅子が向かい合っている席に座って、何か本を読んでいた。読んでいる本は流行りのビジネス書のようだった。
思い切って向かいのソファーに座ってみる。
「関島さん、お疲れ様です!今日は仕事終わりにしちゃいました。読書のお邪魔してもいいですか?」
「うんもちろん!」
関島の住んでいる場所は、このスタバからは少し遠い地域だったが、昨日は結婚式の後そのまま近くのホテルに泊まったとのことだった。今は自宅へと帰る前だった。
「関島さん、昨日と印象が違うからビックリしました。おしゃれですね。」
「そう?ありがとう。僕、今婚活してて、それで服装も気を使うようになったんだよね。Youtubeみてめちゃ勉強してるんだよ笑」
婚活している!?なんで?モテそうなのに。何か問題があるとか!?
由紀は関島から「婚活」という単語が出るなんて思ってもいなかった。関島が婚活をする理由なんてどこにあるのだろう。そういえば、彼女がいるかどうかもきちんと聞いていない。
由紀にそんなことを正直に話すってことは、今の所由紀は脈なしなのだろう。
そして急に恥ずかしくなった。婚活で会う女性達よりも、きっとひどい顔でひどい服装で、図々しくも向かいの席に座って話し始めるなんて。
「そうなんですか!?婚活しなくてもモテそうなのに…。もしかして、今日もデートの約束とかあるんですか?」
婚活中の友達から、婚活は忙しい、休日の度に誰かと会う予定があると聞いていた。
「そう、実は今日も午後にあるんだよ。休日が潰れて大変だよ。あと全然モテないよ、職場男だらけだし。もう36歳だしね。」
どうしよう、関島は今日もデートの約束があるらしい。
「私も婚活します!」
咄嗟にそう言っていた。
ー第3話へ続くー
(夫との馴れ初め、フィクション、妄想です!)