手塚は留学してません。と言う設定でお願いします。ww
雪降る夜に積もるもの
「今日も生徒会?」
「ああ。」
「待ってていい?」
「遅くなるから先に帰っていろ。」
「・・・うん。わかった。」
国光は私を待たせてでも一緒に帰りたいと思わないの?
そう問いたいのに、聞きわけのよい彼女の振りをして頷く私。
遠くなって行く国光の背中に、そっと名前を呼びかける。
聞こえるはずがないと思いながらも、振り向いてくれないことが悲しい。
「国光の馬鹿・・・・」
誰もいなくなった静かな廊下に、私の呟きが落ちた。
季節はもうすっかり冬で、吐き出す息が白く染まる。
踏み出した足元で、北風に吹かれた落ち葉がくるくると円を描いて回っていた。
「寂しい心に冬の寒さは堪えるわ・・・。」
誰に言うでもない虚しい独り言に自嘲が漏れる。
そんな私を嘲るかのように、カラスがカーッと一声鳴いた。
街はもうすっかりクリスマスムードで、数歩歩けばけば楽しそうに肩を寄せ合うカップルと出会う。
比べたところでどうしようもない事などわかってはいるが、やはり普通のカップルはああいうものじゃないかと思ってしまう。
クリスマスの予定は空けておいた。
だけど埋まりそうな気配はない。
一緒に過ごしたいなら私から誘えばいいのかもしれない。
それでも、どうしても国光から誘って欲しかった。
私はいつもそうだ。
いい彼女の振りをして、自分の気持ちを押さえつける。
そのくせそれは全部国光が悪いのだと不満ばかりを大きくする。
自分から動きもせずに、相手からをアクションを待つなんて傲慢にも程がある。
けれど自分から動いたとして、さっきのように冷たく突き放されるのが怖いのだ。
もっと想われている自信があれば、我が侭にもなれるのだろうか?
もっと愛されている自信があれば、不安になる事などないのだろうか?
チカチカと街を彩るイルミネーションがあまりに眩しすぎて、私は顔を伏せるようにして家までの道を歩いた。
「ねぇ国光。24日なんだけど・・・・・」
「24日がどうかしたのか?」
「えっと・・・・なにか予定とかあるの?」
本当は国光に誘って欲しかったけど、ここまで待って何も言ってこないと言う事は、誘う気がないのだろう。
だけどそれで拗ねて一緒に過ごせないよりかは、私が譲歩してでも一緒に過せた方がいい。
そう思って、私から誘ってみることにした。
「その日は終業式の後、生徒会の打ち上げがあるそうだ。」
「打ち上げ?」
「ああ。」
それだけで終わってしまった会話。
私が予定を聞いた事に対して、疑問をぶつけてはくれないの・・・?
悲しみが怒りに変わり、ムカムカとした感情が渦巻く。
何時から?どこで?何時に終わるの?と、きつい口調で問い詰めそうになって、
グッと歯を食いしばり、右手を強く握り締めた。
国光にとって、クリスマスは特別な日ではないのだろうか?
それとも、私はクリスマスに一緒に過ごすほどの相手でもないという事なのだろうか?
握り締めた拳の上に、涙がポトリと落ちた。
「ねぇ国光?」
「綾女?」
「私の事・・・・・好き?」
「どうした?なぜ泣いている?」
「ねぇ・・・・好き?」
涙で滲んだ視界で、真っ直ぐに国光を見上げた。
震える唇をぎゅっと結び、漏れる嗚咽を飲み込んで、国光の言葉を待つ。
だけど近くの教会の鐘がカランコロンと6つ鳴っても、国光は口を開きはしなかった。
「そう・・・・・。よくわかったよ。」
「綾女。」
「そんな困った顔しないでよ。眉間の皺。いつもの倍になってるよ?」
声が聞きたい。
逢いたい。
もっと一緒に居たい。
抱きしめて欲しい。
キスしたい。
好きだと言って欲しい。
本当はずっと、そんな風に思ってた。
彼がそういう事に積極的ではないことも、恋愛に淡白なことも、承知の上で付きあったはずだったけど、
私はそこまで強くなくて、不安ばかりが大きくなって・・・・・・苦しくて苦しくて仕方なかった。
それでも国光のことが好きだから・・・・・傍にいれるならと頑張ってきたけど、もう・・・ダメだね。
「バイバイ。」
国光と一緒に、クリスマスに見れたらいいなと思っていた雪が、はらはらと2人の間に舞い落ちた。
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綾女ちゃんお誕生日おめでとう!!
誕生日なのに悲恋夢でゴメンね。
ってそんなわけないやろーーー!!!(一人ノリツッコミ)
ちゃんと後編ありますから!!
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