ありがとう&お正月企画 第1弾 (みかんはちみつ様リク・幸村夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

~ 魔王と年越し ~



人ごみ溢れる境内で、「あれうまそうだ!」とか、「先輩『絵馬』ってなんですか?」とか、

ギャーギャーうるさいこの連中を引き連れて歩く私は園児を連れてる先生の気分だ。



「何でそんな色気のない服装な訳?」

「それで体系隠してるつもり?余計に太く見えるよ。」

「そんなんだから男が寄ってこないんじゃない?」



ここに着いてからずっと嫌味の連発をし続けている、何より1番の問題児。

見た目は天使。中身は悪魔。私の天敵でもある魔王こと幸村精市!!



「あんたさっきからうるさいのよ!ちょっと黙れ!!」

「橘の方がうるさいよ。見てみなよみんな振り返ってるじゃないか。」

「誰のせいだと!!」

「お前だろ?」



ムッキー!!!

なんなんだよコイツは!!


せっかくの大晦日。

みんな揃って初詣に行こうっていう事になったのはいいが

なにが気に食わないのが終始ご機嫌ななめの幸村は、

いつも以上のブラックオーラを撒き散らしている。

しかもそれをなぜか全て私にぶつけてくるんだからたまったもんじゃない!



「ちょっと!真田!こういう役はアンタの担当でしょ?」

「こういう役とは何だ?」

「もう~!!柳何とかしてよ!!」

「これだけは俺にはどうすることもできないな。」



なんだと!?図体だけでかくって何の役にも立たないやつらめ!!

他の柳生やジャッカルなんかは苦笑いで見てるだけだし

丸井と切原なんてはなからあてにしてない。

仁王は余計に事が悪化しそうだし・・・・。

もう幸村は完全無視でとりあえずさっさとお参り済まして帰ってやろう!

私はそう思って「ほら行くよ!!」と、先頭を切って歩き出した。




しばらく歩いているとさっきまでうるさいくらいだった幸村の声が聞こえなくなった。

振り返ってみれば、数メートル後ろで、立ち止まっている幸村の姿。


何やってるんだろう?

もしかして体調が悪くなったとか!?


去年事を思い出し、背中に冷たいものが走る。

慌てて駆け寄っていくと、後もう少しという所で可愛らしい笑い声が聞こえた。


幸村の横からかすかに見えたのは、小柄な可愛らしい女の子。

口元に手を添えながらクスクス笑う姿は女の子らしくてとってもカワイらしい。

幸村は、私に背を向けていて顔は見えないが、時折あがる笑い声がとても楽しそうに聞こえた。


なんだ・・・・心配して損した。


美男子の幸村。

可愛らしい女の子。


端から見ていてもすごくお似合いの二人。


後ろで立ち尽くす私はジーパンにダウンジャケットにニット帽を。

あの女の子とは大違いで、可愛らしさの欠片もない。



何を気にしてるんだろう・・・。

別に私があの子と違って可愛らしくなくたっていいじゃん。

幸村とお似合いじゃなくたっていいじゃん。


そう思うのに・・・・。

胸の中で軋む様な音と共に痛みが走る。


わかってる。

本当はわかってる。

認めたくないだけ。


私は幸村を―――――




踵を返す様に境内の奥へと向かい、先を歩いていた柳に声をかけた。



「ごめん。なんか体調悪くなってきたから先帰る。」

「・・・・・そうか。送って行かなくてもいいのか?」

「うん。大丈夫。」



貼り付けたような笑みを浮かべ、私は人の波に逆らうように境内の出口へと向かった。


とぼとぼと歩く道路には、今から初詣に行くのだろうと思われる人達が

楽しそうに談笑しながら通り過ぎていく。


幸村の嫌味に怒ったり、嫌そうな顔をしてみたりしていたけれど、

本当はああやってかまってもらう事が嬉しかった。

幸村が自分の裏の顔を見せた女子は私だけだったから。

素顔を見せてくれたことに、特別感を感じていた。


だけどそれは・・・・・

私を女だと思っていなかっただけなのかもしれない。

他のメンバーと同じように、ただの仲間だと思われていただけだったのかも・・・・。


さっき見たあの可愛らしい女の子と話す様な、あんな優しい声をかけてもらったことなんてない。


自分が少し自惚れていた事に笑ってしまう。

何を勘違いしてたんだろう・・・・



「バカみたい・・・・。」

「今頃気付いたのかい?」



まさか聞こえるはずのない声に、私は体を飛び上がらせてしまう。


「ま、魔王!?」

「お前がバカなのは最初からだろう?だけどそこまでバカだったとは俺も知らなかったよ。」

「はぁ?なんなのよあんた!!なんでここにいるわけ?」

「橘こそ、俺に何の挨拶もなしに帰るなんてどういうつもりだ?」



コイツは自分にサヨナラの挨拶もなしに返った事が許せなくてわざわざ追いかけてきたというのか?

どこまで自分勝手なのよ!!



「あんたがとっても楽しそうだったから邪魔しちゃ悪いと思ったのよ!!」

「ふふ。妬いてるのかい?」

「バッカじゃないの!?自意識過剰もそこまでいくともう笑えないから!」

「自意識過剰?事実だろ?」



幸村と話していると本当に頭が痛くなってきた。

なんで私こんなヤツ好きなんだろう!?

ナルシーだし自己中だし偉そうだし!!

いいとこなんて顔だけじゃん!!


そう思うのに・・・・・・・そう思うのに好きが止まらない。


これ以上幸村の顔を見ていたくなくて、無視して歩き出せば、痛いくらいに腕を掴まれた。



「ちょ、痛い!!離して!!」

「嫌だ。」

「何で追いかけてくんのよ!!ほっといて!!」

「追いかけてきて欲しかったんだろう?」

「な、バカなこと言わないで!!離してよ!」



掴まれた腕が痛くて振り払おうとするのになかなか離してくれない。


さっきの女の子は?

何で追いかけてきたの?

本当に挨拶なしに帰った私が許せなかっただけ?


自惚れるなんてバカだと思ったはずなのに、

ここまでして引きとめようとする幸村に、微かな期待を抱いてしまう・・・・。


幸村にとって私はなに?

なんとも思ってないなら・・・優しくしないで!!


声に出せば涙が出てきてしまいそうで、下唇をかみ締め精一杯の強がりで幸村を睨み上げた。



「その顔…すごくそそるんだよね。誘ってるのかぃ?」

「はぁ!?」



突拍子もない言葉に、色々な事が頭からすっ飛んでしまった。


誘ってる?

どこをどう見てそう思うわけ~!?



「意地張るのもそこまでにして素直になれよ。」

「何の話よ!?」

「俺が好きで仕方ないんだろう?」



次々に放たれる幸村の言葉に、全身が燃えるように熱くなってくる

『違う』と否定しようと思うのに、うまく言葉が出なくって合わさっていた視線までも逸らしてしまった。

これじゃあ好きだと認めたも同然じゃない!!


クスリと笑い声が聞こえて、腕を掴んでいた幸村の手が私の背中へと回され

包み込むように抱きしめられた。



「やっ!何して・・・」

「ほら。言えよ。」

「な、何を・・・・?」

「俺を好きだって・・・・言えよ。」



耳にかかる幸村の吐息と、囁かれるような声に頭がくらくらする。

何かの呪文のように脳内を巡り、閉ざした心の扉を開いていく・・・・・。


言ってもいいのだろうか?

この想いを伝えてもいいのだろうか?


これで「なに本気にしてるんだい?」とか言われたら私は立ち直れそうにないんですけど?


それでも抱きしめられた腕が思ったより優しくて・・・・

私はゆっくりとその気持ちを口にした。


「・・・・・す・・・・すき・・・・。」

「聞こえない。」



絶対嘘だ!!

聞こえてないならなんだよその笑はよぉ~!!
人が頑張って伝えた想いを「聞こえない」の一言でばっさり切りやがって!!


もう悔しいやら恥かしいやらで、私は近所迷惑も考えず叫んでやった。



「幸村精市!!アンタが好きだっつってんの!!文句あんの!?」
「あるわけないだろ?俺も好きだよ。」



幸村から聞かされた『好き』の言葉に、胸に広がる甘い感情。

嬉しい・・・。幸村も私を・・・・・・。

そう思ったのに、嬉しさをかみ締める間もなく、唇を塞がれた。


「んんっ!!」

「キスする時くらい目を閉じろよ。」

「いきなりなにすんのよ!!」

「ずっと我慢してたんだ。これくらい当然だろう?」



なにが当然なのかまったく私にはわからない。

しかもこれ私にファーストキスなんですけど!?


だけど幸村が嬉しそうに笑うから・・・。

まぁいいかなんて思ってしまう。



「ねぇ、もう1度・・・・言ってよ。」

「何を?」

「わかって聞いてるの?」

「クス。好きだよ由似。」

「もう1回」

「ふふ。何度だって言ってやるさ。一晩かけてね何度も・・・。」



・・・・・・・え?

なんだか嫌な予感がして顔を上げれば、輝くような笑顔が目の前にある。



「あの・・・・魔王?」

「精市って呼べよ。」

「・・・・・精市?」

「なんだい由似?」

「その・・・・今一晩かけてって言った?」

「ふふ。由似の啼く姿が今から楽しみだよ。」



ノーーーーーーーーーー!!!!


ガシリと回された腕は、暴れる私をものともせずに、どんどん精市の自宅へと進んでいく。

あぁ・・・私はこのままおいしく食されてしまうのか!?

ちょっと早まった事をしてしまったんじゃ・・・・?なんて思いながらも、

新年を精市の腕の中で迎えられる事に、少しの喜びを感じていた。







*オマケ*

「ところでさっきの女の子は・・・・?」

「やっぱり気にしてたんだね。」

「うぅ・・だって・・・・。」

「俺の妹だよ。可愛いだろう?」

「え・・・・・?」

「妬いてくれて嬉しいよ。」

「まさか私・・・・・ハメられた~!?」


*****************************************


新年明けましておめでとうございます。


新年第1発目がユッキーって事で、今年も素晴らしい1年になりそうですね(笑)

これで厄払いはバッチリですよ!!←


みかんはちみつさんからのリクは


黒オーラをものともせず魔王呼びしてぽんぽん言い合える仲

友達から恋人へ進めない事に業を煮やし、相手から告白してもらうために幸村が策を練る。

成就した後は、そのままお持ち帰り・・・・。


ってな感じのリク内容でした。


あまり策を練ってはいませんけど、こんな感じでお許しください。ww

「魔王」呼びを会話の中だけにしたのは、本当はちゃんと名前で呼びたいヒロインちゃんの心情を

表そうかと思ったんですが・・・あまり意味なかったかも?(オイ)


とりあえずできるだけ黒くしてみましたが・・・どんなもんでしょう?


みかんはちみつさん。企画参加&リクありがとうございました。
みかんはちみつさんにとって今年が素晴らしい1年になりますようお祈り申しあげます。