ぎゅ様お誕生日おめでとう!!(夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言


Love investigation






「ねぇ、柳生君。ここわかんないんだけど・・・・」

「須藤さん。いつも言いますが人に聞く前に調べたまえ!」

「だって面倒だし、聞いた方が早いじゃん?」

「そういう問題ではありません。自分で調べようとしないから覚えられないのですよ。」




眼鏡をクイットあげながらお説教は始める柳生君。

いつも思うけど、本当に親父臭い事を言う男だ。


世界史の宿題を忘れてきた私はただいま居残り中。

柳生君という監視付きで・・・・・。


だけどこの光景も、別に珍しい事ではない。


宿題を忘れたり、テストの点が悪かったりして居残りをさせられると、

必ず柳生君が監視役としてついてくるのだ。




「調べるったって・・・どうやって調べたらいいのかわかんないし。」

「何のための教科書です?それにノートもとっているでしょう?」




そう言いながら私が質問した内容が乗っているページを開き、

ズイッと私の目の前に突き出してきた。


小さな文字が所狭しと並び、それを目にするだけでやる気が失せる・・・・


仕方なく教科書を受け取ったものの、読む気にもなれなくて、

机に教科書を投げ出し、椅子の背もたれにもたれながら伸びをした。




「須藤さん。」




顔をしかめながら、たしなめるように私を見る柳生君にへらりと笑って見せて、

椅子ごと柳生君の机の前に回りこんだ。




「じゃぁさ、調べてもわからなかったらどうするの?」

「世界史で調べてわからない事などまずありえませんよ。」

「いや・・。世界史だけじゃなくてさ、他にも色々あるじゃん?」

「今は世界史の勉強中です。」

「もう!本当に頭固いな!!!」



どこまで真面目腐ってんだか!

紳士柳生とか呼ばれてるみたいだけど、全然融通利かないし、

こうやって私が困ってるのに優しくないし・・・・・

私からすればどこが紳士かわからない。



ぶぅ。と頬を膨らませながら、拗ねたような顔をしても、

「ほら、そんな顔をしていても問題は解けませんよ。」なんて言いながら

さっき私が机に放り投げた教科書をまた目の前に持ってくる。



私が宿題を終わらせるまでこのやり取りを続けるつもりだろう。



仕方ないと諦めた私は、「べぇー!」と、舌を出してささやかな反抗をしながら、

「調べりゃいいんでしょ!!」と教科書を広げた。




暗記問題は苦手だ。

特に興味のない世界史とか、覚える気がないからかまったく頭に入ってこない。

過去の人が何をしてようが私には関係のない事。

それを覚えたからって何になるって言うのか・・・・。



そんな事を考えながら教科書を読み、穴あき問題を埋めていると、

ほぼ終わりかけたところで、柳生君がじっとこっちを見ているに気づき顔を上げた。




「なに?何か間違ってる?」

「いえ、すべてあっていますよ。」

「じゃぁなに?」




監視してるとわかっていても、あまりじっと見られると居心地が悪い。


怪訝な顔を柳生君に向けた。




「さっきの質問ですが・・・・・」

「質問?」




私何か質問したっけ?


さっきの会話を思い返してみたけど、何も思いつかない・・・・。




「本当に調べてもわからない場合・・・・・人に聞くしかありませんね。」

「は?」

「世の中には調べてもわからない事も多くあります。」

「そりゃそうでしょ。」




突然何を言い出すかと思えば・・・・。

何で今頃になってさっきの質問の答えが返ってくるんだ?


もしかして今の今まで質問の答えを探してたとか・・・・?


どこまでも真面目なんだから・・・と思う反面、

そんな真剣に考えていたのかと思うとなんだかおかしい。




「じゃぁさ、もし調べてもわからない事なら教えてくれる?」

「私でわかる事ならかまいませんよ。」

「柳生君って好きな子とかいるの?」




ほんの意地悪のつもりだった。


真面目な柳生君をからかってやろうと・・・・・そんな軽い気持ちだった。



だけど返ってきた言葉は・・・・・・



「ええ。いますよ。」



なんて、ストレートな答え。




「ええ!?マジで?柳生君も恋とかするんだ!!!」

「意外ですか?」

「いや・・・どうだろう?意外っていうか・・・『学生の本業は勉強です!!』とかいうと思ってたから・・・・」




思わぬ返しに私の方が驚いてしまった。


だけど私の好奇心がむくむくと顔を出す。




「で?好きな子って誰なの?」

「同じクラス?」

「どんな子?」

「可愛い系?それとも綺麗系?」




身を乗り出しながら、柳生君に詰め寄る。



すると柳生君はいつものように眼鏡をクイッと上げながら

「それは教えられません。」と、ぴしゃりと言い放った。




「えー!わかんない事は教えてくれるんでしょ?」




柳生君が言っていることはそういうことじゃないだろう。

そんなのわかってるけど、1度湧き出た興味というのはそう簡単には消えてくれない。


中途半端に私にそんな情報を与える方が悪いんだ!!


なんとも身勝手な言い分だが、「紳士が嘘つくの?」と、さらに柳生君に詰め寄れば、

これまた意外な返事が返ってきた。




「調べてもわからないと事なら・・・・と言ったでしょう?」

「はぁ?」

「私が想いを寄せている人は調べればすぐにわかりますよ。」

「調べるって・・・・どうやって?」




探偵じゃあるまいし・・・・。

まさか柳生君の友達とかに聞き込みでもしろと!?




「それも、調べればすぐにわかるでしょう。」




柳生君はそう言うと、「では宿題も出来上がったようなので、私は失礼しますね。」

と、席を立ち上がり、教室を出て行ってしまった。



それも調べれば!?

だからどうやって調べるのよ!?


柳生君からのよくわからん挑戦を受けた私は、もやもやとした気持ちのまま、

答えの埋まったプリントを眺めていた・・・・・・。











「ねぇ柳。」

「須藤か?お前が俺に声をかけてくるとは珍しいな。」




次の日の朝、私は柳の元へと向かった。


柳も柳生君と同じ系で何かというと小言が飛んでくる。

だから滅多な事がなければ近づかないし、話しかけたりもしない。


だけど今は緊急事態である!!




「人の好きな人を調べるにはどうしたらいいの?」

「・・・・・どういうことだ?」




私は柳生君とのやり取りを簡単に柳に説明した。


柳と恋愛って言うのも遠い感じがするけど、物知りマスター柳と言われてるくらいだ。

きっと何か教えてくれるだろう。




「なるほど。そういう事か。」

「ねぇ!?どうしたらいいの?」

「それならば柳生自身をじっと見ていればいい。」

「柳生君を?」

「そうだ。そうすればおのずとわかるだろう。」




なんでそれでわかるのか・・・・?

それは全然わからなかったけど、柳がそう言うんだ。

きっと間違いはないのだろう。

私はそれから時間があれば柳生君を観察した。


休み時間や授業中。昼休みや放課後。

暇を見つけては柳生君を見ていた。




真面目で頭が固くて、融通が利かない小姑みたいな人。



私の中の柳生君のイメージはそんなものだった。


だけど・・・・お人よしと言っていいほどすぐに人の世話をして、頼まれた事はまず断らないし、

レディファーストというか、女の子にはとても優しくて、

いつもしかめっ面で眼鏡を上げる顔しか見た事なかったけど、

その女の子達にはキラキラとしたオーラが見えるような微笑を見せたりしていて・・・・・



あれ?私が見ていた柳生君って・・・?

柳生君って本当はこういう人だったの?



知らなかった柳生君を見てしまった事で、私のもっていたイメージが大きく変わってしまい、

好きな子を調べるどころか、柳生君自体がよくわからなくなってしまった。





柳生君観察を始めて1週間ほど経った時、私はまた宿題を忘れて居残りをさせられてしまった。

今日ももちろん柳生君の監視つき。


静かに眼鏡を光らせる柳生君の前で、私は問題を解きながら、

さも宿題の質問のように、軽く声をかけた。




「ねぇ柳生君。」

「なんですか?」

「私調べてもよくわからなかったよ。」

「何をでしょう?」

「柳生君の好きな人。」




もともと静かな教室だったけど、さらに静けさがましたように、

シーンとした空気が流れる。


恐る恐る視線を上げると、なぜか険しい顔の柳生君と目が合った。




「ちゃんと調べたのですか?

「調べたよ!!ってか・・・観察した?」




観察って・・・・理科の実験じゃあるまいし、不適切な表現かもしれないけど、

この数日間の私の行動はまさしく観察。


だけど柳生君はそんな事は気にならなかったようで、

それよりも『わからなかった。』という事の方が不服な様子・・・・。




「おかしいですね。あれだけ観察していてわからなかったのですか?」

「だからわかんなかったって言ってるじゃない!!」

「貴女はいったい何を見ていたのですか?」




何を見てたって・・・・・・柳生君を見てたに決まってるじゃない!! 


呆れ気味にため息をつかれ、なんだかムッとしてしまう。


何で柳生君の好きな人探しでここまで言われなきゃいけないの!?


なんだか馬鹿らしくなって、「もういい!!」と怒鳴りつけて、宿題に視線を落とした。




「須藤さん。」

「宿題してるんだから話しかけないで!」

「どうやら私は好きな人を前にすると、緊張で冷たい物言いになってしまうようです。」

「はぁ?」




イライラをぶつけるようペンを走らせる私に、柳生君は独り言のように話し出した。




「女性には優しく。そう思っていますが、その人にはなぜか小言の方が先に出てしまう。」

「笑って欲しいと思いながらも、怒った顔も拗ねた顔も、すべてが可愛らしく、いろんな顔を見てみたくて・・・・」

「ついつい意地悪なことを言ってしまうこともあります。」




聞きたくないと思いながらも聞こえてくるその内容に、私の手は止まってしまった。


ここ数日見ていたけど、柳生君がそんな態度をとってるのなんて見たことはない。




「まだわかりませんか・・・?」

「え?全然わかんないけど?」

「はぁ・・・私の好きな人は、暗記も観察も苦手なようです・・・・。」

「は?」

「ついでに推理力と理解力も乏しいようですが・・・・。」




ちょっと待てぃ!!

好きな子の割にはあまりにひどい言い様じゃない!?


っていうか・・・・・


今の話を少し整理してみよう。



普段は誰にでも優しくて、紳士的な振る舞いをしている柳生君。

だけどその好きな人の前では、緊張から冷たい態度になったり、

色んな表情を見たいが為に小言を言ったり、意地悪な事をしてしまうと・・・・。


ここだけ聞けば、ふ-ん。そうなんだ・・・って感じだけど・・・・・



柳生君の観察を始めるまで、紳士的な柳生君を見た事のなかった私。

だって、私の前ではいつもしかめっ面でお小言ばっかりで・・・・ちっとも優しくないんだもん。



これって・・・・柳生君が今言ってた話と・・・なんか似てない?




「えっと・・・・もしかしてそれって・・・・私の事?」




たぶん今の私は馬鹿みたいにマヌケな顔をしていることだろう。


まとまりのない思考の中で、ポツリと呟いたその言葉に、

柳生君は、「正解です。よく出来ましたね。」なんて言いながら、

今まで見せた事のないほど優しい微笑を浮かべた。




「調べてわからない事などなかったでしょ?」

「いや・・・わからない事だらけだったよ!!」

「自分で調べればもう忘れる事もありません。」

「こんな事調べようが教えてもらおうが忘れないっつーの!!」



あぁ・・・・なんかわからないけど胸がドキドキする。


これは難問を解いた達成感?

それとも見た事のなかった柳生君の笑顔のせい?


それこそ考えるまでも、調べるまでもないんだけど、

いきなり突きつけられた真実と、自分の気持ちを、そう簡単に受け入れる事も出来なくて、

顔を真っ赤にしながら、恥ずかしさを誤魔化すように柳生君に向って反抗し続ける。


そんな私に、柳生君はさらに追い討ちをかけてきた。




「ところで返事はいただけないのですか・・・?」




散々私を振り回して、人の心までも掻き乱しておいて・・・・・・

何をしゃーしゃーと「返事はいただけないのですか?」だよ!!



本当はもう答えなんて出てる。


だけど簡単に答えを教えてもらえるなんて思うなよ!!



私は椅子から立ち上がり、柳生君に向って人差し指を突き出した。





「調べ方が足りないんじゃないの?調べればすぐにわかるでしょ?」




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あぅ・・・・・(撃沈)


恋の駆け引きというか・・・・トリックみたいなのを入れた話を書きたかったんですけど、

私にソッチの才能はないようです。ww


なにわともあれぎゅ様ハッピーバースディ!!


鬼畜眼鏡でも、変態でもないぎゅ様は書くの難しいですわ・・・。(苦笑)