平成19年第三回定例会一般質問(本文) | 上田ゆきこのブログ

平成19年第三回定例会一般質問(本文)

 新風会の上田由紀子です。平成19年度 第3回文京区議会定例会に当たりまして、区長並びに教育委員会に質問させていだきます。

 

 今年の夏は、全国で記録的な暑さであったことは、皆様のご記憶に新しいことと思います。このような天候を体験するにしたがい、地球温暖化の懸念も人々に広く感じられたことでしょう。

 

 では、質問に移らせていただきます。新人議員なので、慣れない点もございますが、どうか誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。

 

 はじめに、これからの文京区の財政運営についてお伺いしたいと思います。

 

 今回の決算によると、団塊世代の退職により、職員数の削減は進んでいるものの、退職金などの増加など、義務的経費の削減はまだまだ進んでおらず、さらに一層の財政引き締め必要であると考えます。

 

 そこで、区長に何点かお伺いします。

 

 今後の財政見通しについてどのようなご見解がお有りになりますか。区財政は、主に住民税に依拠しており、その増減は、景気動向に左右されると言わざるを得ません。アメリカの個人向け住宅ローンの破綻から来る信用不安は世界市場に暗い影を落としました。世界的なレベルでの景気の後退の懸念もある中で、日本もその影響を免れることはなく、今までのように住民税が増加していくかどうかも危惧されるところであります。

 

 さらには、三位一体の改革といった国レベルでの方針が、文京区の収入にどのような影響を及ぼすのかについても、長期的な視野に立った現状認識が必要とされております。

 

 例えば、最近での大きな改革であります住民税のフラット化で、どの程度、住民税額に影響があつたのでしょうか。想定とはどう違つたか、また、対策はどう役に立ったのかを教えてください。地方税制における一般的な原則かららいって、その実現は不可能であると言われていますが、ふるさと納税などの施策が政府によって打ち出されています。都市型の政治を目指す石原都知事は、本来東京都が得るべき税収が一割も地方に流出することを懸念し、ふるさと納税に反対しています。仮にこの施策が実施されたとしたら、文京区が被る影響並びにこれに対する区長の御見解をお聞かせください。

 

 次に、職員数を削減することについてお伺いいたします。

 

 職員一人当たり区民百人という目安で、職員数の削減計画は五年で三百人とされていました。事務事業を効率的に行い、職員数を削減することは時代の要請でありますが、一方で、行政は職員が担っており、優秀な職員の皆さんに支えられていることも事実です。また、区の人口も増加傾向にあり、単に削減するだけでは区民一人当たりのサービスが低下する恐れがあります。したがって、削減に努める傍ら、必要なところに適材を配して的確な区民サービスを提供することが区民満足度を高めると思われますが、区長がどうお考えかお伺い致します。

職員数については、さまざまな観点から定員の適正化を図る必要があります。その観点の一つに国の地方公共団体定員管理研究会が策定した算式があります。自治体によっては、この算式に重点を置いて考慮しながら適正配置しているところもあります。住民基本台帳人口や世帯数、行政面積、道路延長など、行政の需要と密接に関連すると考えられている指標と職員数の関係を分析し、これに基づいて各自治体が職員数をみずから算出するように作成された算式です。

 

地域によって環境が異なりますから、文京区に当てはめるのが妥当かと言えば、完全なものではないかもしれません。区民に対する説得力を確保しながら適正化を進めていくには、そういう具体的な指標を活用し、情報開示をしていくことが求められていくと思います。やみくもに算式を当てはめるのでは乱暴だと思いますが、ある基準をもとにするのであればその効果を、算式を利用しないのであれば、その利用を検証し、明らかにしていく必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。

 

また、今後の適正職員数について、何名程度が適正で、その人員に達するまでの、または維持するための手順をどのように進めていくのか、また、適正職員数の基準の根拠を区民に明確にすることも大切であると考えますが、この点も明らかにしていただきたいと思います。

 

また、一方で、よりよい人材を集める工夫と現在のレベルを上げる研修を考えていくべきと考えます。人材育成の一環として、民間企業への派遣研修を実施する自治体が増加しています。研修目的は、言うまでもなく、民間企業の経営手法、発想方法、業務に関する能率的、機動的な対応を学び、自治体の行政運営の効率化を進めるためです。

 

国においては、「国と民間企業との間の人事交流に関する法律」が五年前に施行され、この法律に基づき、国から民間企業への交流派遣と民間企業から国への交流採用として人事交流が実施されております。ついては、地方自治体においても同様に民間との人事交流を行うことを進めていくべきではないでしようか。

 

例えば、福祉現場を理解するために、特別養護老人ホームやNPO団体と職員を派遣し合うことも考えられるでしようし、ほかにも会計事務所などで手法を学ぶ仕組みを整えることなどができればメリットが大きいと思います。他の自治体でそのような研修制度を設けている自治体があるのか、今後、御検討されるおつもりがあるかお考えをお聞かせください。

 

人員削減をするのであればなおさら、今後ふえると予想される再雇用職員も同様に研修制度などを充実させて、現役時代のモチベーションをそのまま維持して働いてもらうべく制度を整えるべきであると考えますが、いかがお考えでしょうか。

 

特別養護老人ホームくすのきの郷の不正請求事件により、第2回定例会で文京区が福祉事業の指定を取り消されることになったことが問題になりました。公共の事業を民間に委託する場合、万一、保育園でのけがや給食での食中毒など、命にかかわる問題が起こった場合取り返しがつきません。そのような事態がないように対策が必要と考えます。それぞれの現場で安全対策や法令遵守についてどのように取り組んでいるのかお伺い致します。

 

自治基本条例による協働・協治を進めていく上で、文京区でも積極的に民間委託を進めていくことになっているはずです。今後も新公共経営を目指す上で、指定管理者制度などの民間委託を進めていくことは不可欠と思われます。そのほかにも、オアシス事業や学童保育などの運営団体の選定、図書館サービスの運営など、多くの分野で民間との協働が推進される中、委託業者の運営実態を早急に行政がチェックする機能が必要だと思いますので、今後どのようにしていくおつもりなのか教えてください。

 

今後、くすのきの郷のような問題を防ぐためにも、公共の仕事を任せる民間会社の選定方法も見直す必要があるかと思います。まず、今後の民間委託のあり方に関していかにしていくおつもりなのか、また、選ぶにあたって、第三者機関などによる外部評価を聞くシステムをいかにつくつていくおつもりなのか、お伺いします。

 

さらに、文京区を初め、二十三区にとってはより重要な課題として、都区間の財源移譲問題などがあります。地方分権が進展していく中、従来のように横並びでなく、それぞれの自治体がみずから特徴を持って互いに競い合い、行政運営をしていかなければならない時代がやって来たと思われます。本年から特別区においても都区のあり方検討委員会が設けられるとのことですが、区長は特別区長会などの場において、この問題に関してどのようにリーダーシップをとり、二十三区の東京都への要望を前進させていくおつもりでしょうか。ぜひとも区議会議員出身の区長として、東京都に対してきちんと文京区の立場を主張していかれることを期待しております。この点に関してのお考えをお伺い致します。

 

環境に配慮した資源循環型の社会を目指すためにも、何とかごみの発生量を減少させるべく、今までもさまざまな施策が展開されてきました。今回のサーマルリサイクルヘの移行は、これまでの有害物質を排出するプラスチックの焼却を、高熱焼却炉の開発により、より安全に焼却処理されることができ、埋め立て処理をされるごみの量が減ったということであり、それ自体に関してはいいことだと思います。しかし、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなどの従来からの取り組みの状況をかんがみても、プラスチックそれ自体を再利用、再資源化することが、コストの面からも難しいという現実を露呈してしまっています。ごみの減量と分別への取り組みは、これまで以上になされなければならないことはもちろんですが、一生懸命分別してもリサイクルされにくいものもあるということは残念なことです。

 

文京区のみの収集では、なかなかスケールメリットの観点からリサイクルするにはコストがかかり過ぎるというのであれば、他自治体とさらに連携して、ごみの絶対量のうちリサイクル可能なものの量をふやしていく努力が必要なのではないでしょうか。この件に関して、区長及び行政がどのようにお考えかお聞かせてください。

 

分別回収、リサイクルなどの活動を地道に続けるためには、何よりも区民の意識レベルでの環境意識の向上こそが大切です。せっかく最新の技術が開発されても、ごみ自体の分別が不十分であるために役に立たないといったようでは意味がありません。容器包装リサイクル法も生まれ、企業や事業者の責任もきちんと位置づけられるようになりましたが、家庭ごみのおよそ60%が容器包装という現状の中、やはリー人一人が自分の問題であると認識しなければならないと思います。そのためにも、現在行政が展開しております意識啓発のための施策やキャンペーン活動をさらに推進させ、資源循環型社会の必要性を区民の共通認識にまで高めていく必要があります。あわせて、このことに関してのお考えをお聞かせください。

 

また、これを機会に、区内小・中学校におけるわかりやすい環境学習の機会をふやし、子どものうちから環境問題への関心を向上させることも必要と思われますが、今後どのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。

 

来年度から全国的にサーマルリサイクルを導入されるとのことですが、それに向けて、10月1日からモデル地区で廃プラスチックを燃えるごみとして集めるサーマルリサイクルが試験的に始められます。十月からのモデル地区での廃プラスチックの回収に向けての準備はどうなっていますでしょうか。他の自治体でのモデル地区での回収率はあまり芳しくないようですが、他の自治体でのモデル地区での回収状況なども調査検討しながら4月からの全区本格実施における切りかえの徹底をどのように進めるおつもりでしょうか、お伺いいたします。

 

では、次に、文京区における子育て支援施策について幾つかお伺いいたします。

 

子育て支援には、まず一つに経済的な支援があります。もう一つには、経済的な支援以外のソフトの部分での支援です。前区長のときに始められた経済的な支援施策の一つである子育て支援券は、商店街振興のためにもなると言われていましたが、その費用対効果についての現状はいかがでしょうか。一部では、スーパーなど、本来の目的である地元の商店以外の店舗での使用もかなり多いと聞きます。効果のほどが商店街ではどのくらい出ているのか把握していらっしゃいますでしょうか。その効果の次第がよく分からなければ、なかなか施策を続ける区民の理解を得ることが難しくなるかと思います。

 

また、今後、効果の次第によっては、子育て支援券の見直しをお考えでしょうか。子育て世帯の経済的負担軽減について、文京区は大きくどういう方向性を考えていらっしゃるのかお聞かせください。

 

少子高齢化、核家族化が進む中、今後の少子化対策、子育て支援策の中で、女性の就労支援とともに、父親の子育て参加、男性の意識改革をすべきとの流れになっていますが、現実的にはそのための施策など、なかなか伝わっていないようです。文京区は特に子育て世帯の流入が多く、文京区は都心区でもあり、居住費も高い傾向にあるので、母親の就労支援と子育てへの父親の参加の要請の多い自治体ではないかと思います。

 

以前、私も文教委員会で、父親の子育て参加を促す施策はどのようなものを行っているかについて質問させていただきました。それに対し、男女協同子育て支援部では、夏休みの父親と子どもの料理教室を行う予定であるという回答をいただきました。それもたいへん楽しそうなイベントではありますが、さらに不断の啓発活動を続けていく必要があると考えます。いかがお考えでしょうか。

 

今後も、父親同士のネットワークを図る施策をさらに増やしていくことで、地域社会の活性化につながると思われます。今後、この問題についてどのように具体的な施策として考えていくのかを、区長のご意見をお聞かせください。

 

ま た 、子育て環境をよくしていくためには、企業側の協力が不可欠です。区として企業側に対策を促す方法として、例えば、公共事業の入札の際に子育て支援に取り組む企業の評価が高くなるような仕組みを取り入れることも考えられますが、いかがでしょうか。

 

また、経済的な負担だけではなく、子育て世帯の不安解消、母親の就労支援、環境整備など、対症療法ではなく、総合的に考える必要があると思いますが、区長はどうお考えでしょうか。

 

くすのきの郷の事件については、区民にとって大きく関心を呼びました。関係施設利用者に対する説明はもとより、一般区民に向けた説明会の開催など、区民への説明及び疑間に対して答えていく活動を十分に行うべきだったと思いますが、十分だったとの認識でしょうか。

 

また、一事業者が法令遵守する意識がなかったとの認識ですが、それ以上に、区と施設との間に困つたことを含めて何でも話し合えるような信頼関係がつくられていなかったことや、区立施設での介護サービスの水準について区と施設との間で議論ができていなかったと考えます。今回の事件が発生した要因についての検証は徹底して行うべきです。区としては、これまでどのように行ってきたのでしょうか。そして、検証結果はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。

 

先ほども述べましたように、今回の事件を契機に、介護保険業者に施設に対する指導強化や現場指導するに当たって区の職員においても現場スタッフとして一緒に体験するなど、現場体験を持った職員が行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。

 

くすのきの郷については、現在、サービスを承継していく法人の選定中ですが、サービスの継続性はどのように図っていくおつもりでしようか。また、選定基準については、どのように定めているのでしょうか。現行のサービス水準が維持できる内容になっているのでしょうか。

 

介護報酬の引き下げが行われ、介護職員の離職率が高く、介護職員の入れかえが進んでいる現状です。また、一方で、今後、介護事業がふえていく中、文京区としては介護現場で働く職員及び施設の確保をどのように進めていくおつもりでしょうか。

 

介護報酬において地域差が十分勘案されていないとの指摘がなされており、改善が必要です。次回の介護報酬改定まで待たずに早急に国に改善を求めていくべきであると考えますが、区長としての姿勢をお聞きします。

 

グループホームや小規模多機能など、地域密着型の介護サービスは、各区市町村が整備計画を推進することになっており、各区市町村の取り組み姿勢により地域での介護の明暗が明確となってきています。文京区としてはどのようにニーズを把握して計画を立てているのでしょうか。また、事業者への支援はどのように行っていくおつもりえしょうか。

 

夜間対応型訪問介護や小規模多機能介護サービスについては、各区市町村で介護報酬を引き上げることも可能であるように6月11日付で告示されました。文京区においても引き上げができるような体制をつくるべきですが、どのように取り組んでいるのかお聞かせください。

 

次に、区立小学校。中学校の統廃合の今後のあり方についてお伺いします。

 

小・中学校の統廃合も含めたこれからの教育施策は、子どもたちの個性を伸ばす魅力ある教育活動の実現と開かれた学校づくりの促進のために、児童・生徒の地域の実態等を十分に踏まえ、創意工夫を存分に生かした特色のある教育活動が行われ、さらに特色のある教育、特色のある学校づくりの展開を期待するものであります。

 

学校選択制度によって、学校は生徒、保護者から選ばれる立場になりました。いい意味で学校間の競争が生まれ、教育現場のさらなる活性化が期待されています。各学校は、今まで以上に魅力ある教育内容を増していくことに知恵を絞り、努力されていることと思います。どうとらえ、改善していくのか、各学校のみならず、教育委員会が一定のリーダーシップを発揮して、学校情報を十分に公開する義務があると考えます。

 

学カテストの結果の情報の公開などは慎重な対応がなされなければ数字が一人歩きするおそれがありますが、学校ごとの学習内容定着状況に関する情報が十分に公開されていないように感じます。学力向上に向けて客観的な情報を分析する必要があると思います。教育委員会はどうお考えでしょうか。

 

開かれた学校づくりを推進していくために、学校の教育目標や教育活動の実施、地域との連携のあり方などについて、学校経営の助言をしてもらう学校運営協議会の仕組みをさらに工夫していく時期ではないでしょうか。教育委員会のお考えをお聞かせください。

 

杉並区では、保護者の評価を教育現場に取り入れるという試みが発表されました。昨今、モンスターペアレントという言葉が流行しておりますように、保護者の中には、学校により一層のサービスを求め、家庭でのしつけを軽視する保護者が増えてきているとも言われます。保護者の視点で現場を評価することが必ずしも客観的に正しいとは限りませんが、そのような実態の中でも、あえて保護者の意見などにも耳を傾け、さまざまな角度から評価し、よく検討していこうといぅ姿勢はたいへん勇気あるものだとは思います。

 

このように、他自治体などで見られてきているような学校現場にさまざまな評価基準を設けようという取り組みについて、教育委員会はいかがお考えでしょうか。

 

次に、文京区将来ビジョンを見直す協議会及び五中・七中の統合校についてお聞きします。

 

文京区将来ビジョン(素案)を見直すための協議会をつくるとのことですが、どのような協議会をつくるおつもりでしょう力、小・中学校の統廃合の時期的なタイムスケジュールについてお伺いいたします。

 

また、現在進んでいる五中・七中の統合校のハード的な欠陥をどうしたらいいと教育委員会はお考えでしょうか。現在、教育センターの解体工事や、新しい学校づくり協議会での議論が進められていますが、第二回定例会で新風会が質問させていただいた際に、「統合校や兼用グラウンドの使用方法、第七中学校跡地の整備などについて、統合校に入学する生徒にとってよりよい環境であり、なおかつ公園やグラウンド利用者など、地域の方々にとっても望ましいものとなるよう、適切に対応していく所存でございます」との御回答をいただきましたが、新大塚公園のグラウンド部分の利用は、公園の利用者にとって利用しやすい計画となったのか。七中跡グラウンドは、部活動や一般開放に当たって、管理上、防犯上の課題に対してどのように対応することとなったのか。校舎の建設計画では、地上6階地下3階の計8階建ての縦移動が多いことへの対応や、地下階に教室があることヘの快適性への配慮はどのように行ったのかなど、前回御指摘させていただきました懸念事項それぞれに対して、現在の検討や対応の状況についてお聞かせください。

 

以上で一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。