-その手で受け止めて-
校舎裏の小さな花壇。
誰も見向きもしない花壇に咲く小さな花。
誰が植えたのか、何の花かは全然わからないが
小さいながらも力強く咲く花に心癒される。
「はぁ・・・」
いつまでもこんなところで時間を潰している訳にもいかない。
でも、あそこへ向かうのは気が重くなる・・・
私は学校の期待を一身に背負った女子剣道部の主将だった。
女子の部の個人戦でいまだに全国へ行った事のない立海大としては
なんとしても、全国へのキップが欲しかった。
私だってその期待に答えるべく、必死で厳しい練習にも耐えてきた。
しかし・・・・
当日私は熱を出して大会には出られなかった・・・
試合で負けた訳じゃない。
戦い抜いて、力及ばなかった訳ではない。
会場にも行けず、竹刀を握る事もないまま不戦勝。
泣いても泣ききれず、どれほど自分を責めた事か・・・・
「仕方ないよ。」
「また頑張ればいい。」
優しい母や友達は慰めの言葉をくれたが
熱も下がり、学校へ登校した私を待ち受けていたのは残酷な現実。
あれほど、いつも応援してくれていたクラスメイトや
共に汗を流し支えあってきた部活仲間が
蔑んだ冷たい瞳で私を見ていた。
そのうち「あれは怖くなって逃げたんじゃないか?」
「熱が出たなんて嘘じゃないのか?」という噂まで流れ出した・・・。
今まで積み上げてきた功績も何もかもが一瞬で崩れ去った。
夏の引退までに、まだ小さな大会はいくつかあるが
このインハイに全てをかけてきた学校や、剣道部にとって
今回の事は由々しき事態なのだろう・・・・
体調管理もまともにできなかった私に責任がある事は
誰に言われずともわかっている事だ。
でも・・・今まで頑張ってきたこと全てを否定されるなんて・・・
零れそうな涙をグッと絶え、小さな花にそっと触れる。
「その雑草魂私にも分けてよ」
フッと自傷気味な笑いが漏れる。
その時後ろに気配を感じた。
はっ。と振り向くと、オレンジ色のジャージを纏った
無駄にでかい図体が私を見下ろすように立っていた。
「真田?」
いつの間に後ろまで来たのか?
気配すら感じなかった・・・
はは・・・。武道の基本なのに・・・私ダメダメじゃん・・・
ますます気落ちしてしまう・・・。
「こんなところで何をしている?」
何を言われるのかと思って身構えていたが
思った以上に優しい声で語りかけられた。
「別に・・・」
しかし、真田といえばあのテニス部の副部長だったはず。
「常勝立海」を掲げ、負けは許さない。と聞いたことがある。
「なに?アンタも私を罵倒しに来たの?」
何の用でこんなとこに来たのかは知らないが、今はほっておいて欲しい。
突き放す様に冷たく言い放ったのに、真田は顔色一つ変えず私をじっと見つめていた。
「お前は罵倒されるような事をしたのか?」
「は!?アンタ知らないの?」
「何のことだ?」
「私はインハイが怖くて逃げ出したチキンヤローだって事!!」
自分で言ってて悲しくなってくる・・・
わかってて聞いてんのか、本当に知らないのか・・・
そんな事聞いてきる真田にもイライラする!
今まで耐えていた何かがグツグツと湧き上がってきて、
八つ当たりだってわかってるけど、抑えが効かない。
怒りで涙が零れそうだ・・・
でもこんなヤツの前で泣いてたまるか!!
「もう、私なんかにかまってないで、早く部活行けば?
私なんかと話してたらアンタまで同じ様に言われちゃうかもよ?ははっ!」
「オレは見た目や噂で人を判断するほど、落ちぶれた人間ではない!」
思わぬ言葉に真田の顔を凝視してしまった。
「お前がいつも真剣な眼差しで己と戦っていた事はちゃんとわかっている。」
「確かに体調管理は自己責任だ。今回の事はお前の過失であることは否定しない。
しかし、お前が逃げたなどと思うはずが無かろう!」
「誰よりも早く道場で自己練習していた事も、誰よりも熱心に部活へ励んでいた事も、
誰よりも竹刀を振る姿が綺麗なとこも・・・・・いつだって見てきた。
それなのに、お前を否定する訳がない。」
あんたいつ私のこと見てたのよ!と、ツッコミそうだったが、
そんな事よりも、真田の言葉に心が震えた。
すっと欲しかった言葉・・・
慰めて欲しいわけじゃない。
ただ認めて欲しかった・・・・
さっきの悔しくて溢れ出そうだった涙とは違う、
暖かくい何かが込み上げてきて私の視界を揺らす。
「泣いているのか・・・。そんな姿も綺麗だな。」
「は?・・・・・なに・・言ってんのよ!!////」
真田ってこんなキザな事いうキャラだっけ?
綺麗って・・・・綺麗って何よ!!////
泣き顔を見せるのが恥ずかしくて顔を背けると、
真田が1歩1歩と私に近づき目の前で立ち止まり、
まだ顔を上げれない私に、涙もぶっ飛ぶ言葉を落とした。
「お前の涙を拭う役目を俺にくれないか?」
え!?どういうこと!?
思いっきり顔を上げて真田を見上げると
アンタそんな笑顔もできたんですか!?ってくらい優しい笑みで微笑んで
「泣き顔を見られたくないのなら俺の胸で泣けばいい。
そしてその涙を1雫も残すとこなく俺が拭ってやる。」
そっと大きな手が私の頭を覆う。
その温もりが心地いよく、この温もりに包まれたい。と心から思った。
「さ・・なだ・・・・」
「お前が好きだ。」
好きって・・・?
私を!?
「今はまだ、お前の傍いいる事を許してもらえるだけでいい。
だが、いつか・・・お前も俺を愛してくれると嬉しいんだがな。」
ずるいよ!なにそれ!?
弱ってるとこにつけ込むなんて武士道に反するんじゃないの!?
なによ!真田の癖に!!
老け顔で、顧問とか言われて、いつも真面目腐って冗談も通じないようなヤツなのに!!
なのに・・・・なのに!!
顔が熱い・・・心臓が全身で脈打ってるみたいにドキドキして・・・
やめてよ!こんなの恋する乙女みたいじゃない!
ずっと自分の身は自分で守ってきたんだよ?
なのに、そんなこと言われたら甘えてしまう・・・
「真田の・・・バーカ!もう責任取ってよね!!」
私は目の前の大きな胸に飛び込んだ!
気勢いよく飛び込んだのに、よろけることも無くしっかりと私を抱きしめる。
「私、実は甘えたなんだから!」
「かまわない」
「すっごい寂しがりやだよ!」
「お前が寂しい時はいつでも抱きしめてやる。」
「本当は陰口言われて辛かった・・・」
「これからは俺が守ってみせる。」
「泣き虫過ぎてキライになるかもよ?」
「馬鹿を言うな。その涙はすべて俺が拭ってやると言っただろ?」
そう言って真田は私の目尻に溜まった涙をゆっくり指で拭い、そっと目元にキスをくれた。
「もう離してやんないから!」
「離れる気などさらさら無い。」
「・・・・大好き・・」
「あぁ・・・俺も・・・愛してる・・・げん」
壊れそうな鎧を脱ぎ捨て、手に入れたのは最高の騎士・・・ならぬ侍。
初夏の日差しに照らされて、そっと吹き抜ける風に揺れる花の香りに包まれながら・・・
私はあなたに恋に落ちた・・・
あなたの全てが恋しくて・・・
零れる想いを私と共に・・・・
今、その手で受け止めて・・・・
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やっちまったぜ!!おかーさーん!!
真田夢第2弾でございました。
リクでは激甘で。という事でしたがめっちゃシリアス!!
え?ぬるいですか?
いやいや、ギャグ担当の私の中ではめっちゃシリアスです(笑)
そして、なんだか自分で書いてってグチャグチャになってきちゃって
ごまかしてるような所も見られますが、その辺は優しいお心で見逃してやってください。
後半はスラスラできたんですけどね・・・(言い訳)
凹んだ気持ちを盛り上げる為の夢がこんな結果になってしまい
げんさん!!申し訳ありませーーーん!!
しかも夢なのにお名前が最後に1箇所しか出てこない∑(-x-;)
えーっと・・・少しでも萌えチャージできましたでしょうか?
こんなんでもよければ懲りずに書かせていただきます(自粛しろ!)
いや~それにしても夢って文字に起こすと難しいですね・・・
アホアホ高校卒業の私には、文才もそうですがあまりに言葉を知らなさ過ぎる・・・
もっといい言い回しや表現があるはずなのに思い浮かばない・・・
歯がゆい限りです。
さて、ゲームするぞー!!
衣替えは明日でいいや♪
萌え補充だぁぁぁぁぁぁ!!