もう一つ、北海道に憧れた理由として
自分の生き方ができるかも思ったから。
当時(僕が30歳の時だから20年以上前)の
名古屋空港はまだ小牧にあって
妹とその子供2人と母親に見送られ
飛行機で札幌に飛び立ちました。
飛行機の自分の席に着き、離陸が始まると
もう二度と帰らない、帰れないと思いで
涙が溢れて仕方がありませんでした。
そんな思いをしてまで、知り合いもいない
北海道に来る決意が出来たのは
新しい地で、自分の生き方が出来るように
なるはずという漠然とした思いだけ。
『酪農をやりたくて』が直接の理由でなく
自分で搾った牛乳を使って、自分の手で
作ったチーズで、料理を作って…と
『本物の美味しいチーズを』という
方向からのアプローチだったのです。
今ではそんなに珍しくなくなったけど
本物のイタリアのモッツァレラは乳脂肪分の
高い水牛から搾った牛乳で作られており
濃厚な味わいが特徴。
ピッツァやオリーブオイルにぴったりの
美味しいモッツァレラを作りたいという
夢があったから決断できました。
千歳空港に着いて、すぐに稚内空港まで飛び
そこからバスに揺られて到着したお世話に
なった酪農家のお宅。
想像した『広々とした草原』とはイメージが
全く違っていたけど、隣の家まで少なくとも
車で行かないというくらいの距離感には
北海道らしさを感じました。
実際に酪農の実習生という名の
従業員(無給でしたが)として働いてみると
初日で生易しい世界では無いことは
わかりました。
ヘルパー制度があるとはいえ、基本的に
年中無休だし、牛の出産や病気があれば
昼も夜も関係なく作業があります。
実習に入って一週間もしないうちに
『しまった!失敗した』って帰りたくて。
でも、涙で飛び立った名古屋に、わずか
数日でノコノコと帰ることはできないし
第一、何もかも処分した決意を無駄に
したくなかったので恥ずかしい話ですが
泣きながら我慢していました。
そんなで始まりの北海道生活のスタート
でしたが、普通に考えたら嫌いになっても
不思議は無いほどのインパクトがあったけど
それでも北海道を愛してやまない理由は
また書きます。