きんもくせい | The Sence of Wonder

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呼吸器医として、喘息・結核の診療の傍ら、卒煙支援もしています。
二児の母として、妻として、医師として・・・
日常のほんのちょっとした Sense of wonder を発信しています。

道を歩くと、どこからともなく金木犀の匂いが広がっていて、
見上げると可愛い橙色の花がそこかしこに。


女医・ゆきみんと先生の診察室から

http://www.hana300.com/kinmok1.html

北海道で育った私は、
金木犀の匂いをかいだことがなかった。
なので、トイレの芳香剤の匂い、という印象ばかりが強かった・・。

大学生の時初めて本当の金木犀の香りをかいで
こんな素敵な匂いだったんだと驚きました。
トイレの芳香剤のような強烈な匂いではなく
ああ、これがきんもくせいなんだ・・と。


子どもたちもこの香りが大好きで、
くんくん、と鼻を回して、お花はどこ?、と探しっこ。

きんもくせい、と聞くと、
星野富弘さんのイラストに添えてあった詩を思い出します。


  きんもくせい
 
   冬着に着替えた日
   ほのかな やさしさが
   私をつつんだ
   それは樟脳のにおいだった
   運動会を見に来てくれた母の
   装った母が
   きものの袖のにおいだった


内地の人にとって、金木犀の香りは
本格的な秋の訪れを告げる匂いなんですね。、
運動会や、衣替えや、そんな思い出を、
年に一度、人々の引き出しから、掘り起こす
魔法の香りのようなものなのかもしれないなあ。

桜も、チューリップも、つつじも
みんな一斉に咲いて散ってしまう
北海道で育った私にとって、
なんだか、憧れのような存在の花です。

女医・ゆきみんと先生の診察室から


 花が咲くのは 年に一度
 後は静かに 時を待っている
 あくせくするのは やめよう
 一度 でいい ひとつでいい      星野富弘


つぎにひと雨ふったら、
もう散ってしまうかしら。