仁王誕生日企画 夢小説 『First love』 第2話 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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続き物となっております。先にこちらをお読みください。⇒1話


First love ~第2話~


秋だね・・・・。

恋する季節だね・・・・・。


窓の外から聞こえる小鳥のさえずりを聞きながら、年中呟いているセリフを口にする。

ポケーッと朝の教室を見ながらそんな事を思っていると、爽やかな声が私の名を呼んだ。

声だけで認識した相手に、胸が一気に跳ね上がる。




「おはよう。中田。」

「松尾君!?お、おはよう。」

「今日の日直よろしくね。」

「うん・・・。こちらこそ・・・・。」



わぁ・・・その笑顔眩しいなぁ、もう・・・・。



この4月からクラスメイトになった松尾君。

もう引退しちゃったけど、バスケ部のエースだった彼はクラスでも人気者。


頭がよくて優しくて、頼りがいがあってカッコイイ。

そのうえ笑いのセンスもあって、話がすごく面白い。

カッコいいのに飾らなくて、気さくで楽しい松尾君にもともと好印象を抱いていたんだけど、

先日の体育祭で、クラスをまとめ引っ張る彼の姿に、私の胸はズドンと打ち抜かれてしまったのだった。


隣の席の松尾君をチラッと見ると、バチリと視線がぶつかった。

慌てて目を逸らして両手で両頬を押さえる。


うわ・・・・どうしよう。

今のってかなり不自然だよね・・・?


ゆっくり視線を元に戻せば、松尾君はまだ私の方を見ていた。




「顔。真っ赤だよ?」

「こ、これは・・・・・・ひ、日差しが暑くて!!」

「クスッ。可愛い。」

「へ!?」

「おい松尾!!数学ノート貸してくれよ!」

「また宿題忘れたのか?仕方ないな・・・・。」




数学のノートを持ってどこかに行ってしまった松尾君。

ぽかりと開いた空席を見つめたまま固まる私。


今・・・・・可愛いって言われた?


ポッと頬が火照って、頭の中に花が咲く。

きゃー!!!カワイイだって!!


叫び出しそうな想いを抑えて、友達の席に駆け寄った。




「い、今・・・・・松尾君に可愛いって言われた!!」

「え!?マジで!?それって略アリ?」

「そ、そんなわけないよ!!」

「でも松尾、悠には特別優しい気がするし、イケるかもよ?」




ないないと口では否定しながらも、淡い期待に胸が踊る。




「今日、日直一緒なんでしょ?」

「うん・・・・。」

「チャンスじゃん!」

「チャンスって・・・・。」

「告ってみれば?」

「えぇー!?」




私の馬鹿でかい叫び声にクラス中の視線が集まる。

その中に混じる松尾君の視線に、吸い寄せられるように視線が向く。

ニコリと甘く微笑まれて、またぴょこりと胸が跳ねた。






おばさんへの挨拶もそこそこに、階段を一気に駆け上り、廊下一番奥の扉を叩く。

返事がある前にノブを捻り、部屋の中へと転がり込んだ。


いつものようにベッドの上で寝転ぶマー君が、騒がしいのう・・・・と体を起こす。

そのマー君を押し倒す勢いで、私はベッドに飛び乗った。




「花が咲いた!!」

「悠の頭には年中花が咲いとるじゃろ?」

「違うよ!恋の花が咲いたの!!」

「は?」

「付き合って欲しいって・・・・・」




自分で口にしておきながらも、なんだか嘘みたいで信じられない。

何か現実だと確かめる方法はないかと思った時、メールの受信音が鳴った。

マー君の上に馬乗りになりながら携帯を開く。

それは松尾君からのメールで、やっぱり嘘じゃないんだと頬が緩んだ。




「見て見て!松尾君から!よろしくね。だって!」

「松尾・・・・?」

「ほら、元バスケ部の松尾君だよ!!うわ・・・夢じゃないんだ・・・・・」




数時間前の事を思い出す。


日直の仕事で放課後の教室に2人っきりで残っていた時、突然松尾君に告白された。

「ダメかな・・・・?」と不安に瞳を揺らす松尾君に、私は咄嗟に「ダメじゃない!!」と叫んでいた。


くすぐったい空気を纏ったまま、家まで送ってくれた松尾君。

いつもは長い帰り道が、とても早く感じた。

夕闇に消えていく背中を、影が消えた後もじっと見送っていた。




「マー君。私、松尾夫人になっちゃったよ。」

「・・・・・・そりゃ、よかったのう。」

「感情こもってなーい。」

「ま、愛想尽かされんように気をつけんしゃい。」

「もう!もうちょっと祝ってよ!」




友達に電話した後すぐに報告に来たっていうのに、なんとも素っ気無い。

中学の時私が片想いの相手にこっぴどく振られた時は優しく慰めてくれたのに・・・・。

私にとっては初彼だよ?

ケーキでも買ってお祝いしなきゃいけないくらいの出来事だよ?




「あ、さてはマー君。私に彼氏ができて、悔しいとか・・・?」

「なんでそうなる?」

「マー君も早く可愛い彼女見つけたらいいじゃん。」

「・・・・そうじゃのう。」

「だから反応薄いって。」




考えてみれば、この時からマー君の様子はおかしかったのかもしれない。

だけど浮かれすぎていた私が、そんなマー君に気づくはずもなかった。


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もう十分深夜ですが、これ以上の更新はご迷惑になるかもしれませんので、一旦休憩に入ります。

続きは朝6時に更新予定です。


ではまた朝にお会いしましょう☆