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北海道に移住を決めて
バック一つで牧場に住み込み
仕事の過酷さに負けそうになりながら
ヘロヘロで続けていた毎日。


そんなお世話になっていた牧場の親方に
不幸な出来事が起きたのは、その冬一番の
大雪の朝。




脳梗塞で亡くなってしまった親方の
享年は48歳。

あれから僕にも本当にいろんなことが
ありました。


今のこの生活を想像もしてなかったし
愛する嫁さんと愛する娘ちゃんと僕で
こんなに幸せになんて思ってもいなかった。


ちょっと北海道loveからは離れちゃうけど
あの時の親方の死に直面して感じたことを
改めて思い出してみます。


まず最初に親方が亡くなったと聞いたのは
その朝、搬送された旭川の病院から
かかったきた夕方の電話でした。


夜の搾乳前の餌やりなどの作業中だった僕は
愕然として持っていた道具が手から
落ちたことを思い出します。


昨日まであんなに元気だったのに
僕に怒鳴っていたのに
まだまだ教えてもらわないとわからないのに
高校生の娘さんと中学生の息子がいるのに
おじいちゃん、おばあちゃんもいるのに
……。



人ってこんなにあっけなく逝ってしまうのか



僕はそんな風に感じました。


親方は娘さんと息子さんのこと愛していたに
違いありません。


僕が研修に入る、ほんの数ヶ月前に別れた
元奥さんのことは親方の口からは一度も
聞いたことはありませんでしたが
男1人で年頃の子供2人をって考えるだけで
いっぱいいっぱいだったのは想像できる。


きっと心配で心配でやり切れない思いを
残してのことだと今ならばわかります。


僕に怒鳴りながらも、影では僕に期待を
掛けてくれていたらしいと後になって
聞きました。


毎日を必死に生きていたのに
懸命に仕事をし頑張っていたのに
なんてあっけないんだろう。


そんな気持ちをずっと感じていました。


親方の棺の中に入れた焼け焦げた五円玉を
僕は未だに財布の中に入れています。


親方。
僕ももう親方の年齢超えちゃいました。
夢の形は全然変わっちゃったけど、毎日
頑張っています。


たくさん怒られたけど、不器用なあなたの
教育のやり方だったんですね。


僕にも守るべき家族ができました。


僕はあの頃の親方に比べるとまだまだですが
必死にやり続けるだけだと思っています。


改めて言います。


親方。
本当にありがとうございました。


あなたの年齢を超えた僕だから
あなたが背負っていたものの重さを
理解できるようにもなりました。


本当にありがとうございました。