平成19年第三回定例会・区長答弁 | 上田ゆきこのブログ

平成19年第三回定例会・区長答弁

上田議員の御質問にお答えいたします。

 

最初に、財政運営に関する幾つかの御質問にお答えいたします。

 

まず、財政見通しについてのお尋ねですが、この間の三位一体改革に伴い、国庫補助負担金が削減された上、19年度からは特別区民税もフラット化により減収となります。また、配分割合がアップした都区財政調整交付金は、景気の影響を受けやすいことに加え、国における税制改革の本格的な議論がこの秋以降に予定されております。こうしたことから、今後の区財政を取り巻く環境は決して楽観できる状況にはないと認識しております。

 

次に、住民税フラット化による影響に関するお尋ねですが、昨年度に約31億円の減収と見込みましたが、実際の影響額の算定については、人口増や所得増、恒久的減税の廃止等のさまざまな要因が複雑に絡むため、現在、鋭意検証を進めているところです。

 

なお、都区財政調整協議の結果、三位一体改革の税源移譲に伴う特別区民税の影響については、都区財政調整の配分率のアップなどで対応することとされ、この影響額については、19年度の財調算定において算入措置される予定であります。

 

次に、ふるさと納税が実施された場合の文京区が被る影響についてのお尋ねですが、現在、総務省内に設置された「ふるさと納税研究会」において検討しているところであり、影響額を見込むことはできません。

 

ふるさと納税は、東京が富裕であるという一方的な見方に基づき、国の責任で解決すべき地方財源の確保の問題を、地方自治体同士の税収格差の問題にすりかえるものであります。私は、税源偏在は地方交付税で調整されることや、特別区は膨大な行政需要を抱えていることから、この制度には反対であります。

 

次に、職員数の適正化に関する御質問にお答えいたします。

 

まず、職員数の削減の傍ら、必要な適材を配するべきとのお尋ねですが、職員数の見直しにつきましては、新行財政改革推進計画に基づいて数値目標を掲げ、平成十六年度から十九年度の四年間に着実に削減してまいりましたが、その一方で、子育て支援や危機管理などの新たな行政需要には的確に対応して参りました。今後とも、必要な職員配置には、配慮していく考えでございます。

 

次に、職員数における国の「地方公共団体定員管理研究会」の算式などの基準に関するお尋ねですが、国の地方公共団体定員管理研究会が作成した定員モデルは、人口一万人当たりの職員数の平均値を基本として算出しているため、人口の差にかなりの幅がある各特別区に一律に当てはめると、比較的人口規模の小さい区の職員数の超過率が多く出るなどの課題があります。したがって、このモデルを直ちに採用することはできませんが、今後、職員数の基準の考え方については研究してまいりたいと考えております。

 

次に、職員数は何人程度が適正かとのお尋ねですが、適正な職員数は公共サービスの内容や手法により定まるものであり、一概に言えるものではありません。新たな時代のニーズに対応して、不断の行政改革を進めるとともに、必要な行政需要に対しては、適切に職員を配置することにより職員規模の適正化に努めるとともに、その取り組み状況、実績について広報等で公表してまいります。

 

次に、民間企業等への派遣研修についてのお尋ねですが、初めに、国のような人事交流制度は自治体にはございませんが、民間企業への派遣研修は可能となっており、東京都や大阪府などで積極的に行われております。

本区におきましては、短期ではございますが、係長級職員を対象にデパートやホテルへの派遣研修を実施してまいりました。また、地方公務員等ライフプラン協会など、区と関連性の高い団体に2年程度の派遣研修を実施しております。今後、御提案の民間企業やNPO法人等への派遣研修についても検討してまいりたいと考えております。

 

なお、民間企業等から本区への派遣については、平成16年4月から、文京区社会福祉協議会の固有職員を行政実務研修員として受け入れ、一定の成果を上げております。

 

次に、再雇用職員の研修についてのお尋ねですが、現在、区で実施しているOA研修、接遇研修など、職層研修を除く各種研修への再任用・再雇用職員を参加させております。今後とも、これらの職員の研修受講の促進や、その業務に適応する研修内容を検討するなど、研修の充実に努めてまいります。

 

次に、委託や指定管理者制度の適正化に関するお尋ねですが、委託業務については、契約内容に基づき履行確認を行うとともに、具体的な定めのない事項についても民間事業者と協議し、業務の安全性の確保や法令遵守等に関し指導、監督しているところです。

 

特に、平成十八年度から導入した指定管理者制度については、区条例に基づく事業報告書を提出させるとともに、評価検討会を設置し、施設の管理運営が適切か検証し、改善すべき事項を指導したところです。

 

また、次年度以降の評価については、チェック機能をさらに高めていくため、検討会に外部評価制度を加えるなどの方策を検討し、次国の選定につなげてまいりたいと考えております。

 

さらに、委託契約の業者選定に際しましても、プロポーザル方式等をさらに精度の高いものとするなど、より公正な業者選定に努めてまいりたいと考えております。

 

次(こ、都区のあり方委員会に関するお尋ねですが、御案内のように、都区のあり方については、本年1月31日に設置された検討委員会において検討を進め、20年度までに基本的方向を取りまとめることとしております。

 

私は、4期16年にわたり区議会議員として活動し、在任中においては17年度に特別区議会議長会会長の役職にもついており、この間の事情は承知しているつもりでございます。この経験を生かし、特別区長会の大都市制度部会などの場において、将来に向けた特別区の基本的なあり方を見据えて、主張すべきところは積極的に主張してまいりたいと考えております。

 

次に、資源循環型社会に関する御質問にお答えします。

 

まず、他自治体と連携してリサイクル可能なものの量をふやしていく努力が必要ではないかとのお尋ねですが、リサイクルの取り組みは各区が状況に応じ、それぞれの創意工夫により実施しているところであります。したがいまして、他自治体との連携したリサイクルの取り組みについては、資源化される品目、実施規模、資源化施設の整備など、さまざまな解決すべき課題があり、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。

 

次に、資源循環型社会の必要性に関する啓発についてのお尋ねですが、御指摘のとおり、リサイクルの推進は区民一人一人の協力と環境に対する理解があってこそ実現できるものと考えております。区としましては、モノ・プラン文京において、排出者意識啓発を大きな柱としております。具体的には、広報や啓発媒体の作成や学校への出前講座などの児童・生徒を対象とした啓発事業並びにイベント等の開催を通じて、今後とも排出マナーと資源回収品目や分別の徹底によるリサイクル率の向上など、NPO等と連携し、計画的に啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。

 

次に、十月からのサーマルリサイクルモデル地区についての準備の状況及び本格実施への切りかえに関するお尋ねですが、現在まで区民説明会の開催、区報やホームページでの周知、リーフレットの戸別配布などを実施してまいりました。今後、集積所看板への表示やポスター掲示なども行ってまいります。

 

なお、区内全域への切りかえについては、モデル地区における実施状況を踏まえ、区民の方が混乱なく実施できるよう周知してまいります。

 

次に、子育て支援策についての幾つかの御質問にお答えします。

 

まず、子育て支援券などの経済的支援についてのお尋ねですが、子育て支援券の取扱店ともなつているスーパーなど大型店についても、区商連の会員となっており、これら区商連加入取扱店において全体の八割近くの子育て支援券が使用されているところでございます。また、「子育て支援券の利用をきっかけに、区内の商店で買い物をする機会がふえた」との区民の声も寄せられております。このような状況の中で、95%を超える換金率となったことからも、事業の目的の一つである区内産業の活性化に一定の効果を上げたものと考えております。

 

一方、子育て支援券交付事業は、子育て家庭への経済的支援を大きな目的として導入したものですが、乳幼児医療費助成制度の拡大など、他の経済的支援策も拡充しているところであり、今後の子育て支援券交付事業の見直しに当たっては、これらの施策を総合的に勘案し、優先順位も踏まえ、方向性を検討してまいります。

 

なお、経済的負担軽減についてのお尋ねですが、子育て支援施策はこれまで同様、一つの側面に偏らず、育児と仕事の両立支援、子育ての心理的不安の解消、経済的負担のバックアップの二つの側面から、バランスをとりながら総合的に推進してまいります。

 

次に、父親の子育て参加に関するお尋ねですが、今年度も夏休み中に小学生とその父親を対象にした料理教室を実施いたしました。また、啓発紙「パートナー」において、男性の育児休業や家事参加などについて特集を組むなど、意識啓発を行っております。

 

なお、仕事と家庭生活を推進するために、区報において男性の子育て参加を促進する啓発記事を掲載する予定です。今後も、これらの施策を着実に推進してまいります。

 

次に、父親同士のネットワークにかかわる具体的な施策についてのお尋ねですが、啓発事業参加者が地域活動に関心を示される場合には、既に活動している団体やサークルなどを紹介しております。また、地域活動等ヘの参加は個人の意思が尊重されるべきものと考えますので、父親同士のネットワーク化については、啓発事業参加者からの要望があれば、側面からら支援してまいりたいと考えております。

 

次に、子育て支援に取り組む企業が、入札の際、優先される仕組みづくりについてのお尋ねですが、現在、中小企業向けの子育て支援事業として、子育て奨励資金の融資あっせんと、仕事と子育てを両立する従業員を支援する事業主に対する補助事業を行っております。御提案の、入札の際、子育て支援に取り組む企業を評価する仕組みにつきましては、評価の公平性の確保などに課題があることから、今後の研究課題と考えております。

 

次に、子育て支援について総合的に取り組む必要があるとの御指摘ですが、本区では、これまでも安心してこどもを産み育てることのできる環境の整備を目指し、バランスのとれた子育て支援施策を実施してまいりました。今後も子育て支援計画に基づき、総合的に支援施策の推進を図ってまいります。

 

次に、くすのきの郷に関する幾つかの御質問にお答えします。

 

まず、くすのきの郷の事件についての一般区民への説明が十分だったのかとのお尋ねですが、区としては、現に利用されている方やその御家族等への説明が優先されるとの考えから、施設職員やボランティアの方をも含め、11回にわたり説明会を開催し、約八百人の参加を得ました。一般区民へは、区報やホームページでお知らせをしており、不十分であるとの認識は持っておりません。

 

次に、事件が発生した要因の検証に関するお尋ねですが、これまで区は、施設長や同胞互助会に対し事情聴取を重ね、数度にわたり施設を調査する一方、関係した区職員に対しても事情聴取するなど、事件発生の経緯を詳細に調査いたしました。その結果、この問題は事業者に法令遵守の意識が希薄だったことに主な原因があるとともに、区側の原因としては、現在から見れば、職員が法令違反を見抜けなかったことや、書類の精査が十分でなかったことも看過できないと思っております。

 

現場指導を行う職員について、現場体験を持った職員が行う必要があるとのお尋ねですが、介護保険事業者に対する実地指導は、今年度より新設した所管係を中心に、各係から現場での勤務を実際に経験している職員や介護専門職を初め、介護保険サービス等の内容を熟知している職員によるチームで実施しております。また、東京都の指導監査部門や他区とも連携し、合同の実地指導を行うことにより、さまざまな手法による実地指導に取り組んでまいります。

 

次に、くすのきの郷でのサービスの継続性をどのように図っていくのかとのお尋ねですが、これまで応募法人に対して公募要項のほか、事業者説明会や施設見学会を通じて、現行のサービスについての周知を図りました。その上で、応募法人に対して、可能な限り職員の継続雇用を含めた形での現行サービスの維持を要請しているところであります。また、新法人選定後及び新法人による運営開始後においても、区は職員や法人との間で十分は協議を行い、サービスの継続を図るよう努めてまいります。

 

また、選定基準についてのお尋ねですが、現行のサービス水準を目指して公募要項に、二十九の審査項目を設けましたが、新法人がどのように提案を行い運営に反映していくかが、サービス水準維持のためのポイントになると考えております。

 

次に、介護現場で働く職員及び施設の確保についてのお尋ねですが、少子高齢化が進む中で、多様化する介護サービスヘのニーズにこたえるためには、介護サービスが適切に提供できるよう、質の高い人材を安定的に確保するとともに、介護サービス基盤を整備することが重要であります。このため、厚生労働省は、社会福祉事業に従事する人材を確保するための基本的な指針を十四年ぶりに改定したことから、今後は示された指針を踏まえて検討していきたいと考えております。

 

また、施設の確保については、第3期高齢者・介護保険事業計画に基づき、介護サービスの基盤を整備してまいります。

 

次に、介護報酬に関して早急に地域差を勘案するよう国に改善を求めていくべきとのお尋ねですが、平成19年5月に東京都は、都内保険者等の意見を取りまとめ、国に対し、「介護保険施設に係る介護報酬の地域差等に関する提言」を行ったところです。

 

区としては、今後も国の介護報酬改定に向けて、東京都を 人件費比率の引き上げや、大都市における賃金、物価水準等の地域差を考慮した改定を要望してまいります。

 

次に、グループホームや小規模多機能などの整備等に関するお尋ねですが、第二期高齢者・介護保険事業計画における認知症対応型グループホームや小規模多機能型居宅介護の整備については、地域密着型サービスという新しいサービス類型ということもあり、ニーズの把握が困難だったため、日常生活圏域ごとの利用を可能とした整備計画としております。

 

事業者への支援については、「地域介護・福祉空間整備等交付金」などの国の交付金や、「認知症高齢者グループホーム緊急整備支援事業補助」などの都の補助金を活用した財政的な支援を行うとともに、事業者指定までの手続については、開設相談の時点から円滑な運営ができるよう適切な指導を行っております。

 

次に介護報酬の引き上げへの体制づくりに関するお尋ねですが、地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する独自報酬基準については、現在検討を進めているところでございます。導入に当たりましては、地域包括ケア推進委員会の意見を聞くこととされているため、今後、委員会に諮った上、判断してまいりたいと考えております。