七夕企画 織姫をさがぜ!! エピローグ (立海逆ハー夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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Vol.7








織姫をさがせ!! ー エピローグ ー





浴衣の裾が乱れる事も気にせず、ただ赤也君だけを探して走り回った。


みんな制服のままだった。
きっと赤也君も制服のままなんだろう。


キングや柳君のように背が高いわけじゃないし、
丸井君や仁王君みたいに髪の色が派手なわけじゃない。
ジャッカル君のように全体が黒いわけでも、
柳生君や精市君のように黒いオーラを出してるわけでもない。


それでもきっと見つけられる。


そう信じて、赤也君の姿を探し続けた。





赤也君に会いたい。


赤也君に会いたい。


赤也君に・・・・・・





「見つけた。」





キングと別れた笹飾りの前を過ぎた時、背中から微かに聞こえた声に足を止めた。


空耳のような、聞き逃してもおかしくないほどの小さな声だった。
だけどその声に、私は弾かれたように振り返った。



人の波に逆らうように立つ一人の男の子。



息を切らせるように肩を揺らしながら、じっと私を見つめる瞳。
額からはいくつもの汗が流れて、髪が顔中にへばりついている。


これほどまでに探してくれていたんだと、
胸の奥がギューッと苦しくなって、涙が溢れそうになる・・・・・。




「赤也君・・・・。」
「悠奈先輩!!」




名前を呼ばれたのと同時に、赤也君の胸に抱きしめられた。


苦しいまでのその抱擁と、耳にかかる荒い息。
湿るというよりぐっしょり濡れたシャツと、そこから伝わる熱い体温。


暑いし汗の匂いがすごくて、いつもなら突き飛ばしていただろう。
だけど今は赤也君の全てを感じていたくて、私も赤也君の背中に自分の腕を回した。


たった数時間会えなかっただけなのに・・・・・
さっきまで違う人と祭りを楽しんでいたくせに・・・・・
赤也君に会えた事が嬉しくて、抱きしめられている事にホッとする。


今ここが祭りの参道で、周りに人がいっぱいいてるのに・・・・

離れたくない
離さないで欲しい

そんな気持ちを体で表すように、赤也君を抱きしめる腕に力を込めた。




「いつもみたいに突き飛ばさないんッスか?」
「うん。」
「人前で場所考えろ!とか怒んないッスか?」
「うん。」
「俺に・・・・・会いたかった?」
「うん・・・・・。」
「俺も・・・・・・会いたかった。」




ゆっくりと顔を上げて、赤也君を瞳に映す。
どこか大人びて見えたその顔に、胸がドキリとする。


この数時間の間に何度か感じた胸のときめき。


抱きしめられたり、押し倒されたり、甘い言葉や、熱い眼差し。
どれもドキドキと胸が高鳴った。


だけど今、赤也君の顔を見ているだけで、
どのときめきよりもドキドキとして・・・・鼓動が早まっていく。


これは生理現象だからじゃない。
誰にでも起こるときめきじゃない。


赤也君だから・・・・・・・
赤也君が・・・・・・・・・・・・好きだから・・・・・・





近づく赤也君の顔に、私は静かに瞳を閉じた――――

















「20時54分か・・・・。」
「マジぎりぎりだし。」



2人小さな石垣に腰掛け息をつく。


あの後、周りからの冷やかしと好奇の視線から逃げるように神社の裏までやって来た。


あの時は周りの目なんてどうでもいいから赤也君を感じたい!なんて思ったけど、
冷静になって考えると、なんて恥ずかしいことをしたんだろう・・・・。


どうか学校の誰かに見られていませんように。と、祈っていると、
バッグの中から携帯のメロディが聞こえてきた。

私の着信音じゃなくて不思議に思ったけど、そう言えば精市君から赤也君の携帯を預かってたんだ!
赤也君に返さなきゃ・・・と、バッグを開けようとして、赤也君と手が繋がれたままだった事に気づく。




「赤也君。手離して。」
「・・・・・・ヤダ。」
「は・・・・?」




ヤダってなによヤダって・・・・・。

手を思いっきり引いてみたけど離してくれる気配はない。
仕方ないともう片方で携帯を取ろうとすると、その手まで掴まれて、赤也君の胸に引き寄せられた。




「赤也君!?」
「今日・・・・先輩達と何したんッスか?」
「え?」




下に落ちたバッグからはまだ携帯のメロディが聞こえる。


その音に掻き消されるくらいに小さな赤也君の声。
不安そうで、寂しそうで・・・・・胸が苦しくなって、私は赤也君の胸に頬を寄せた。




「じゃがバター食べたり・・・・ひよこ釣り見たり・・・・」
「あとは?」
「ヨーヨー釣りして・・・・かき氷食べて・・・・・」
「・・・・・あとは?」
「お参りしたり、水笛吹いたり・・・・。あと・・・・・・・。」
「あと・・・・・・・?」
「・・・・・・花火も見た。」




耳にかかる赤也君の息と、抱きしめる腕が震えている。


泣いているのかと顔を上げようとしたけど、
見てはダメというように、顔を胸に押し付けられた。




「全部・・・・・・俺が・・・・・・悠奈先輩としたかったのに・・・・・。」




その一言が胸に突き刺さる。


ごめんね。
私もだよ。


そう言えば許されるのだろうか・・・・?


仕方ないじゃん。
また来ればいいでしょ?


それですまされる事なんだろうか?



何も言葉が出てこない。
その代わりに・・・・・・瞳から一筋の涙が零れた。





「ねぇ、悠奈先輩。七夕物語って知ってる?」
「え?うん・・・・・知ってるよ。」
「今日の俺達って、先輩達に引き裂かれた織姫と彦星みたいじゃないッスか?」
「そう・・・・だね。」
「でも俺は・・・・・年に1回しか会えないなんて、絶対耐えらんね・・・・・」




神秘的で、ロマンチックな話のように語られる物語。
だけどそれは本当は悲しい恋の物語だ。
惹かれあう男女が、年に1度しか会うことが許されないなんて・・・・・




「会えない間、会えたらああしたい、こうしたいって思ってても、それを他の誰かとされてるとか・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・。」
「めちゃくちゃかわいい浴衣姿を・・・・1番に見れないとか・・・・・・」
「え?」
「こうやって涙を拭ってやったり、抱きしめたり・・・・キスしたり・・・・・」




零れた涙を指で拭い、そっと目じりに唇が触れる。
さっきとは違う力強い目が私を捉えて離さない。





「それができないなんて・・・耐えらんねぇ。」
「赤也君・・・・。」
「傍にいなきゃ意味がねえんだよ。傍にいなきゃ・・・・・」




赤也君の鼓動を感じる。

赤也君の温もりを感じる。


この距離が・・・・・・この幸せが・・・・いつもそばにあるのが当たり前に思えていた。
だけど・・・・・こんなに大切で・・・・かけがえのないものだったんだね・・・・。



精市君が私達にこの事を気付かせるために、こんな手の込んだ事をしたとは思えないけど、
結果的には、私達の想いと絆が強くなったように思う。


七夕の夜が終われば、彦星と織姫はまた天の川に裂かれ、次の七夕を待ち続けるのだろう。

だけど私達は、どんな荒波の天の川だとしても、もう決して離れてしまわぬように・・・・
お互いの身体をきつく抱きしめあった・・・・・。




―― やっと見つけた俺の織姫。もう絶対離さねぇ・・・・ ――
















雲に覆われた空の向こうで、織姫と彦星が会えたのかはわからない。
だけどきっと、赤也君が私を見つけてくれたように、二人も今頃愛を育んでいる事だろう。




「あっ!赤也君。みんなとしてないものがあったよ。」
「なんスか?」
「短冊にお願い書いてない。」
「よっしゃ!早く行きますよ先輩!」
「ちょっと待ってよ~!!」
「ついでに思い出全部塗り返してやる!」
「えぇ~!?」










門限が迫る時計の針を、少しだけ巻き戻した、21時ちょっと過ぎ――――



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お、終わった・・・・・・・。

やりきったぜ私!!←


もう何も言うことないです(笑)


ただ単にもう1回逆ハーしたいな・・・って思って始めた企画やったんですけど、

なんせ始めるのが遅すぎました!!

計画性0ですからね。


でも久しぶりに8人全員書けて楽しかったです♪


悠奈の浮気性は、もう逆ハーヒロインに選ばれた時点で諦めてください。(オイ)

だってそうじゃなきゃ話進まないし!!

赤也が頑張ればいいってことですよ。←


えっと。皆さん楽しんでいただけましたでしょうか・・・?(笑)

1日にこんなに一気に夢をUPしたのは初めてですが

皆さんにも楽しんでいただけたなら嬉しいです♪


まだ数時間七夕の夜は残ってますので、素敵な夜をお過ごしくださいね♪