令和6年度予算総括質問(全文) | 上田ゆきこのブログ

令和6年度予算総括質問(全文)

政策チームAGORAの令和6年度予算総括質問を行います。

 

一昨日3月4日、日経平均株価は史上最高値を更新しましたが、2月の内閣府発表では日本の国内総生産(GDP)は2四半期連続でマイナス成長となっており、日本株最高値のニュースにも景気実感がないと市井の人々はぼやいています。ほとんどの国民のウェルビーイングは物価上昇に負けない賃上げと経済の好循環をつくるための各分野の改革にかかっていますし、文京区においても区民生活を支える機能的な予算編成が求められます。

 

はじめに、行財政運営全般について伺います。

 

一般会計規模は、前年度比9.7%増の1275億2800万円となり、3年連続で過去最大を更新しています。規模の拡大傾向は今後も続く見込みで、新たな総合戦略の中長期財政見通しでも令和15年には1443億円まで伸びると試算されています。各部に「事業の終期の設定」「部を超えた統合」などによる経費の精査を呼びかけていますが、文京区に限らず一般論として思い切った給付等はトップの政治判断による事業が多いものです。そこで、今後の規模拡大の内訳が、本当に老年・年少人口増やインフレ等の自然的要因によるものなのか、政治的要因によるものかを自覚的にチェックし、特に政治的要因によるものは、場当たり的なばらまきではないかとの区民の鋭い視線を意識し、公正で望ましい社会に政策的に誘導される合理的な設計となっていることを確認・評価すべきです。ご見解を伺います。

 

令和6年度予算編成方針でも、部内の事業の精査を進めることで、効率的・効果的なサービス供給体制を目指していますが、枠配分方式で各部に予算を任せている額は約48億円と大きくはありません。他区では枠配分の割合がさらに大きいところが多いと聞いています。部ごとの創意工夫を促進するため、枠配分予算の割合をさらに増やすよう検討してはどうでしょうか。また、東京都は基金残高の減少や予算規模の拡大に危機感を持ち、次年度枠配分予算にマイナスシーリングをかけています。基金残高が目安を割り込む見込みの年などは、マイナスシーリングをかけるなどの対策が必要ではと考えますが、そのタイミングや基準を伺います。

 

前回選挙まで子どもたちと高齢者への応援歌を掲げてきた区長が、おそらく私の昨年2月の「中年の危機」への支援を求める質問をきっかけとして、「全世代を支える」予算を編成するに至ったことを評価いたします。全世代、特に生産年齢の区民を励ますためには、当事者支援と家族や事業者等の支援者支援の両方の視点が必要ですが、全庁的に全世代を支える視点をどのように呼びかけ、それぞれの部で政策立案にあたりどのような工夫を行ったかお聞かせください。

 

新たな総合戦略によれば、文京区の人口は令和20年をピークとし258,900人まで増加すると推計されています。人口増に対応した行政サービスを行う施設を確保するために、公有地拡大が必要ですが、文京区の公有地確保は金額と手続きの遅さなどが課題となりなかなか進んでいません。東京の地価は現在、平成22年比で2倍近くとなり、通年議会となった現在でも従来の方法で民有地取得をめざすには上昇スピードが速すぎます。6月議会では学校隣接地の取得について「行政需要や地域特性等を考慮するなど価格のあり方を研究する」と答弁されていますが、研究の進捗状況はいかがでしょうか、公有地確保のためにどのように具体的で実効性ある方策を見つけられたか伺います。

 

文京区は土地開発公社を平成19年に解散しましたが、特別区では未だ19区が維持しています。土地開発公社は、道路・公園等の都市基盤整備や公共施設整備のための公共用地及び公有地の先行取得を行うために「公有地の拡大推進に関する法律に基づいて」設立されるもので、メリットは不動産価格上昇前に土地取得ができることにあり、特に公有地確保が難しい都市部において有効であると言われます。ちなみに公社を整理した平成19年の文京区の人口は約18万人でした。確かに地方において不良債権化した土地を抱えた土地開発公社による自治体財政危機の事例がありましたが、土地取得目的を限定し、新公会計制度によって導入されている統一的な基準による財務書類で連結決算をチェックすれば経営の健全性は担保されます。道路を安全に通行したい。もっと公園で遊びたい。区立学校の校庭を狭めずに児童数増や少人数学級に対応した教室数を確保してほしい。という区民の願いをかなえるために、土地開発公社の再設立を検討してはどうでしょうか、お考えをお聞かせください。

 

例えば、お隣の豊島区都市開発公社は令和4年度4か所の土地を取得しており、うち2か所は東池袋・雑司が谷の不燃化特区事業の促進のために民有地を取得しています。よく大塚6丁目の方から区境を渡ると豊島区は不燃化が進んで道が広がっていると言われ、なぜだろうと訝しんでいました。本区で緊急車両もB-ぐるも通れない狭隘な細街路が問題となっている地域と接する豊島区側では6m道路計画と用地取得により計画的な不燃化を進める仕組みがあったのです。この豊島区の取り組みをどうお考えか伺います。

 

 

次に、歳入について伺います。

 

歳入の約3割を占める特別区税のうち、特別区民税は、8億5500万円増の383億円を見込んでおり、これは課税所得水準の堅調な推移、納税義務者数の増という増収要因と、6年度影響額が想定42億8000万円にも上るといわれるふるさと納税、国税である森林環境税課税開始、定額減税による減収要因によるものです。

 

今後の物価高に伴う歳出増を支えるためには、納税者の課税所得水準が伸び続けることが必要で、そのために区としても中小企業の賃上げを支える支援や、この秋の特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス保護新法)の施行を踏まえた労働者保護の知識啓発が必要と考えますが、お考えを伺います。

 

法人住民税の一部国税化、ふるさと納税、地方消費税の算定基準の見直し等の不合理な税制改正の文京区への影響は令和4年度決算で計76億円、5年度見込みが約97億円(令和5年8月1日時点)と増大し続けています。特にふるさと納税対策については、令和6年度は寄付メニューを増やし、一般寄付金として確保目標額を4000万円としていますが、よりいっそう野心的な目標が必要ではないでしょうか、今後の方針を伺います。

 

森林環境譲与税について、区は区民周知、公共施設整備の木質化、わかりやすい使途公表について取り組むとしていますが、区長会においては「特別区における森林環境譲与税の活用~複数区での共同連携の可能性~などの研究」が進められてきました。文京区も近隣区と連携した取り組みを検討すれば、さらなる事業効果が期待できるのではと考えますが、ご見解を伺います。

 

定額減税による区税の減収分11億円は地方特例交付金で全額補填されますが、急に決まった複雑な制度であり、区民にわかりにくい面があります。そして臨時的な給付や減税は自治体負担が増大することも事実です。国・広域自治体・基礎自治体には役割分担があり、それぞれがイコールパートナーであることを改めて再確認するよう国に声を上げてほしいと考えますが、いかがでしょうか。

 

特別区交付金は、普通交付金の需要額算定について、新規13項目、算定改善等28項目、その他1項目が盛り込まれることになりました。文京区の新規算定・算定改善等の対象となる事業はどのようなものがあるか、教えてください。懸案の児童相談所準備・運営経費等の配分割合の変更についてはプロジェクトチームによる検討が始まるとのことで、その成果に期待しています。今後の目標スケジュールを教えてください。
 

また、特別交付金算定の“ブラックボックス”についても他区と手を携えながら解明を図っていただきたいと考えますが、令和6年度の戦略を伺います。

 

都の新規事業は近年サプライズが続いており、都民やマスコミだけではなく、カウンターパートである区担当者ですら予算発表で事業開始を知る異常事態が増えています。せっかくプラチナキャリアセンターやウォーキングポイントなど、私たち会派の要望が予算化されたにもかかわらず、都の予算編成過程の透明性が濁って見えるのは残念です。都の新規事業等の中で区の当初予算に間に合わなかったが年度途中で文京区で実施できそうな事業はどのようなものがあるか、また都の新規予算の情報を早く得るためのこれまでの取組みと成果を伺います。

 

使用料・手数料・利用料については、税制改正や新規事業等の開始など設定当初とは状況が変化しており、受益者負担の見直しが必要ではとの声が聞かれますが、お考えを伺います。また、いくつかキャッシュレス決済の導入が盛り込まれていますが、その今後の方向性と決済手数料に対する考え方をお聞きします。

 

特別区債は6年度45億円と積極的な起債を行う予定で、6年度末の特別区債残高は144億円ほどになる見込みです。今後は起債依存度、公債費負担比率、実質公債費負担比率などの指標をチェックしながら投資的経費と連動し、令和15年度区債残高305億円まで計画的に起債していくものと聞いています。将来負担の公平性の観点から平準化が起債の目的であることは理解していますが、中長期的には金利の動向を注視していく必要があると考えます。特別区債と金利に対する考え方を明らかにしてください。また、借り入れは公的資金を優先する方針が示されていますが、区民に利益を還元しながら資金を調達し、区民に愛される施設建設をめざすため、これまでも何度か行われてきた住民参加型市場公募地方債の発行を検討されてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。 

 

基金については、歳入不足の補填のため、財政調整基金から86億1400万円、特定目的基金から90億400万円の繰り入れが見込まれており、それにより6年度末の財調基金残高は192億円、特目基金残高は356億円を見込んでいます。今後、財調基金は標準財政規模の30%を維持したいとしていますが、基金取り崩し額を抑えるためにどのような対策が必要か、その計画をどのように実行していくつもりか、お聞かせください。また、公共施設等総合管理計画において10年間で約1500億円の建設資金を見込んでいることから、特定目的基金の活用にも計画が必要と考えます。方針をお示しください。さらに、物価高の傾向は今後も続くと見込まれ、建設資金の見通しが上振れする恐れがあります。インフレーションリスクをどう考え、対応していく方針か伺います。

 

 

3つめに、歳出について伺います。

 

目的別内訳ごとにお聞きしてまいります。

 

総務費は、人件費や物件費の増等により、46.1%、65億も伸びています。また、職員数の増加に伴って、執務スペースが狭くなっていることが課題となっています。よりいっそうDXをすすめるとともに、フリーアドレスなど、執務スペースを効率的に活用する方法を検討するべきと考えます。また、特にシビックセンター内については聖域なく効率的で公正なスペース活用を進めていくべきと考えますが、方針を伺います。また、物件費に含まれて、委託等で働かれている定数外の人員は何人か、そのうち、シビックセンターで働かれている方の人数は何人で、十分な執務スペースが確保されているか、お聞かせください。

 

防災については、令和6年度は正しく恐れ備えるための在宅避難の知識の啓発などを進めていかれることを評価しますが、同じく不安を感じる区民の方が正しく備えられるようペットの同行避難についての具体的な情報提供を始めてほしいと思います。ペットの同行避難については地域防災計画の修正に合わせ、避難所運営ガイドラインの見直しを進めていくとされていますが、進捗状況を伺います。

 

また、近年、生成AIにより作成されたディープフェイクなどの高度で精巧なフェイク画像等が登場しています。区は既にデマ・フェイク情報等をチェックするシステムを導入していますが、能登半島地震でも課題とされたフェイク情報対策を強化していく必要があると考えます。いかがでしょうか。

 

区民費については、新型コロナ流行によるイベントの縮小等により、弱体化した地域力を向上させるための取り組みが求められています。新年度は町会・自治会におけるコミュニティ活性化支援補助事業をレベルアップし、インセンティブをつけた町会支援に乗り出しますが、一部の町会では組織力が想像以上に弱まっており、補助金を活用する余力すらないところも多いことを実感します。町連ごとに補助事業の申請状況をチェックし、補助金を使う力のない町会を洗い出して、バックアップする体制が必要と考えますが、コミュニティ支援強化のための地域活動センターの役割をどのように考え、地域支援につなげていく予定か、伺います。

 

産業経済費については、区内店舗に対し環境等に配慮したサステナブルな取り組みと消費者還元を組み合わせ支援していく予定ですが、他にもハッピーベジタブルや交流都市食材費補助等についても、一元的に飲食店向けのプッシュ型情報発信を行うため、文京ソコヂカラのプラットフォームを組織横断的に活用していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

また、スタートアップ創出に向けた支援が始まります。特に東大周辺の本郷地域においては、新たな都市マスタープラン素案においても学術・医療・スタートアップ・先端事業の集積ゾーンと位置付けられており、東京大学本郷地区キャンパスエリア活性化に向けた基本構想も手交されていることから、同地域におけるインキュベーションの拠点づくり、旧元町小跡地に整備される(仮称)元町ウェルネスパークに入居予定の順天堂大オープンイノベーションプログラム“GAUDI”や東京大学共創プラットフォーム開発(東大IPC)などの大学発インキュベーションプログラムとの連携が期待されます。今後の方向性を伺います。

 

民生費は、約590億円と歳出の約半分近くを占めており、前年度比11.9%、63億円増となっています。令和6年度からは新たな地域福祉保健計画とともに、多様化複雑化する支援ニーズに応えるため、7年度事業開始の地域共生社会をめざす重層的支援体制整備への移行準備がスタートします。コロナ禍で弱まっていた多様な主体の連携を再構築し、地域情報や機微な個人情報等を関係するステークホルダー間で安全に共有できるしくみづくりを6年度どのように整えていかれるご予定か伺います。

 

高齢者福祉については、団塊世代全員が後期高齢者となる2025年までに、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる地域包括ケアシステムの構築がめざされてきました。特に東京においては、高齢化がゆっくりと進行することでピークが遅く長く続くこと、人口集積により高齢化率以上に高齢者の数(老年人口)がサービス需要のひっ迫を招くことが懸念されてきたのはご存じのとおりです。

 

私は新人議員の頃、世代間格差の問題に対し、「私は若者や女性の利益代表であるべきか」と父に相談したことがあります。そのとき父は「トレードオフという言葉は好きじゃない、なるべくウィンウィンになるようにしたいね」と言ってくれました。そしてそれは私の議員としてのフィロソフィになりました。また、持続可能な高齢者福祉は若者政策であるとも思っています。そこで、ウィンウィンの課題解決のための一つの考え方として、ラテラルシンキングを提案します。ラテラルシンキングとは、思考の制約となる既成概念や固定観念を取り払い、水平方向に発想を広げる思考法(厚生労働省)ですが、例えば、世代間の問題のように、一見対立して見える課題に対しては、先に方法から考えず、目標共有から始め、第三の選択肢がないかも含め、ラテラルシンキングで合意形成と解決を図ることも必要です。今後の区民との合意形成についてお考えを伺います。

 

障がい者福祉については、向丘に新たな障がい者福祉施設の設置に向けた検討が進んでいます。槐の会の老朽化や障がい者グループホームの整備は長年の課題でしたし、この機会にできるかぎりの福祉的な機能を盛り込んだ施設整備を要望します。一方で、新たな障がい者児計画の障がい者グループホーム整備計画は見込みニーズ量に基づく計画とはなっていません。令和9年度スタートの次期障がい者児計画に向け、障がい者グループホームのニーズ量調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

児童福祉費は、特に、新年度育成室定員360人分10室を整備し、地域偏在を調整するタクシー送迎、児童館のランドセル来館、放課後全児童向け事業を全校18時半まで延長するなどの育成室加速化プランを評価しますが、これだけの努力をもってしても育成室待機児童が解消されないのではと心配されています。従来の国基準の学童ニーズ量推計では実際との乖離が大きく、令和7年の子育て支援計画改定にあたっては区独自に保育園年長児の数からニーズ量を算出していくとの議論もありますが、この推計法に基づいて育成室待機児童をゼロにするためには、令和6年度は定員何人の整備が必要か伺います。

 

衛生費は39.0%減の62億円と見込まれています。主な要因は新型コロナウイルス感染症の5類移行によるものですが、今後の新興再興感染症への備えや自殺対策の推進、様々な健康づくりなどのため引き続き保健所機能の強化が求められています。新年度は新たに保健師が増員される予定で、福祉部、保健衛生部、子ども家庭部をローテーションして育成すると聞いていますが、医療専門職の知識が必要な部署が増えています。また、専門職として多くの現場を経験し、赤ちゃんから高齢者まで全世代の健康管理を担う政策立案能力を高め、管理職をめざすキャリアパスを提示することが求められています。今後はさらに保健師がローテーションする部署を増やす人事体制にしてはと考えますが、いかがでしょうか。

 

都市整備について、新たな都市マスタープラン素案では、飯田橋から後楽園、水道橋にかけ、都市交流ゾーンとしてエリアの連続性と賑わいと交流の創出がめざされていますが、そのアイディアの核となるのは都市計画公園である東京ドームシティです。今後のまちづくりの方針に大きくかかわるため、東京ドームの機能更新等の情報については、なるべく早くご提供いただけるよう三井不動産に働きかけていただきと考えます。また、IMMシアターなど、新たな施設と連携した区の活性化事業の予定はないのか、伺います。

 

資源環境部は、令和7年度実施予定のプラスチック分別回収の区民周知のため約100回の説明会開催を目標に掲げ、生ごみ処理機の購入費助成を昨年度比5倍、新エネルギー・省エネルギー設備設置費助成を2倍とするなど、気合の入った事業を打ち出していますが、地球温暖化対策地域推進計画のCO2削減目標は23区でほぼ最下位の状況が続いています。COP28では2035年までに2019年比60%のCO2削減の必要性が再確認され、国も令和7年に向け検討するとしていることから、区の地球温暖化対策地域推進計画CO2削減目標の見直しも、地球沸騰化の時代に求められるより高い目標に再検討が必要になります。また、気候正義の観点から将来世代の若者が意思決定に参加することは重要であり、「若者の活用場所や、様々な意見を受け止める手法について研究し、気候変動対策に反映させる」との区長答弁を裏付ける、見直しのスケジュール、新たな削減目標、気候変動対策への若者参画の研究計画をお示しくださるよう求めます。

 

教育費は、7.9%、約16億円の伸びを見込み、各種指導員の人的配置の充実、学校施設の改築や快適性向上等の改修、学校給食の無償化の継続などが行われます。学校改築については学校施設整備基金41億円の繰り入れ、給食については東京都公立学校給食費負担軽減事業などの特定財源が充てられる予定です。ところで、令和8年度に予定されている教育用タブレット端末の一斉更新については、新たに、公立学校情報機器リース事業により、1台55,000円の国補助が出ますが、この補助金の活用等を含めた計画的な財源確保が求められます。また、他自治体と更新時期が重なるので、端末確保のために事業者との早めの調整が必要です。方針を伺います。

 

憲法26条2項の「義務教育はこれを無償とする」理念の実現のため、区立学校における教材費の無償化を求める声が我が会派をはじめ複数の会派から上がっています。私は子育て家庭への経済的支援はもちろん必要だと考えていますが、その際には効果の確実さと公正さの検証が求められるべきと思います。例えば、給食食材費相当の現金は必ずしも確実に子どもの栄養満点の食費に回るとは限りませんが、区が設置者である区立学校が無償で提供する教材は所得制限なく確実に子どもの教育として施されます。今後は現金給付より区立学校や教育センター等による教育の無償提供による支援を優先すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、経済的支援の効果や公正さについての検証はいかに行われるべきとお考えか伺います。

 

 

最後に、特別会計について伺います。

 

国民健康保険特別会計は、被保険者の保険料負担が増え続けており、データヘルス計画に基づく指導・検診等を実施し、糖尿病性腎症の重症化予防やジェネリック医薬品の利用促進等の給付の適正化に努めてきました。しかし、ジェネリックについては、深刻な医薬品不足が続いており、使用割合80%という国の目標達成どころではない状況です。被保険者の医療費負担の増大に関する相談や薬の変更による飲み忘れ防止の啓発などについて、区内薬局及び薬剤師会等とどのような情報交換を行っていますでしょうか。また、今後、保険者として東京都と連携して行っていくべき支援などあれば、教えてください。

 

介護保険特別会計は、令和6年の介護保険制度改正の議論が年明けまで続いたことで、区の当初予算には間に合わず、この予算書には概算で示されているとお聞きしています。文京区の当初予算への令和6年介護保険制度改正の影響、そして被保険者及び事業者への影響について詳細をお聞かせください。

 

白山の郷の事業者撤退、小日向二丁目国有地への特養建設と区の施設介護体制整備が注目されていますが、令和6年度は施設介護サービス費が前年度に比べて3300万円ほど減となっています。その内訳と要因をお聞かせください。また、そのうち特に旧区立特別養護老人ホームがおかれている経営状況について、分析と今後の対応方針を伺います。

 

18世紀ドイツの哲学者イマヌエル・カントの臨終の言葉は“Es ist gut.(これでよい※諸説ある)”だったそうです。私はこのエピソードが好きで、高齢期のウェルビーイングやエンディングについて考えるとき、誰にとっても“これでよい”と最期に納得できるものでありますようにと願っています。令和6年度のアドバンスケアプランニング(ACP・人生会議)、ユアストーリーなどの終活・終末期支援、24時間在宅ケアビジョンで示された看取りを意識した在宅サービス基盤整備の展望をお聞かせください。

 

地域福祉保健計画への区民意見では、介護保険料の負担軽減を求める声が複数ありました。私たち会派は、第9期の高齢者・介護保険事業計画における介護保険料について、介護保険準備基金の投入による軽減を要望してまいりましたが、昨今の介護需要の増大を鑑みれば、3年間で約10億円を繰り入れる予定で、87円アップの6,107円となったことは致し方ない気もします。区民へのご理解を求めていくため、検討の経緯と積算根拠をお示しください。

 

この総括質疑が、誰一人取り残さない文京区民のウェルビーイング実現のため、本委員会の議論を深めるものとなるよう、ご答弁をお願いします。