Xmas 企画 琉威様リク(跡部夢) | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

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妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

~ 愛の囁き ~



「ホラ!早く!!」

「そんなに急がなくてもツリーは逃げねぇだろうが!?」

「点灯する瞬間を見たいの!!」



急かされるように手を引かれやって来て見れば、ツリーを囲むようにウジャウジャと人が溢れている。


人ごみに押され弾き飛ばされそうな琉威の肩を抱き、「しっかりつかまってろ。」と声をかければ

「歩きにくい・・・。」と、可愛げのない言葉が返ってきた。


琉威の憎まれ口は今に始まった事じゃねぇし、そんなところも可愛いとさえ思ってはいるが

こんな日でさえもいつもとかわらない琉威に笑が込み上げてくる。



「嬉しいんじゃねーの?あ-ん?」

「だ、誰が!!」



そう言いながらも決して手を払おうとはしない琉威に愛しさが湧いてきて、肩を抱く手に力を込めた。



素直じゃない琉威は俺の前じゃ、感情のままの素顔を見せようとしない。

褒めれば恥かしいのを隠そうと怒鳴りやがるし、ちょっとからかえば本気で怒りやがる。


面倒で手の掛かる女。


だけど俺はそんな琉威が可愛くて仕方ねぇ。

一人の女にここまで振り回されるなんて想像もしなかったが、そんな生活も琉威となら悪くねぇ。

そう思うまでに、心底コイツに惚れている。

そうじゃなきゃ、こんな寒空の中人の溢れる街にわざわざ来たりはしない。


― 普通の恋人のようなクリスマスを過ごしたい。 ―


そんな琉威の希望で、今日は1日ブラブラとクリスマスに彩られた街を歩き、

何十分も並んでカフェでケーキを食べ、こうやってツリーを見に来た。


普通のデートとやらは、時間と体力を無駄に使うという事がわかったが、

そんな無駄な時間も、琉威が一緒なら悪くないと思えた。



ざわざわと辺りが騒がしくなり、「ほら、点くよ!!」と袖を引っ張られツリーを見上げれば

下から空へと昇っていくように光りが流れ、一瞬にしてきらめくイルミネーションの世界へと変わった。


確かに綺麗だとはおもう。

しかし、明かりが灯るだけで何をここまで騒ぎ立てる必要がある・・・?

そう思ったが、大きな歓声のあがる中で、「綺麗・・・。」と聞こえた小さな呟き。


きっと俺以外には聞こえもしないほどの小さな声だったはず。

だけど俺はその声を聞き逃す事無く、隣の琉威へ顔を向けた。


口は半開きで、ガキみたいに嬉しそうな顔でツリーを見上げる琉威に

俺は視線を奪われて動けなくなってしまった。


人を・・・女を・・・・こんなに綺麗だと思った事があっただろうか・・・・?


イルミネーションに照らされた琉威の横顔は、このイルミネーションよりも、

聖夜の夜空に輝く星々よりも・・・何より美しく見えた。


愛しさが溢れるとはこういうことなのかもしれない。

今すぐに琉威を抱きしめてしまいたい衝動を抑えきれず、

ツリーを見上げる琉威の顎に手を添えその唇を奪った。


冷たくなった唇を軽く吸い上げてやると、ほんのり赤く色付いて、また俺を誘う・・・。

離れようと暴れる琉威の腰に手を回し、「離すかよ・・・。」と、再び唇を重ねた。



「ちょ、やっ・・・。ここどこだと思ってんの?」

「あーん?どこだろうがキスしたいと思ったからしたまでだ!」

「またそんな俺様発言するし!」

「なんだ?嫌なのかよ?」



これもただ恥かしがってるってことくらいわかってるが、

たまには素直な気持ちも聞かせて欲しいもんだ。


そっと抱き寄せ耳元で「ほら、言えよ。」と呪文のような囁きを落とせば

まだ少しの抵抗をみせながらも、胸に顔を埋めて動かなくなった琉威。


もう一押しか・・・・?


優しく髪を灘ながら髪にキスを一つ・・・・



「好きだぜ・・・琉威。」

「・・・・・バカ。」

「ククッ。お前の「バカ」は「好き」って意味だろ?」

「違うよ!」

「なら言えよ。俺が好きだって・・・。」



顔を上げた琉威に、唇がつきそうなくらい顔を寄せて、

泳ぐ視線を逸らさせまいと、両頬に手を添え、「琉威・・・。」と、名前を呼んだ。



「すき・・・だよ。」

「もう1度・・・。」

「好き・・・・大好き。」

「まだ足りねぇ・・・。」

「す・・・んっ・・・。」



何度聞いても満たされる事のない心を埋めようと、言葉ごと飲み込むように唇をあわせれば、

ゆっくりと琉威の手が、俺の背中へとまわされた。



お互いの熱を伝えるように重ね合わされた唇は

もう周りなど何も見えなくなるほどに、思考さえも奪い去る・・・。


キスの合間に漏らす愛の囁きに乗せて、遠くでクリスマスソングが流れ出した―――









ベッドの上で眠る琉威の髪に指を滑らせながら、

無防備な寝顔に、静かに笑みを零す。



いつもは寝顔を見られるのを嫌がって俺の胸に顔を埋めるか背中を向けて眠る琉威が

こんな風に隠す事無く眠ってしまうなんて、よほど疲れていたんだろう。



今日は朝からはしゃぎまくってやがったし、

今はこんな風になるまで可愛がってやったしな・・・・。


寝息の漏れる唇に優しくキスをすると「景吾・・・」と、掠れた小さな寝言が漏れた。


眠りの中で呼ばれた名前に、胸に広がる幸福感。


小さな仕草に、ふいに見せる微笑に、琉威への愛しさを増していく。


そして、たまにしか聞かせてはもらえないが、俺への愛の囁きが・・・その想いを溢れさせる。


これがクリスマスの魔法なんだとすれば、永遠にクリスマスが続けばいいと願ってしまうほど

俺はお前に、琉威に溺れている・・・・。


明日、お前が目覚めた時は、すでにクリスマスは終わってしまっているけれど、

どうか俺の願いを叶えて欲しい・・・・。



―――  俺にお前の愛の囁きを・・・ ―――



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Xmas企画最後のべ様でした。


リク内容と大きく違うんです・・・。

本当にごめんなさい!!

その代わりべ様が琉威ちゃんにべた惚れ設定にしておきました。



ちょっと予定外の事態が続いて、てんぱり気味ではありましたが

無事企画を終える事が出来ました。

企画参加くださった方々、リクくださったユキさん・soraさん・琉威ちゃん。

そして夢を読んでくださった皆様に、心からお礼申し上げます。


本当にありがとうございました。

そしてこれからもよろしくお願いします。



                                               2008.12.25 雪萌