夫の仕事は海外出張が多い。
北半球にも南半球にも行く。
一度、北行って南行ってまた北行って…という渡り鳥みたいなスケジュールのことがあって、そういうときは夫も一ヶ月近く日本不在だった。
当時フルタイムで働いていた私はワンオペで死にそうだったが、まだ若かったから頑張れた…。
もう大昔のことだが、夫は出張先で、いわゆる富豪の方と食事をしたことがある。
その富豪様は、現地在住の株主様だった。
彼が、日本から来たスタッフたちを、激励の食事会へご招待くださったのだ。
その時の夫の話で特に印象に残っているのが、富豪様の見た目についてである 。
「肌艶がすばらしく、
常に穏やかめに笑っていた」と。
一目見ただけで、庶民とは一線を画す雰囲気だったらしい。
人間の顔付きなんて、そうそう変わるもんじゃない。よほど大きな何かがないとそんなに変わらないと思う。
だからこの富豪様、もしかしたらお金があるからニコニコしてるんじゃなくて、ニコニコしている人にお金が集まった、というだけのことだったのかもしれない。
私の夫は大変に無口だが、基本的に口角が上がった感じの表情をしている。
「常に穏やかめに笑ってる」系統の顔付きのために無口でも許されているようなところがあり、つまり彼にも富豪になる素質はあると思う。
対して私は学生の頃から、黙っていたら「怖い」と言われることが多かった。
それで、意識的に、なんでもないときにも口角を上げておくよう気を付けている。
生まれ持った顔付きとしては富豪の素質は無さそうだが、口角を上げる努力と同じく、お金を貯める努力もできるタチであると思う。
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