10.区民と区全体のウェルビーイングの実現について(令和5年2月定例議会) | 上田ゆきこのブログ

10.区民と区全体のウェルビーイングの実現について(令和5年2月定例議会)

ウェルビーイング等の概念について
 

Q.私は大学時代、19世紀イギリスの政治哲学者J.S.ミルの「自由論」を研究していたが、中でも私が最も好きなのは第三章「幸福の諸要素としての個性について」で、そのタイトルの原文は「Of individuality , as one of the elements of well-being」である。

 ウェルビーイングはよく“幸せ”と訳されるが、HappinessやWelfareとはどう違うのか。

 ウェルビーイングを政策や事業として取り組んでいる人たちは、共通して、ウェルビーイングの実現のためには、agencyつまり主体性を発揮することが重要だと言う。

  特に、教育政策においては、OECDが「ラーニングコンパス2030」において、ウェルビーイングを究極の目的とし、agencyをウェルビーイングに向かうために「自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会変革を実現していく力」と再定義している。
ウェルビーイングやagencyという概念を教育現場で共有するために用いることについて、お考えを伺う。
  また、合わせて、その他の政策の現場で用いることについてのお考えを伺う。

 

A(教育長).OECDでは、ウェルビーイングを、生徒が幸福で充実した人生を送るために必要な、心理的、認知的、社会的、身体的な働きと潜在能力と定義しており、ラーニング・コンパス2030において、その実現のためには、エージェンシーが重要とされている。

 エージェンシーとは、自ら目標を設定し、他者との関係性の中で、責任をもって行動する能力を中核とする概念であり、学習指導要領の主体的、対話的で深い学びに通じるものと捉えており、社会構造が急速に変化する不安定、不確実、複雑、曖昧なこれからの時代には、学校教育を含めた、教育の中で、これらの概念に基づく力を育むことが重要と認識している。

 教育委員会では、文京区教育ビジョン「個が輝き共に生きる文京の教育」を掲げている。また、その実現に向け、教育指針では、他者と協働しつつ創造的に生きていくための資質・能力を育むことを目標としております。各学校園では、これらのことを踏まえ、より良い個人・集団の実現を目指し、子どもたちの主体性を育む取り組みを進めている。今後も、こうした取り組みを通じて、児童・生徒の幸福で充実した人生につながるよう、文京区の教育を進めていく。

 

A(区長). 本区においては、これまでも総合戦略に掲げる主要課題の解決に向け、一層の創意工夫を凝らし、戦略的な事業展開を図りながら、各施策を推進している。

議員ご指摘のウェルビーイングは、国も推進しているところであり、本区の取り組みにも通じる概念であると考えており、今後とも、様々な行政課題の解決に向けて、時代に即した、区民にとってわかりやすい表現を活用しながら、着実に区政運営を進めていく。