Bill Charlap さんとの握手
人の手を握る事など、何か、特別な時でないと、滅多にありませんでしたが、こちらでは、握手の文化があり、いろいろな方の手を握るチャンスがあります。
大きな手、暖かい手、華奢な手、、、。
その手から、その方の何かを感じ取る事も少なくありません。
先日、ニューヨークのとあるライブハウスで行われました、Bill Charlap trio を聴きに行きました。
ニューヨーク、トップクラスのピアニストBill さんの音楽の世界に憧れ、私は、何年も前から、ニューヨークへ来ては、彼のライブに連日足を運んでいました。当時私は、1時間前から会場の前に並び、ピアノまで、手を伸ばせば届く程のすぐ前の席を陣取り、釘付けになって聴いていたのを覚えています。そんなある日、演奏が終わった後、帰ろうとしたところ、私の前に、ヒョイと、Billさんが現れ、ラッキーな事に、お話するチャンスがありました。私は、一生懸命に、つたない英語で、いつもCD聴いてます!Rocker が、大好きです!と、ファンにありがちな言葉を並べていました。するとBill さんは、次の日のライブ、また、1番前の席を陣取って聴いている私に気づいて下さり、アンコールに、Rocker を弾いて下さいました。私の方を見てニコッと、笑いながら弾き始めた光景がとても粋だなー、と、余計、彼のファンになります。
それからもう、何年か経っていますが、私が、運良くアメリカに入国できたお陰で、念願だったBill さんのピアノを聴きに行くチャンスに恵まれました。ライブハウスは、とてもこじんまりしていて、会場にいらっしゃるほとんどの方が、Billさんを始め、ベースのピーター ・ワシントンさん、ドラムのケニー ・ワシントンさんのお友達などで、そこは、ミュージシャンの方々で埋め尽くされていました。
東京のコットンクラブでは、警備が固く、なかなか彼等とお話するチャンスに巡り会えません、、。ですが、そこは、ニューヨークに来た特権です。
演奏前から、お三方は、会場に来ていらっしゃるお客様と、楽しそうにお喋りなさっています。皆んなお友達なんだな~。と、お三方を観察しつつ、私は、隣に座っていらっしゃる、ちょっと既に酔っ払っているマダムに、半分絡まれた感じでお話していました。このワインがおススメよ!等と。そんな中、ヒョイと、私の前にBillさんが、、、。
「君の事覚えているよ。来てくれてありがとう。」
と、握手してくれました。
「君、ピアニストなの?今度、君のピアノ聴いてみたいな。」
と、Billさん、私の事を覚えていてくれました。私にとっては、夢のまた、夢のような出来事です。今までお話していたマダムとの雰囲気のギャップに戸惑いつつも、私は、握手で握りしめたBillさんの手を離すまいと、両手で掴み、何か話さなきゃ!と、こんな時の為に通ったイングリッシュクラスの成果を出そうと、必死に頭を働かせます。スクールでは、あんなにコロンビア人のおじちゃんと冗談交じり、大した内容でもない事をスラスラ会話できるのに、いま、憧れのBill さんを目の前にして、全く言葉が出てきません。
私と握手しながら、何か、Bill さんが、話してくれていたけど、覚えていません。
ただ、私が、両手で握りしめたBill さんの手が、あんなに力強いピアノのタッチから想像もつかない程、本当に柔らかく、まるで、スライムのように自由自在に形が変わる手の感触がとても気持ちよく、私は、両手でブニュブニュと、Bill さんの手を握っていたのを覚えています。どうやって、あんな音を出しているのかなー、筋肉どうなってるんだろー、、、。と。まるで変態のようですが、、、。
その後、始まったライブは、美しい音色、音楽の内容も本当に素晴らしいものでした。
ライブの後、会場に訪れた優しい雰囲気の方たちばかりが集まる中、お喋りを楽しんでいらっしゃるお三方。会場が本当に暖かい雰囲気で包まれています。私は、大変な事もあるけど生きていて良かったー。という気持ちになりました。
昔から、ずっと好きで、何度も何度もレコードを聴いていた憧れのピアニスト達が、沢山この街に暮らしているので、チャンスがあれば逢いに行きたいといつも思っています。
この一週間後、私は、長年の憧れのピアニストの一人、カナダ出身のブレイン ロバーツさんのピアノを聴きたく、ホテルキタノへ行きました。
すると、なんと、そこで偶然にも、お客様として来ていらっしゃった、Bill Charlap さんご夫妻にお会いしました。彼等の古くからのお友達の様で。
「また、会ったね。」
と、私に気づいて下さり握手してくださったBill さん。
Billさんの、柔らかく包み込むような手と、優しいお人柄に触れるチャンスに再度恵まれました。
私の心の中にあった、ネガティブな気持ち等が、フッと、どこかへ消えてなくなりました。
もっとピアノ練習しよう!!と、大きなエネルギーを頂きました。
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