仁王誕生日企画 智さん×雪萌 コラボ作品 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

結露で曇る窓を開ければ、肌を刺すほどの冷たい風が舞い込んで来る。

少し前までは赤やら黄色やらの葉をつけていた木も、今では枯葉が数枚ぶら下がっているだけ。


すっかり冬じゃのう・・・・。


寒さに体が震えたが、もう少しこの冷たい風を身に受けていたくて、開け放った窓から冬に染まった景色を眺めていた。


しばらくそうしていた時、教室の外から微かに聞こえた人の声。

聞き違えるはずがない。声だけで俺の体温を上昇させる智の声。


自然に口元が緩むのを感じながら、智の姿を求め教室の扉を開けた。


顔を覗かせた廊下の向こうから、こちらに向かって歩いて来るのは、やはり智。

じゃが智は一人ではなく、その隣には柳生の姿。

なにを話とるんかはよう聞こえんが、時折聞こえる笑い声が楽しげな様子を伝える。


肩が触れそうなほどの距離で、同じ歩調で歩く2人は一見恋人同士に見えなくもない。


同じ委員の2人が、会議が終わった後、向かう先がたまたま同じだっただけのこと。

わかっているのに、じわりじわりと心を染める黒い感情。

俺はいつからこんなに嫉妬深くなったのか。

小さな男だと認めたくはないが、それほどに智が好きなのだと思えば仕方ないようにも思う。


困ったもんじゃのう・・・。


自分でコントロールできない感情に戸惑いながらも、2人から目を逸らせずにいると、ふと足を止めた柳生が何やら智に声をかけた。

それに釣られるように智も足を止め、向かい合って立つ2人。


なにしとる・・・・・?


柳生が智の方へと手を伸ばし、すっと頬へと触れた。

撫でるように動く指は、頬から顎の方へと滑り落ちた。


瞬間。俺は廊下を駆け出していた。




「智。」

「あ、雅治。」

「おや、仁王君。・・・・どうしたのですか?怖い顔をして。」




智の腕をつかみグッと俺の方へと引き寄せた。

驚き顔で俺を見上げる智を視界の端に捉えながら、柳生へと鋭い視線を向ける。

そんな俺の様子に、柳生はクスリと笑みを漏らした。




「今、智さんの髪が口に入っていたので取って差し上げていたのですよ。」

「・・・・髪?」

「うん。全然気づかなかったんだけどね。」

「では智さん。仁王君と合流できたようですし、私はここで。」

「うん。バイバイ。」




全てを見透かしたような顔で去っていく柳生に心の中で舌を打つ。

覚えときんしゃい・・・・・・。

智の頭を抱き寄せながら柳生の背中を見送った。


言い訳するのも誤魔化すのも簡単じゃが、自己嫌悪で今はそれどころじゃない。

「帰るぜよ。」とぶっきら棒に言い放ち、靴箱へと急ぐ。

小走りについてくる智の足音に、ちゃんと着いて来てると安心しながらも、素直に振り向く事ができない。


靴を履き替え校門へと向かって歩きだした俺に、智がおずおずと声をかけてきた。




「ねぇ、どうして怒ってるの?」

「怒っとらん。」

「怒ってるよね?」

「怒っとらん。」

「でも・・・・・怒ってるでしょ?」




俺の腕をつかみ不安そうに見上げてくる智に、はぁ。と大きな溜息を漏らす。


俺はなにをしとるんか。

勝手に不機嫌になって、智を不安にさせて。

どうしようもないのう・・・・。


自分自身に呆れ、もう1度溜息を吐き出した。


俺が溜息をついた事でさらに不安の色を濃くした智の頭をポンポンと叩く。

目を見て言うんは恥ずかし過ぎて、俺はさっき窓から眺めていた枯れ木に視線を向けながらポツリと本音を溢した。




「別に怒っとるわけじゃなか。」

「ホント・・・・・?」

「あぁ。ただ・・・・・嫉妬しただけじゃ。」

「え・・・・?」




覚悟を決めて口にはしたが、最後は小さくなってしまった。

聞こえんかったかと思ったが、チラリと見た智の顔が嬉しそうに緩められている。


チッ。ちゃっかり聞こえとったか・・・。




「もしかして、さっきの柳生君?」

「知らん。」

「親友なのに?」

「なんのことかのう?」

「雅治もヤキモチ妬くんだ・・・・・・。」

「なんも聞こえん。」




顔を隠すように歩き始める。

その腕に巻きつく智の細い腕。


肝っ玉かあちゃんのひとり言

ギュッとしがみつくように体を寄せる智が上目遣いに俺を見上げてきて、俺は降参とばかりに智の髪をかき乱した。




「俺を妬かせるなんて罪な女じゃのう。」

「へへ。ごめんね悪女で。」

「そんな悪女にはお仕置きが必要じゃな。」

「逆に毒牙にかかっちゃうかもよ?」

「ククッ。もう侵されとるよ。」




柳生と歩いていた時よりも近く。

お互いの体温と息づかいまでもが感じられるほど傍に。

体を寄せ合い歩きだす二人。


指を絡ませ、顔を合わせて微笑みあえば、自然と重なる唇。

肝っ玉かあちゃんのひとり言


「続きは・・・後でな。」




赤く染まった智の頬に、もう一度唇を寄せた。




White kiss


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思いつきでガーッと書いたのを智さんに送りつけてイラストを描いていただきました。

これといって抜き出す場所がないのではないかと思いましたが、素敵なイラストを描いてくださいました♪

仁王の腕にしがみ付くヒロインも、照れ顔の仁王も可愛い!!

そんでもってキスシーン!!

妙に照れてしまうのはなぜでしょう?ww


智さんとはずっとコラボしてみたい!!と思っていたのですごく嬉しいです。

ありがとうございました!!


智さんのブログはこちらです。⇒ 【らぶ☆プリ】-PRINCE KINGD-(モーちゃんのblog)


素敵なイラストがたくさんありますが、勝手にお持ち帰りするなどの行為はおやめくださいね。

必ず智さんの了承をとってからでお願いします。