行財政運営全般について(令和6年度予算総括質問①) | 上田ゆきこのブログ

行財政運営全般について(令和6年度予算総括質問①)

今後の財政見通しについて

 

Q1:一般会計規模は3年連続で過去最大を更新している。総合戦略の中長期財政見通しでも規模の拡大傾向は今後も続くと見込まれている。

 

今後の規模拡大の内訳が、本当に老年・年少人口増やインフレ等の自然的要因によるものなのか、政治的要因によるものかを自覚的にチェックし、特に政治的要因によるものは、場当たり的なばらまきではないかとの区民の鋭い視線を意識し、公正で望ましい社会に政策的に誘導される合理的な設計となっていることを確認・評価すべき。見解を伺う。

 

A1:総合戦略の財政見通しの規模拡大は、性質別経費で見ると扶助費及び物件費の増がその主な要因。

 

新型コロナウイルス感染症対策事業や各種給付事業など、緊急的に実施した事業にかかる経費を特殊要因として除き、将来推計に影響が出ないよう精査するとともに、これからの区財政の状況を見通せる推計になっていると考えている。

 

引き続き、社会情勢の変化や喫緊の課題の解決に向けた取り組みを進めていくには、庁内横断的にその必要性を十分に検討し、適切な予算編成や執行管理による財政規律の確保にも努めていく。

 

 

枠配分方式の再開について

 

Q2:枠配分方式が再開されたが、各部に任せている枠配分の額は48億円と大きくない。

 

部ごとの創意工夫を促進するため、枠配分予算の割合をさらに増やすよう検討してはどうか。

 

A2:令和6年度予算編成においては、4年ぶりに枠配分方式を再開し、主体性と自立性を発揮しながら、各部が既存事業を見直し、様々な媒体を活用した情報発信の強化や、より支援が必要な方々へのアプローチにつなげた。

 

引き続き、各部に配分される一般財源の規模などの検討を進め、より各部の主体性と自立性の強化に努め、効率的で効果的な質の高い施策の実施に取り組んでいく。

 

 

マイナスシーリング等について

 

Q3:都は基金残高の減少や予算規模の拡大に危機感を持ち、6年度枠配分予算にマイナスシーリングをかけている。

 

基金残高が目安を割り込む見込みの年などは、マイナスシーリングをかけるなどの対策が必要ではと考えるが、そのタイミングや基準を伺う。

 

A3:基金残高の目安となる額を下回ることをもって、直ちにマイナスシーリングを行うことは考えていないが、事業内容の精査を図る有効な手段のひとつ。毎年度予算規模の状況や中長期的な推移などを総合的に勘案しながら、適宜、実施の必要性について判断していく。

 

 

全世代を支える政策立案の工夫について

 

Q4:「全世代を支える」予算を評価。全世代、特に生産年齢の区民を励ますためには、当事者支援と家族や事業者等の支援者支援の両方の視点が必要。

 

全庁的に全世代を支える視点をどのように呼びかけ、それぞれの部で政策立案にあたりどのような工夫を行ったか。

 

A4:令和6年度当初予算の編成にあたり、すべての世代を支援する施策を展開する旨、予算編成方針として各部に示し、さらに枠配分の手法を再開し、各部が主体性と自立性をもって、予算編成に臨めるよう取り組んだ。

 

また、令和2年度から5年度まで、「文の京」総合戦略の戦略点検シートを作成し、各施策の検証を行うことにより、次期総合戦略に向けて、より効率的・効果的な施策となるよう事業の見直しを行っている。

 

今後も、社会情勢の変化に注視し、各世代の個々の状況に応じた支援に努めるとともに、さらなる施策を実施する必要が生じた場合には、時機を逸することなく対応していく。

 

 

公有地確保の方策について

 

Q5:人口増に対応した行政サービスを行う施設を確保するために、公有地拡大が必要。

 

文京区の公有地確保は金額と手続きの遅さなどが課題。

 

東京の地価は現在、平成22年比で2倍近くとなり、通年議会となった現在でも従来の方法で民有地取得をめざすには上昇スピードが速すぎる。

 

6月議会では学校隣接地の取得について「行政需要や地域特性等を考慮するなど価格のあり方を研究する」と答弁されたが、研究の進捗状況はいかがか。

 

公有地確保のためにどのように具体的で実効性ある方策を見つけられたか。

 

A5:公有地確保に当たっては、不動産鑑定を行い、適正価格をもって土地の取得を進めている。

 

隣地については、既存の区有地と一体的な活用が可能となることによる不動産価値の向上など、不動産鑑定士と情報を共有のうえ綿密に協議し、行政需要や地域特性を踏まえた、より適正な価格設定が可能となるよう取り組んでいく。

 

 

不動産価格上昇に対応した公有地拡大について

 

Q6:文京区は土地開発公社を平成19年に解散したが、特別区では未だ19区が維持している。

 

土地開発公社のメリットは不動産価格上昇前に土地取得ができることにあり、特に公有地確保が難しい都市部において有効であると言われる。

 

確かに地方において自治体財政危機の事例があったが、土地取得目的を限定し、連結決算をチェックすれば経営の健全性は担保される。

 

道路を安全に通行したい。もっと公園で遊びたい。区立学校の校庭を狭めずに児童数増や少人数学級に対応した教室数を確保してほしい。という区民の願いをかなえるために、土地開発公社の再設立を検討してはどうか。

 

A6:平成19年に解散した文京区土地開発公社では、近い将来利用する見込みの土地について、区による測量、不動産鑑定及び文京区財産価格審議会等の議を経た後、区からの依頼に基づいて、公社が金融機関からの借り入れを行い、先行取得してきた。

 

これに対し、区が直接用地を取得する際には、議会の議決を経て、取得にかかる費用を予算化した上で取得しているが、急な用地取得に際しても、時宜に応じてその対応が円滑に行える環境となっている。

 

したがって、公社と区の用地取得時期に大きな差異は見られないと認識しておりますので、土地開発公社の再設立を検討する考えはない。

 

 

用地取得による不燃化の促進について

 

Q7:隣接区である豊島区の都市開発公社は令和4年度4か所の土地を取得しており、うち2か所は(文京区と隣接する)東池袋・雑司が谷の不燃化特区事業の促進のために民有地を取得している。

 

よく大塚6丁目の方から区境を渡ると豊島区は不燃化が進んで道が広がっていると言われ、なぜだろうと訝しんでいた。

 

本区で緊急車両もB-ぐるも通れない狭隘な細街路が問題となっている地域と接する豊島区側では6m道路計画と用地取得により計画的な不燃化を進める仕組みがあった。

 

この豊島区の取り組みをどうお考えか伺う。

 

A7:豊島区では、東池袋において都市計画道路事業、市街地再開発事業に加えて6m防災生活道路の整備を進めていると承知している。

 

大塚五・六丁目では、豊島区のような道路拡幅事業や大規模な都市整備事業などにより大きくまちを造り変えるのではなく、個々の建物の不燃化を進めることで、地域全体の不燃領域率を高め、燃えない・燃え広がらないまちづくりを目指している。